電気も食も地産地消へ 平成28年4月15日
電気も食も地産地消へ 平成28年4月15日
うららかな春日和になりました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
この4月より電力が自由化され、私たちは電力会社を選んで電気を購入できるようになりました。私は風力や水力などを利用して発電する自然エネルギーに力を入れている電力会社を応援したいと思っています。
日本の中でどこよりも大量の電気を必要とし消費しているのが東京です。数年前までは、福島などの地方に設置された原発で電気を発電し、東京へと電気が送電されていました。東京に原発を作って発電すれば、わざわざ遠い所から送電しなくてすむのに、政府は首都で原発事故が発生したら大変なことになると考え、地方に原発を建ててきました。5年前の原発事故で犠牲になったのは、最も電力を消費してきた東京ではなく、福島でした。
電気を消費する者たちはみんな、電気をどのように安全に確保してゆくかを真剣に考えなくてはいけないはずです。しかし、発電の現場と消費の現場があまりにも離れすぎていると、電気の消費者は発電の現場に関心が持てなくなります。原発事故が発生するまで、多くの人々は原発の危険性に無関心でした。「自分たちの電気は自分たちの地域で作らなくてはいけない」という法律ができたとしたら、東京で暮らす人々も自分たちの地域にわざわざ危険な原発を建設しようとは思わず、原発以外の発電方法を真剣に探すことでしょう。
「自然に優しい」と思われがちな自然エネルギーですが、風や水の力を人間が電気を作るために利用すれば、生態系になんらかの悪影響を負わせることになると言う専門家もいます。ただ、どこの地域でも風も水もあり、自然エネルギーによって地域で電気を自給しやすくなります。原子力発電のような特定の地域に大きな負担を集中させるような発電方法ではなく、発電の負担は各地域が自分たちで受け持つようになります。
自分たちが使う電気を自分たちで作ることにより、それによってまわりの自然環境にどのような影響を与えているのか、人々は深く考えるようになるのではないでしょうか。その意味は大きいと思います。
毎年4月から5月の中旬にかけては、収穫できる野菜が最も少なくなる季節です。現在お届けしている小松菜やほうれん草は2月に種まきして、ビニールトンネルをかけて保温して育てました。できるだけ自然な環境の中で野菜を育てる方針でいる小林農場としては、ビニール資材を使って作物の生育を早めるやり方は本来のやり方ではありません。しかし、この季節はビニール資材を利用しなければ本当に出荷できる野菜がなくなってしまうので、この時期だけは例外的にビニール資材を利用しています。
小林農場は1年を通して休むことなくみなさんに野菜セットをお届けしていくことを優先に考えています。農場で農産物を生産して皆さんにお届けし続けることにより、生産の現場と消費の現場を常に近くに保っていたいと思っています。消費者は生産の現場を、生産者は消費の現場を、お互いに無関心になることなく関わり合う「地産地消」が、今後安全な食やエネルギーを確保してゆくのに大切になるかと思います。
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