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2017年2月26日 (日)

「自然」という言葉を問う    平成28年12月22日

「自然」という言葉を問う    平成28年12月22日

今年もいよいよ残りわずかとなってしまいました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  現在、一般的に行われている近代農業では、人工的に生産された農薬や化学肥料を農地に投入して作物を栽培してゆきます。自然界から離れた栽培方法によって自然環境を悪化させてしまったことにより、自然の力をそのまま生かした栽培方法が見直されています。

  その流れの中で、人が肥料をいっさい与えずに作物を育てる「無肥料栽培」が最近、脚光を浴び始めています。土の力のみで育てたほうが作物はたくましく生育して、その味もおいしくなると考えられ、「無肥料栽培」は「自然栽培」とも呼ばれています。

  「自然栽培」で育てた人参を希望する消費者の方々からご注文をいただき、一部の人参を、肥料を散布した経歴のない畑で栽培してみました。結果は悪く、収量はわずかでした。

  肥料を散布したことのない畑は土が固く、人参の栽培には不向きでした。「無肥料」にこだわりすぎてわざわざ人参が不得意とする固い土を選んで育ててみた今回の人参栽培は、「自然栽培」ではなくて、「不自然栽培」だったと思います。本当に人参がすくすくと自然に生育してくれていたのなら、こんなに収量が悪くなったりしないでしょう。

  できるだけ人が余計な手出しをせずに自然界の力に委ねて作物を栽培してゆくのが、小林農場の基本姿勢です。ただ、人参にしろジャガイモにしろ、これらの野菜は長い年月をかけて人間によって人間の都合の良いように改良されてきた、もともと自然界にはない植物です。野山に自生している野草とは違い、野菜は人の手助けを必要とする場面が多いです。

  人が肥料を施してあげたほうが作物は本来の力を発揮して自然に育ってくれる場合もあります。肥料を与えないほうが自然なのか、それとも肥料を与えたほうが自然なのか、作物をじっくりと観察して、作物と会話しながら判断できるようになれればよいです。

  自然環境が悪化してゆく時代に生まれた私は、「自然な暮らし」を求めて農業を始めてみました。でも畑では、自分達が食べたい作物のみを繁殖させて、他の植物を「雑草」と呼んで排除してしまいます。農業も自然界から外れた営みだと思うようになりました。

  本気の本気で「自然な暮らし」をしたいのであれば、農業をやめて、大昔のご先祖様達のように、その土地で自生している生き物を食料とする狩猟採取生活をするべきでしょう。しかし、現代文明の中で生まれ育った私が、突然、大昔と同じような狩猟採取生活を始めることは、とても「不自然」な話だと思います。

  私はどうしても、「自然」という言葉にこだわってしまいます。何が「自然」で、何が「不自然」なのか?考えれば考えるほど分からなくなってきて答えを出せないからこそ奥の深いこの問いを、哲学者のマネをして哲学的に問い続けることは、楽しいものです。

来年も「自然な野菜」を皆さんにお届けしてゆけるように精進してゆきたいと思っています。「自然な野菜とはこういうものだ」と簡単に答えを固定しようとするよりも、「自然な野菜とは何か?」という深い問いかけをさらに掘り下げてゆき、常に思考し続けてゆくことの楽しさを味わってゆきたいと思います。みなさん、良いお年をお迎えください。

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