畑の片隅での実験 平成28年5月6日
畑の片隅での実験 平成28年5月6日
初夏の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。
今年の2月に種まきされたカブですが、順調に生育していれば今頃たくさん収穫されていたのですが、まだ芽が発芽したばかりの頃に害虫に食い尽くされてしまい、ほとんど収穫できなくなりました。カブや葉物野菜の栽培では、このようなことは少なくありません。
順調に育って収穫されても、無農薬栽培では害虫が葉を食った痕が目立つことが多く、虫が苦手な消費者の方々にはどうしても敬遠されてしまいます。虫害を少なくするために、策を練ってみました。
害虫は肥料の香りに誘われて畑にやってきます。畑にまく肥料を少なくすれば、害虫の被害が減ります。畑の片隅にずっと管理されないまま荒地のようになっていた空間があったので、そこを耕して畑として使えるようにして、この数十年間全く肥料をまいたことのないこの畑で、肥料をいっさい与えずに葉物野菜を育ててみました。
狙い通りに、害虫の被害は少なかったです。農薬を使用していない割には虫食い穴が目立たないきれいな葉物野菜を収穫できていると思います。春よりも秋のほうが虫害が激しいので、秋にも無肥料での栽培を試してみたいです。
ただ、種まきされてから30日経っても40日経ってもなかなか大きくならず、これ以上待っても大きくなりそうもないので、小さなままで収穫することにしました。しばらく野菜セットに入る葉物野菜は小柄なものになるかと思います。この大きさでは収穫するのも手間ですし、収量は上がらないし、料理もしにくいだろうし、商品として売りにくいです。
葉物野菜は順調に生育するためには肥料を必要とする場合もあり、種まきする前に畑に肥料を施すことが、葉物野菜の栽培の基本です。今回、葉物野菜がなかなか大きくならないのは肥料をまいていないのが原因だと推測しています。
いっぽう、葉物野菜のすぐ隣では二十日大根が順調に育ち、たくさん収穫されています。二十日大根などの根菜類は肥料の有無に関係なく生育してくれる感じがします。作物によっては肥料を好む作物もあれば、肥料をそんなに必要としない作物もあります。
肥料のやりすぎは虫害が悪化させるだけでなく、過剰な肥料は地下水を汚染するなど自然環境を損ねてゆきます。地域から入手して肥料の材料としている米ぬかの中には稲作中に散布された農薬も混ざっているだろうし、現在は米ぬかや家畜フンを材料とする有機質肥料の中にも、微量ではありますが、化学物質がどうしても混入してしまいます。稀ではありますが、それらの有機質肥料で育てた作物を食べると、体がとても敏感な方はそれらの化学物質に反応を起こしてしまう場合もあります。
作物が健全に育つためには肥料が必要な場合が多いので、小林農場では有機質肥料を畑に散布して土を作るやり方を基本としています。いっぽうで、肥料を少なくしてゆける栽培技術も研究してゆきたいとは思っています。新たに開墾された畑の片隅では、肥料をなくしても作物がまともに育つかどうか、実験が行われています。
追記 この後、葉物野菜は順調に育ち、収量も上がりました。ただ、虫害も目立つようになり、肥料をまいて育てた作物と同じくらいにこの畑で育てた作物にも害虫が発生していました。
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