災害列島・日本で暮らす
熊本を中心とした地域で尋常ではない災害が引き起こされています。
ラジオでは四六時中、震災の状況が伝えられているので、私も熊本の現在の様子を耳にしています。インターネットでも震災の実況中継が配信されています。石垣を失って今にも崩れ落ちそうになっている熊本城や、大規模な土砂崩れが起こって道路や橋が陥落してしまっている南阿蘇村の様子などのすさまじい映像に、目がくぎつけになりました。
栃木に暮らしている私も5年前の東日本大震災では酷い目にあいましたが、この災害列島・日本で暮らしている者たちはみんな、順番に被災者になる宿命を背負っています。
以下は東日本大震災から1年が経った頃にブログに投稿した記事です。被災地とどのように向き合えばよいのか考えてみたくなったので、再投稿してみました。
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1月中旬、栃木ボランテイアネットワークを通じて、宮城県沿岸部にある山元町まで日帰りでボランテイアに行ってきました。人口一万六千人の町は、去年3月11日の大津波により600人以上の方々が犠牲となり、沿岸部は壊滅的な被害を受けました。
ベテランのボランテイアの方の案内で太平洋からすぐの場所にある小学校に足を踏み入れさせてもらいました。この鉄筋コンクリートの校舎は、何もない場所にぽつんと一人で建っていました。他の建物や防風林はすべて、大津波にさらわれてしまったようです。
ひんまがって波打ったままになっている体育館の床や教室と教室を区切っている壁が吹っ飛ばされている様子など、廃墟のようになった校舎は、当時の大津波のすさまじさを、私たちに静かに伝えていました。
広い校庭にはグニャグニャにつぶされた変わり果てた姿の無数の車が並べられていました。何度もインターネットや雑誌で被災地の惨状を目にしてきたはずなのですが、実際にこの目で現場に接すると、私の口は開きっぱなしで、閉めることを忘れてしまいました。
ボランテイアの仕事の内容は、個人のお宅の解体や泥のかき出しなど。沿岸部から離れたお宅でしたが、1階は大津波で浸水してしまい、改修の下準備をお手伝いしました。
私を含めて10名ほどの男女がひとつのチームを作り、作業が行われました。みなさん、私と同世代かもっと若い方々で、何度もボランテイアに参加しているようで、作業は滞ることなく、淡々と進められました。
高齢の家主さんご夫妻も立ち会い、雪が舞う中、庭でたき火を炊き、私たちボランテイアのために缶コーヒーやお茶を温め、昼食時間には豚汁を作ってくださいました。休憩時間はボランテイアと家主さんとの間で談笑しながら、和気あいあいとした雰囲気に包まれていました。
町役場に設置されたボランテイアセンターには、数台の観光用の大型バスが止まっていて、その中から、作業服を身に付けたたくさんのボランテイアが降りてきました。私とともに仕事をした東京の方々も、東京を前日の深夜に出発して、バスの中で1晩すごして山元町に来たようです。ボランテイアの中には、外国人の姿も見られました。
たくさんの場所からたくさんの人々が集結して、新しい人と人の出会い、新しい人の輪を生み出し、そこには悲壮感はあまり感じられず、むしろ、活気がありました。とても辛く悲しい経験をした町も、1歩ずつ1歩ずつ復興していけるのだろう。そんな気にさせてくれた私のボランテイア体験でした。
去年、多くの農家の方が無償で、自分たちの作物を被災地に送り続けていました。私も、宅急便で野菜をお届けしました。私の場合は、送料は自腹を切りましたが、他の農家の方々は、長くつきあってきた自分たちのお客さんに寄付金を募り、送料にあてていたようです。負担を心ある方々と分け合いながら、被災地への継続的な支援を行っていました。
被災地へ野菜をお届けするたびに、被災地の方から温かなお礼の言葉をいただきました。とてもささやかな支援でしたが、それでも被災地の方々が小林農場の野菜にで少しでも癒されたようで、本当に良かったと思います。
一方で、「自分自身の生計も成り立っていないのに、奉仕活動をしている場合なのだろうか」という迷いは、常に持っていました。基本的には、奉仕活動は、自分の生活にゆとりがある人がやるものだと思います。ボランテイアのために無理をして自分自身の身を崩してしまえば、支援を受ける側も心苦しくなってきて、支援を受けるのが嫌になってしまうかもしれません。
奉仕活動をしたいのであれば、自分自身が強くなって、生活を安定させていなくてはいけません。食糧に困っている被災地があれば継続的に自分の農作物をお届けできるような農場になれればよいのだけれども。
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