平成28年 キュウリの生育
8月15日撮影。キュウリの樹。品種は「霜月青長F2」。小林農場が採種して育成した品種です。
親ツルから次から次に子ツル、孫ツルを伸ばして、たくさん花を咲かせて実をならしています。放っておくと茂りすぎるので、実を収穫しながらツルも少しずつ切り落としてせん定しています。
同じキュウリでも、小林農場ではいろんな品種を栽培しています。写真の中の右のキュウリは「ステータス夏(ナント交配)」。左のキュウリは霜月青長F2。
このように見比べてみると、霜月青長は少し色白なのが特徴です。
ステータス夏のように、現在市販されているキュウリの品種の多くは、緑色が濃くなるように改良されているようです。そして、実を固くして、日持ちが良くなるように改良されているようです。
霜月青長は、食べると、その実が柔らかくて歯切れが良いです。色白のキュウリは、実が柔らかいものが多いようです。実の柔らかなキュウリを求めている消費者の方々にはおすすめです。
霜月青長は私が気に入った品種なのですが、他ではあまり栽培されなくなっているみたいで、今は種屋さんに寄ってもこの品種の種を入手できません。小林農場が自分で種を採っていかないと、この品種は絶滅するかもしれません。
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キュウリの寿命は比較的短いので、小林農場は、4月と6月と7月の3回に分けてキュウリの種を播いています。そうすると、梅雨の頃から10月に霜が降りるまでの長い期間、キュウリの収穫を連続して楽しめます。
親ツルの節には黄色い花が咲き、すでに実もなり始め、まもなく収穫時期を迎えようとしています。間もなく衰えていこうとしている4月播きのキュウリに代わって、これらの6月播きのキュウリがこれより活躍してくれるでしょう。
先週に種まきされて、発芽したばかりのキュウリの苗。秋に収穫時期を迎える予定。
キュウリの品種を選ぶ時の注意点
・キュウリは品種は、「節成型(節成り型)」と「枝成型(飛び節成り型)」に分類されます。この2つの違いについては、「トーホク種苗会社」のサイトにまとめられています。
キュウリを短期間にたくさん収穫するよりも、長期間に少しずつ収穫したい小林農場は、節成型よりも枝成型の品種を選ぶと良いと思います。
・キュウリの品種は、「支柱作り型」と「地這え型」に分類されます。「支柱作り型」は支柱に昇らせてキュウリを育てる品種。「地這え型」は地を這わせてキュウリを育てる品種。
いちいちかがみながら作業をしなくてはいけない「地這え型」よりも、立ちながら作業ができる「支柱作り型」のほうが断然、作業はしやすいです。しかし、秋になって台風がやってくると、強風によって支柱はなぎ倒されてしまう危険があるため、秋に収穫するキュウリは、「地這え型」の品種を選んでいます。
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キュウリの生育状態は、その実の形から診断できると言われています。
まっすぐ伸びている実が多い・・・生育は順調。
曲がっている実が多くなる・・・成り疲れ、水分不足、肥料切れ
お尻が太った形の実が多くなる・・・日照不足、夜温が高すぎる
お尻が細い形の実が多くなる・・・高温、乾燥、成り疲れ
実の形がまっすぐ伸びなくなったら、できるだけ実を早めに摘みとって樹の負担を軽くして樹勢を回復させてやると良いらしいです。
7月3日撮影。今朝収穫したキュウリの実。曲がっているキュウリはほんの数本で、ほとんどがまっすぐ!
「曲がったキュウリも味そのものに大きな違いはない。しかし、曲がったキュウリは見てくれが悪く、箱詰めもしにくいことから、すっかり落ちこぼれ烙印を押されてしまった。そして、曲がったキュウリを作らないように、キュウリの先に重りを垂らしたり、筒状の型の中でキュウリを太らせたりという、笑えないようなことが行われたのである。
そもそもキュウリとて、生き物である。いくら環境を同じにしても、同じものができないところが、生き物のおもしろさであり、すばらしさである。ところが、みかけの良さや箱詰めのしやすさを追求するあまり、工業製品のように同じものを揃えることが求められるようになってしまった。
(中略)
最近では、曲がったキュウリや昔のキュウリの味を懐かしむ声もあって、行き過ぎた野菜生産の近代化を見直そうという動きも出ている。ところが今度は「曲がったきゅうり」がその象徴的な存在となり、曲がっているキュウリのほうが良いというような風潮が出ている始末だ。これもキュウリにとって迷惑な話だろう。キュウリだって、できることならまっすぐに伸びたいと頑張っているのだ。」(稲垣栄洋著「身近な野菜のなるほど観察記」より)
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