寒い冬のおかげさま 平成27年12月10日
寒い冬のおかげさま 平成27年12月10日
寒さがひとしお身に染みる頃となりました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
紅葉の季節はすぎ、樹木の枝に残る葉も少なくなり、見上げるほどの高い樹木が点在する小林農場の敷地内やその周辺の地面も、大量の枯れ葉で覆われています。北風に吹かれて大事な葉を奪い去られてしまう樹木の姿を哀れみ、さみしい気分を抱く人もいるでしょう。
でも実際は、樹木は寒さと風に屈して葉を奪われてしまうのではなく、冬になると樹木が自ら積極的に葉を落とそうとするようです。乾燥する冬に葉がなくなるほうが樹木の水分が保ちやすく、樹木にとって冬を越すのに都合が良いようです。
落ち葉をかき集める作業は農家にとって冬に欠かせない仕事です。その落ち葉は、作物の苗を育てる床土の最適な材料として利用できます。
12月に入った頃よりようやく寒さが少し強まり、毎朝、畑一面が霜で真っ白に染まるようになってきました。秋のうちに種を播いて現在収穫時期を迎えている大根や人参に、土をかぶせたり貯蔵穴の中に埋め込んだりして、霜が直撃しないように防寒しています。
畑にどんな種を播いても発芽しない寒い冬でも、秋に育てた作物をしっかりと防寒して貯蔵していれば出荷し続けることができます。冬の3か月間もの長い期間に作物を土の中で貯蔵できるのは、冬の気温が低いおかげです。3月になって春めいて暖かくなっていくと、たちまち貯蔵が効かなくなって作物は傷みやすくなり、出荷は終了します。
冬はどうしても全国的に野菜の生産が減って野菜不足となります。相対的に冬になると、小林農場の野菜に出番が回ってきます。秋に作った作物をしっかり防寒して貯蔵しながら冬に出荷できれば、多くの消費者の方々に喜ばれます。
寒くなると作物は凍死してしまわぬように、一生懸命に体内から水分を排出し、その分、作物の味が濃くなります。私たちは冬に、変化してゆく作物の味を楽しむことができます。
冬はただ単に、春が来るまで寒さに耐え忍ぶだけの季節ではありません。農家はこの寒さによってもたらされる恩恵をしたたかに生かそうとしています。
したたかなのは樹木も同じ。葉を全て落とし樹形を露わにした冬の樹木の姿には、凛とした美しさがあります。桜も梅も、暖かな時期に花を咲かせて種を残そうと、寒さを感じることによって冬芽を膨らませて、春が来たときに美しい花を咲かせる準備を始めています。
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