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2015年9月27日 (日)

軽い「安全」

軽い「安全」   平成27年8月14日

残暑お見舞いもうしあげます。みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  九州電力・川内原発が再稼働されたニュースが連日、報道されています。この2年間ほど日本では原発が稼働されてきませんでしたが、日本政府は再び原発を再稼働してゆく方向へと舵を切り出しました。

  4年前の福島第一原発事故では、福島や東日本一帯の空、海、大地が放射能によって汚染され、農産物の安全性が脅かされました。私自身も私の周りの農家の方々も酷い目にあった記憶が、今でも私の脳裏にはくっきりと焼き付いて消えることがありません。

  原発がなくても日本の電力は十分に足りています。原発は最もコストの高い発電方法なのだから、長い目で見れば、原発をなくすことは日本の経済にも良いことです。

  いったいなぜ、原発を再稼働させなくてはいけないのか、私にはさっぱりわかりません。今でも福島第一原発事故の事故原因がはっきりと分からず、原発の安全性が確保できぬままに原発が再稼働されていくことに、憤りを感じます。

  福島第一原発事故が発生した直後、東日本に拡散された放射能による農産物への汚染状況がはっきりつかめず、混乱していました。農産物は本当に放射能で汚染されて危険なのか、それともそれはただの風評なのか、よくわかりませんでした。

  早い段階から行政は農家を風評被害から守るために、農産物の安全性を強調して消費者に安心感を届けようとしてくれました。ただ「行政は本当のことを言っているのだろうか?何か隠し事をしてはいないだろうか?」と疑念を強める消費者も増え、逆にますます福島や東北・関東地方の農産物が避けられてしまうこともありました。

  いっぽう、私の周りの農家の方々は、ご自身が作っている農作物が汚染されてしまった可能性があると判断して、しばらくは自主的に農作物の出荷を自粛していました。ご自身の農作物を検査機関で検査して、安全性を確認した上で、ようやく出荷を再開されていました。

  それでも放射能汚染に関してはわからないことが多く、まだ汚染の危険性は残されていると判断して、何度もいろんな農作物を検査機関で検査して、継続的に安全性を確認していました。そのような農家の方々の誠意ある行動が消費者への信頼感を高めていきました。

  安全性を強調しなくてはなかなか消費者が農産物を買ってくれないという現実は確かにあります。しかし現在の地球環境は、放射能汚染以外にもいろんな化学物質が拡散されて汚染されています。これらの汚染を全く受けずに農産物を生産することは困難な状況です。

  農家は自分が作っている農産物にどのような危険が潜んでいるかを明らかにしてゆき、それに対してどのような対策をしているかを丁寧に説明してゆくことができれば、消費者のみなさんに安心感をお届けしてゆくことができると思います。

  誰の目から見ても安全性が確保されぬままに「安全性を確保した」として再稼働されてゆく原発は、いつまでたっても国民の信頼を得ることができません。皮肉な言い方をさせてもらえば、原発は模範的な反面教師だと思います。

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