新展開 小林農場
以下は2年前に書いた農場通信より。
新展開 小林農場 平成26年11月3日
木枯らしの候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。
現在、私が暮らしている借家はもともと作業小屋として作られたもので、人が長期間くらしていくにはいろいろと不便です。私に借家と借地を貸してくださった地主さんも、借地を自由に使ってもっと自分が住みやすいような住環境を新たに作り直してゆくように、今までずっと私にすすめてくださっていました。
でも私は畑仕事が忙しいことを理由に、住環境の改善に手をつけられませんでした。いつまでも不便な住環境を改善しないままでいる私に、地主さんもあきれているようでした。とは言え、人からお借りしている土地にいろいろと手をつけてしまうことは、どうしても遠慮してしまいためらってしまいます。
先日、地主さんよりある提案をいただきました。地主さんはまだお若い年齢ではありますが、ご自身の老後を見据えていろんな準備をされているようです。この地に長く暮らしてきた私に、ご自分の土地の一部を譲る決断をされました。
地主さんも30年ほど前にこの敷地に移住してきたときに、この土地を元の地主さんより購入されました。その土地に根を張って農業を営んでいくには、しっかりと土地を所有しておくと良いということを、ご自身の経験から私にお話ししてくださいました。
私が農業を研修していた頃から長い間お世話になり、私にとって農業の師匠であり人生の師匠である地主さんからのご提案、ありがたく承る決断をいたしました。今までの借地としてお借りしてきた畑と宅地が今後、小林農場の所有地となります。長い年月をかけて地主さんがコツコツと土作りされた豊饒な畑と、コツコツと建てられた作業小屋が並ぶ宅地をいただくことになりました。
土地の購入と住環境の改善に必要な資金は、私の父と母から借りることになりました。父と母も、息子の不便な住環境が改善されぬままでいることをずっと嘆いていたので、今回の一連の出来事を歓迎してくれました。
父も母も、本当は老後のことを考えてお金を貯めておきたいはずです。にもかかわらず、「このようなときのために今まで一生懸命働いてお金を貯めてきたんだ」と言わんばかりの勢いで、大金をすぐに用意して私の口座に送ってくれました。今後の私の人生は、恩返しのために費やしていきたいと思っております
仕事と私生活が分けにくい農家の生活では、自分が暮らす家は仕事の拠点ともなります。まずはしっかりとした住まい、農場の拠点をこの土地に築いていきたいと思います。
いろんな方々の絶大な支援を受け、重かった私の腰も軽くなり、この土地に農場の家を築いていく準備に入りました。自分が住みやすいだけでなく、小林農場への訪問をご希望される方々を気持ちよく迎えることのできる敷地にしていきたいと思います。
__________________________________________
今年の1月、農場に新しい家が完成しました。以下はその直後に書いた農場通信です。
畑仕事と家事の両立 平成28年2月25日 春の気配に心躍る季節となりました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。 今まで私が暮らしてきた住まいは、もともと作業場として設置された建物で、人が長期間暮らしていくには不便な住まいでした。風呂場がないので近所の方の風呂場をお借りしていましたし、便所もないので野外に簡易便所を設置して対応していました。壁には断熱材が入っていないので、冬になると氷点下まで冷えこむ室内で寝たり食べたりしていました。 小林農場の敷地内に新たにちゃんとした住まいを作ることになり、今年の1月に完成して、今は新築に引っ越して新たな生活を送っています。今回の新築は、私の父と母が自分達の財産から建築に必要な費用を私に贈与したことにより実現いたしました。 近所の方にお願いして、ほぼ1年かけて私の住まいを建てていただきました。ご自身の家も自分で建ててくらしている、大工仕事が洗練されている方で、とても頑丈に建ててくださいました。また、見栄えにも力を入れてくださり、質素で味わいのある外観に仕上げてくださいました。家の壁の色は茶色と黒色の中間のような味わい深い色彩で、私はこの家の名前を「クロスケ」と名付けました。 風呂場や便所が完備されて防寒対策も施された住まいに暮らせるようになりました。私は整理整頓が苦手で、自分の住まいをすぐに散らかしてしまうのですが、いろんな方々が関わり、大変な労力を費やされながら建てられたこの家だけは散らかしてなるものかと、整理整頓の習慣を必死に身につけようとしています。 今まで食事がすんだら食器も洗わずに畑に飛び出して仕事をすることが多かったですが、滅多に掃除されることのなかった台所には頑固な汚れが染みついて落ちなくなってしまいました。そのうち台所をきれいにすることをあきらめ、汚れていてもあまり気にならなくなってゆきました。新居では、どんなに畑仕事が忙しくても食後は食器を洗い、マメに台所を掃除する習慣を身につけています。 住まいを掃除すれば何事もすっきりして、心身にたまっていた負担が軽減されます。それは畑仕事にも好影響を与えてゆくし、農家にとって畑仕事と家事はで両立されていくべきものだと思います。農場の拠点であるこの新居を、きれいに保たせていきたいと思います。 掃除、洗濯、炊事、整理整頓などの家事はお金に換算できない目立たない仕事ですが、家族が健康で心豊かな日常生活を送る上でなくてはならない仕事だと思います。家事を重視せずに料理する時間も省いて冷凍食品や外食などで食事をすます家庭が増えたら、小林農場の生野菜は売れなくなってしまうでしょう。家族の健康を考えてしっかりと自分で料理している方々によって、小林農場は支えられてきました。 主婦や主夫の方々、または外で仕事をされながら家事を大事にされている方々など、家事を担う方々が尊敬され大事にされる社会になってゆけばよいと思いますし、家事をがんばる方々を応援してゆける農場でありたいと思っています。機会があれば、みなさんより家事のコツを学ばせていただきたいと思っています。
« 平成28年 ズッキーニの栽培 | トップページ | 熊本地震で感じたこと いろいろ »
「農場通信」カテゴリの記事
- 令和6年1月以降に新たに公開される記事(2024.01.03)
- 生き物の表情 令和5年6月1日(2023.12.28)
- 多忙を極めてゆく畑 令和5年6月19日(2023.12.23)
- どこに向かうのか、農業 令和5年6月12日(2023.12.14)
- 顔を見せるのが苦手な農家による顔の見える農場 令和5年6月8日(2023.12.09)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント