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2015年11月 7日 (土)

TPPについて・私が思うこと

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が関係国の間で大筋で合意されました。このニュースは大きく報道されていますし、私もこのユースには関心をもっています。

TPPが本当に発動されれば、全ての国民の暮らしに大きな影響を及ばされると予想されています。自由競争がおしすすめられ、ますます富裕層と貧困層の格差が広がり、貧困層におしやられた人々は不満を募のらせ反乱を起こし、争いの絶えない世の中になり・・・。TPPが太平洋地域の人々の間にもたらしていくものは「交流」ではなく「憎悪」だと私は思いますが、みなさんはどう思いますか?

自由競争の中、安い農産物がたくさん輸入されて、安くない国内産の農産物は売れなくなって国内の農家は経済的に苦境に立たされると予想されています。そのため、国内の農家に競争力をつけさせるため、政府は農場の大規模化、経営効率化を呼び掛けています。

私はそのような流れに疑問を感じています。以下に過去の「農場通信」を2つ、再公開してみました。TPPを考える上でもう一度、自分の考えを再確認してみたいと思います。

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小さき者たち   平成25年12月9日

師走の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  日本の国土には山がたくさん連なっていることもあり、古くから日本の農家はわずかに広がる平地に創意工夫を加えながら小さな田畑を開拓してきました。農場の規模は小さく、それをさまざまな小さな家族農家が管理してきました。

  日本政府は近年、小規模家族農家が中心だった日本型農業を改め、広い面積の農地を大規模に管理して経営していけるような企業的・大規模農場に農地を集積させようとしています。農地の面積を拡大すれば、農場経営の経済効率が上がります。

大規模化によってお金儲けしやすくなって農家が意欲的に農業に励むようになることが政策の狙いです。ただし、とても人の手だけでは広い面積を管理できなくなるので、機械や資材に頼る機会が多くなり、栽培方法が自然からかけ離れていきます。

小林農場では自分たちが食べる野菜を自給していくことが大切だと考えて、あらゆる種類の旬の野菜を栽培してきました。いつも何種類もの作物の世話をすることは手間がかかりますが、それによって農場内の生物の多様性は保たれ、豊かな生態系が育まれています。お金儲けを一番の目的にして大規模化した企業農家は、売れる作物しか作らなくなるので、広い農地にわずかな種類の売れる作物しか作らず、場内の生態系を貧しくしてゆき、ますます農薬や化学肥料を頼りにしなくてはいけなくなります。

要するに、ものすごく単純に言ってしまえば、農場を大規模化・企業化させればお金儲けはしやすくなるけれど自然環境への負担を増やしてしまいます。豊かな自然環境を保全しながら農業を営んでいきたいと考えたとき、自ずと小さな農家が小さな規模で田畑を管理していくことが良いという結論になります。

もっと言ってしまえば、我が家の食の自給のためだけを目的とした小さな小さな家庭菜園こそが、最も自然に優しい作物栽培の姿だと思います。政治家も医者も教師もサラリーマンも、どの世帯もみんな家庭菜園を持って、ほんのわずかな時間でもいいから仕事の合間に野良仕事をして我が家の食材を自給していければ、ずいぶんと自然に優しくて人の健康にも良い社会が実現することでしょう。

消費者が自分たちの食べ物を自給すれば、もう専業農家は商売できなくなるかもしれませ。でも、自給自足が当たり前のステキな世界がやってくれば、私は喜んで専業農家をやめます。「専業」という型から解放されて、もっと好きなように農を楽しめるでしょう。

農業の大規模化を進めようとする政府の方針を、多くの報道機関も支持しています。どのようにして小さな農家を離農させて大規模な農家に農地を集積させていくかを真剣に論じている記事を目にすると、悲しくなってきます。大規模化を目指す農家がいてもかまわないと思いますが、政府や報道機関が小さな農家の存在を否定するのはいけません。

小林農場も小さな農家です。大規模化・企業化することを拒み、小さいことに誇りを感じる農家は小林農場以外にもまだまだたくさんいます。

要するに、自給自足的で規模が小さい農園ほど自然環境への負担は少なくてすみ、収入を増やそうと規模を大きくすればするほど、自然環境への負担は大きくなると、私は思います。

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3.11は安全を考える日~信頼の中にこそ~ 平成26年3月10日

日ごとに春めいてまいりました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  今から3年前に発生した東日本大震災と福島第一原発事故。原発事故の記憶が生々しく残りまだ東北・関東地方の農作物の安全性をめぐって混乱が収まらないでいた頃に、中年の女性の方から小林農場に電話で野菜セットについてのお問い合わせをいただきました。

  「食材への放射能汚染について心配しています。安全に食べられる野菜を探しています。そちらで作っている野菜は絶対に安全ですか?」とたずねる女性。

  「出荷する野菜は定期的に放射能検査をしていこうと思っています。それで、国が定めた規制値を下回るようであれば、出荷していこうと考えています。」と応じる私。

  「私たちの家族の中には幼い子もいます。絶対に安全だと生産者の方が言っていただけないような野菜を買うことはできません。」と女性。

  「放射能汚染の危険性についてはまだはっきりと分からないことがたくさんあります。とりあえず国が定めた規制値に基づいて、その数値を下回るようであればそれほど大きな危険はないと判断して出荷していきたいと考えています。」と同じことを繰り返す私。

  けっきょく女性は野菜セットを注文することをあきらめて電話をきりました。彼女に対して他に対応の仕方がなかったのだろうかと、今でもその時のやりとりを思い出します。

あの頃はどれくらいの被ばく量が安全なのか危険なのか、国の定めた規制値が適切なのかどうか、私の頭の中でも整理しきれずにいました。はっきりと「絶対に安全なので全く心配しなくてもいいですよ。」などと軽々しく言う気にはなれませんでした。

放射能汚染を避けるために国内産の農産物を買うことを避けて外国産の農作物を買えば、放射能の心配は減るかもしれません。でも、国内産では滅多に見られないような残留農薬を多く含む食材や遺伝子組み換え食品、あらゆる偽装がされた食品などが日本の市場に侵入するようになり、新たな危険性を抱えることになるかもしれません。

農薬や食品添加物や遺伝子組み換えや食材偽装など、他にもたくさん食品にまつわる深刻な問題があるのに、放射能汚染のことばかりが注目されて、福島県や東北・関東地方の農産物ばかりが危険視される風潮に、違和感を感じずにはいられませんでした。

さまざまな環境汚染が全世界に広がっています。どの食材にもなにかしらの危険性があります。世界中、どこを探しても「絶対に安全な食材」を見つけるのは困難でしょう。どんなに生産者が努力しても、「絶対に安全な食材」を作れないのが現実です。

しかし、生産者も消費者も努力すれば、食品の安全性を高めていくことはできます。東日本に暮らしている消費者の方々が顔の見える地元の生産者と共に、放射能汚染の中でどのようにして食品の安全性を高めていくか対策を練る。そうすることによって、どこか遠くの正体の分からぬ食品を入手するよりも、食の安全を確保していけると思います。

生産者と消費者が顔の見える信頼関係を築く中で作り出される食材こそがこの世で一番安全な食材なのだと、私は思います。

要するに、生産者と消費者の距離が近ければ近いほど食の安全性は高まり、遠くなればなるほど安全性も低くなると私は思います。

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