共に冬を乗り越えた大事な仲間たち 平成28年4月7日
共に冬を乗り越えた大事な仲間たち 平成28年4月7日 桜花爛漫の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。 現在出荷しているジャガイモ、人参、里芋、ネギ、ゴボウ。これらは去年畑に種が播かれて冬を越してきた作物です。作物は冬の寒さに当たると体内に花芽を作って花を咲かせる準備を始め、春になると「トウ立ち」と言って地上に茎を伸ばしてつぼみをつけます。 トウがたつと食用部の根部は茎に養分が吸い取られて筋っぽくなって、食用にむかなくなります。ゆえに、4月は出荷できる野菜が少なくなる端境期(はざかいき)となります。 トウがたつ前の3月のうちに人参を収穫して冷蔵庫に入れて冷蔵保存をしました。今回お届けした人参は、冷蔵庫より取り出して出荷しています。収穫されてからずいぶん時間がたっていますから、鮮度は落ちています。しかし試食してみると、収穫されてから時間がたって熟してゆく果物のように、むしろ人参の甘味が濃縮されているように感じました。 去年の夏から秋にかけて収穫されて今まで貯蔵されてきたジャガイモ。年をとると肌にシワが増える人間と同じで、イモの肌にもシワが目立ち始めてきました。あまり見た目が良くないのでこのようなシワシワのジャガイモはスーパーの野菜の売り場では見かけないと思います。 小林農場の野菜セットでは、よっぽどシワがひどくなければ、出荷しています。少し見た目が悪くなったくらいで出荷せずに捨ててしまうようなことはしません。食べていただければ分かるように、シワシワのジャガイモでも、中身はおいしく食べられます。 ただ、現在お届けしているジャガイモは少し収穫時期が遅れたために、中身が少し変質している場合もあるかと思います。スが入っていましたら、お手数ではありますが、スの部分を切り除いてお召し上がりください。今年はジャガイモの収穫を遅らせず、今後はもっと質の良いジャガイモを4月になってもお届けできるようにしてゆきたいと思います。 この時期は特に試食を念入りに行い、自分が出荷しようとしている作物が商品としてふさわしいものかどうか慎重に確認しながらお届けしております。冬越ししたカブを試食してみると、肉質がスカスカとした感じになっていて、違和感のある食味でした。たぶん防寒対策が不十分でカブが霜害を受けたためだからだと思います。セットに入れる野菜が他にあまりなかったのでカブもセットに加えてみましたが、「カブがおいしくない」というご指摘をいただきました。野菜セットは「量より質」です。今後は、自分が試食しておいしくなかった野菜を、量を足らすために加えるようなことは厳重に慎みたいと思います。 冷蔵保存の人参やシワシワのジャガイモなど、食用としての寿命が尽きようとしている作物を相手にしながら、4月の端境期は、みなさんにご満足していただけるような野菜セットを作ってゆくのに最も苦労する時期です。今お届けしている野菜は、私と共に寒い冬を乗り越えてきた私にとって大事な仲間たちです。最後まで、みなさんにできるだけ喜んで受け取ってくださるような状態にととのえながら、大事に出荷してゆきたいと思います。
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