冬眠野菜 平成29年1月19日
冬眠野菜 平成29年1月19日
寒気厳しきおりでございます。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
ジャガイモ、人参、大根、かぶ、里芋、カボチャ、白菜。現在の野菜セットに入れているこれらの野菜は、去年の秋に収穫時期を迎えて、今は防寒しながら出荷されている貯蔵野菜です。アリと同じように、農家は冬が来る前にせっせと食料の貯えを確保しておきます。
秋に収穫時期を迎えた白菜は寒さが本格的になる前に畑より収穫して、霜の当たらない室内に持ち運んで、布団をかぶせて防寒して貯蔵しました。現在お届けしている白菜の外葉が少しシナシナと水分が抜けた感じになっている場合がありますが、それは根が土から離れて時間が経過しているからです。白菜は、根が土から離れていても貯蔵できる作物で、包丁を入れて切ってみれば、中からおいしそうな瑞々しい黄緑色の内葉が姿を現します。
秋に畑で収穫時期を迎えたカブは、寒さが本格的になる前にその上に土をたっぷりとかぶせて防寒します。今年は土から掘り出されたカブの中にいくつか、傷んでいるカブが確認されています。おそらく、低温で傷んだと思います。今回はカブを日当たりが良くない畑で栽培しましたが、そのため、土の冷え込み方が通常よりも厳しかったかもしれません。
カブの中身が傷んでいるかどうかは、外から見ただけでは判別できません。カブを収穫する度にその中から20個くらいのカブを実際に包丁で切ってみて、全体のどのくらいの割合で中身が傷んだカブが混ざっているか確認しています。その割合があまりに高いようだと商品としてふさわしくないので、出荷を控えたいと思います。
収穫時期を迎えてから時間が長く経てば、寒さに耐えきれずに傷んでしまうものもどうしても現れます。お届けしたカブの中には中身が傷んだカブも少しだけ混じっているかもしれません。それらを取り除きながらご使用していただくよう、お願いいたします。
今は土をかぶせられて畑で貯蔵されている作物は、大きくなることもなければ腐敗してしまうこともなく、ひたすら静かに眠っているかのようです。しかし、3月に入って暖かくなり始めると、人参や大根は種を作る準備を始めるため、土の中からニョキニョキと太い茎を伸ばしてその先につぼみをつけます。長い時間土から離れている白菜でさえも、内部の中心より太い茎を伸ばしその頭を突き破って、その先につぼみをつけます。
現在の静かな状態の貯蔵野菜は眠っているだけで、死んでしまったわけではありません。「貯蔵野菜」と呼ぶよりも「冬眠野菜」と呼んだほうが、これらの野菜は生命のない単なる物ではなく生き物であるという感じがして、ふさわしいかもしれません。これらの野菜が眠っている隙に、人間は大事にその命を食用としていただき、冬を乗り越えてゆきます。
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