苗にこしらえたお弁当 平成28年5月20日
苗にこしらえたお弁当 平成28年5月20日
風薫るさわやかな季節となりました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
作物の苗を育てる床土は、農場を取り囲む山林からかき集めた落ち葉に米ぬかや家畜糞などを加えて発酵させて1年間ほど熟成して作っています。私が小林農場を始めた初年度は熟成された床土を用意していませんでしたので、山林から土をそのまま農場に持ち帰って苗作り用のポットに詰めて床土とし、そこに作物の種を播いて苗を育ててみました。
ところが発芽した野菜の苗はいつまで経っても大きくならず、やがて立ち枯れしてしまいました。人がちゃんと有機物を発酵させて熟成させてあげなければ、良い床土を作れないのだということを学びました。人が足を踏み入れないような荒地でも旺盛に自生している野草と違って、野菜は人が管理している土でないとまともに生育できません。人のいない山奥に野菜の種が播かれても発芽はしませんし、発芽してもまともに育たないでしょう。
現在、ナスやピーマンなどのいろんな夏野菜の苗が植え付けられて、畑がにぎやかになってきました。苗を植え付ける前に、まず苗を植える箇所に少し深めに溝を掘り、そこに肥料を投入して土を埋め戻し、その上に苗を植え付けてゆきました。
このように作物の下に投入される肥料は「弁当肥」とも呼ばれています。苗の根が伸びて弁当肥が投入された部分にまで伸びると、作物は肥料を吸い上げることができるようになります。夏野菜は5月に植え付けられてから10月までの長い期間、畑で生育しますが、その間に作物がお腹をすかせて弱ってしまわぬように、前もって弁当肥を施しておきます。
去年は、夏野菜は秋に入る前から急速に息切れしてしまい、実をあまりならしてくれなくなりました。去年使用した弁当肥は米ぬかを主体に発酵させたものでしたが、米ぬかは分解するのが早いので、あまり肥効が長続きしないのかもしれません。昼休みに箱のフタ開けてみたらカビていて食べられなくなっている、もちの悪い弁当に似ているかもしれません。
先日、隣の町の養鶏場までうかがい肥料を分けていただきました。肥料の材料は主にワラやモミガラなど分解が遅い有機物で、そこに鶏ふんが加わって発酵されています。無農薬栽培で育てた穀物の副産物や安全性の高いエサを食べている鶏の鶏ふんなどを主体にして作られた安全性の高い肥料なので、今までも度々、こちらの養鶏場から肥料を分けていただいていますが、この肥料を今年は夏野菜の弁当肥として使用することにしました。「もちの良い弁当」として期待できるのではないでしか。
夏野菜の生育は肥料の種類やその施し方にも影響され、人の管理が生育の良し悪しを決めます。まだまだ夏野菜の栽培方法は試行錯誤中。夏野菜の苗の植え付けの時期になるといつも、本棚から専門書を取り出して、土や肥料についてイチから学び直したくなります
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