農閑期 平成28年1月20日
農閑期 平成28年1月20日
寒気厳しきおりでございます。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
12月の中頃に冬野菜の貯蔵作業を終えてから2月の立春をすぎるあたりに作物の種まきが再開されるまでの1か月半ほどは、小林農場にとっての「農閑期」となります。1年で最も寒い時期で、その間は畑の作物の生育は遅々とし、害虫は冬眠し、雑草は芽生えず、畑の様子は時が止まったようにひたすら静か。畑仕事に追われることがありません。
農家が最も心にゆとりを持って暮らせる農閑期に、前年の農場の仕事ぶりをじっくり振り返って問題点を見つけ、それを改善してゆく準備を整えます。私の場合の問題点は、整理整頓が苦手なこと。畑や倉庫にいろんなものを散らかしっぱなしにしたまま仕事を進め、それで物をなくしたり壊したりしてしまい、仕事の効率を悪くしてしまいます。自分の欠点が分かっていても、それを解消してゆくことが難しいということを思い知る毎日でした。
今年に入ってすぐ、不必要なものを次々に農場の外へと送り出しています。物をたくさん農場の中に抱え込むから農場が散らかってゆくわけであって、物を少なくしてゆけば散らからなくなります。本当に必要としている物だけを選んで大切にしたいと思います。
物にとっても持ち主に使われずに放置されたままであり続けることは不本意なことだと思います。「物を大切にする」とは必ずしも「物を捨てない」ということではありません。使わなくなった物を軽やかに農場より「卒業」させてあげたいと思います。
気候が暖かくなって作物が元気に育ち、同時に害虫や雑草の勢いが増す頃、畑仕事は忙しくなります。「心を亡くす」と書いて忙しいと読みますが、畑仕事が忙しいことを言いわけにして道具を片づける時間を省き、道具を大切に扱う心のゆとりを失ってしまいます。整理整頓の癖をつけて農場をきれいに整えてゆくためにたっぷりと時間を費やせるのは、農閑期の今しかありません。二度と散らかることのないように、「大掃除」にはげんでいます。
小林農場には常に人手が足りないという問題点もあります。でも、あらためてまわりを見渡してみると、私にはスコップや鎌などの私の手足となって働いてくれる、たくさんの「道具」という名の強力な仲間がいることに気付きました。人手の不足を嘆く前に、まずはこれらの仲間を愛おしく思って大切にいたわって、農場のために大いに活躍してもらおう。農閑期というゆっくりとした時間の流れの中で、そのような気持ちを取り戻しています。
畑仕事が忙しくなっても心を亡くさずにゆとりを持って1年間を乗り切れるかどうかは、この農閑期にどれだけ仕事のしやすい環境を整えられたかにかかってきます。農閑期とは、忙しくしていた心にゆとりを与え、忙しさの中で傷んでいった農場の土台を修復していくことに時間をたっぷりと費やせる、1年間で最も重要で豊かな時期だと私は思っています。
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