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2016年1月16日 (土)

競争が向かう先  平成27年11月26日

競争が向かう先  平成27年11月26日

落葉の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  最近のニュースでよく耳にする話題がTPP(環太平洋連携協定)。日本を含めた太平洋地域の国々の間での貿易自由化を目指して交渉が進められています。TPPを歓迎する方々も多いかと思いますが、私はTPPに反対です。

TPPは経済を活性化させるため、太平洋の広い地域で自由競争をおしすすめてゆきます。過度の自由競争の結果、競争力の高い人々ばかりに富が集中して、その他大勢の人々は貧困に苦しむようになり、格差が拡大してゆくことが予想されます。貧困層におしやられた人々は不満を噴出させて、争いの絶えない不安定な社会になるかもしれません。TPPが太平洋地域の人々の間に広めてゆくものは、「交流」よりも「憎悪」だと思います。

 TPPに対応しようと、日本政府は国内農業の国際競争力を高めるために、競争力の高い農家に農地を集約させて、大規模な農場経営をできるように支援してゆく方針のようです。そうしたほうが、たくさんの農家がそれぞれに狭い農地を管理するよりも国内農業全体の経済効率は良くなり、競争力がつきます。しかし、一部の競争力の高い農家以外のその他大勢の農家は、自分たちの農地を差し出して農業をやめなくてはいけなくなります。

  私が知っている農業は多種多様な人間を受け入れてくれる懐の深さに魅力があり、私のような世間知らずで一般常識のない人間でも農業の世界で生活してゆくことができました。競争力の高い限られた農家しか続けていくことができないような弱肉強食型の競争に基づいた農業に、私は魅力を感じることができません。

  私は今まで、小林農場の野菜を食べてくださる消費者を増やそうと努力してきました。それは同時に、他の農家から消費者を奪う行為でもあります。私も今までしっかりと、他の農家の方々と競争をしてきました。でも、たいていの農家は自分たちの生活を成り立たせていくために仕方なく競争をするのであって、競争社会を賛美しているわけではありません。競争に勝って全国的に名の知れた農家になろうなどと大きな夢を持たなくても、豊かな自然の中で家族や仲間と仲良く暮らしていければ、それで十分に幸せなのです。

  私もスポーツの世界では競争がなければつまらないと思うし、原発事故を起こして問題となっている電力業界には自由競争を取り入れるべきだと思っています。でも農業に競争を取り入れると、おそらく、高収入を目指した環境破壊型農業が横行すると思います。

競争を生き甲斐としている人の生き方を否定するつもりはありません。ただ、競争を望む人は競争を望まない人の暮らしを巻き込まないようにする配慮が必要だと思います。全ての人々の暮らしに影響を及ぼしてしまうTPPには、そのような配慮が全くありません。

  農家の方々は、良い栽培方法を新たに見つけたら、それを「企業秘密」にして独り占めにするのではなく、他の農家にもその方法を教えて情報交換しています。小林農場が現在行っている栽培技術は、他の農場から教えてもらったものばかりです。農家同士が競争するのではなく共存共栄していこうという風土の中で、小林農場は生かされています。

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