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2015年8月 1日 (土)

夏休み特別企画 農業ってなんだろう? 私なりの農業論 その3

夏休みになりました。

そこで特別企画「私なりの農業論」。
農業とはなんなのかを語ってみた過去の農場通信を集めて、再公開いたします。
今回は2年前に書いた農場通信より。

迷子の帰れる家   平成25年12月23日

今年もいよいよ残りわずかとなってしまいました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  今の時代はインターネットなどが発達して、必要な情報が必要な時にすぐに手に入る便利な世の中になりました。いっぽうであまりに情報があふれすぎて、どれが必要な情報でどれが間違った情報なのか分からなくなってしまいそうになります。

  私たちが暮らしていくには最も必要なものはなんでしょうか?お金でしょう、いいや愛でしょう、いやいや・・・。100人の人がいれば100の答えが出てくるでしょう。

  多様な情報や価値観があふれて複雑化していく現在の中で、それでも進むべき道を自分で選ばなくては前を向いて歩いていくことができません。あまりに世の中が便利になりすぎて、あまりに個人が自由になりすぎて、逆に自分がやりたいことや必要なことを見つけられない人が昔と比べて増えているのではないでしょうか。若い頃の私もそうでした。

  でも、誰もが必ず必要としているものもあります。それは空気と水と食べ物です。この三つがなければ人は生きていけないという事実に異論を唱える者はいないでしょう。

  食べ物を作ることによって大地も空気も水も健全に保っていく仕事、それが農業です。最も人が必要とするものを産みだし、最も命の根源に近い場所にある仕事だと思います。そう思って、農業とは関係のない人生を歩んできた私は農家になる決意をいたしました。

  それから農業研修を始めて十年以上の月日がたちましたが、辛いとか苦しいとか思ったことはあっても、農業をやめたいと思ったことは一度もありませんでした。自分は生きていくのに必要なことをしているという手応えを感じる毎日でした。

  人生を楽しむことはとても大事です。でも、人生を楽しまなくてはいけないと強く思っている人ほど、自分が心から楽しめるものを見つけられずに落ち込んでしまうことが多いです。私はそのような人を今までたくさん見てきたし、私自身もそのような人間でした。

  心から楽しめるものを見つけた人は本当に幸せだと思います。でも、人の心は移ろいやすいもの。今まで楽しいと思えていたことが楽しいと思えなくなる日が必ずやって来ます。それでもそれを続けていけるのかどうかが問われます。

  私にとって農業とは、「楽しいからやる。楽しめなくなったらやめる。」という次元の世界ではありません。楽しいか楽しくないか、自分のやりたいことなのかそうでないのか、いちいちそんなことを考えなくても続けていけるのが農業です。そのような仕事を手に入れた今の私は幸せ者だと思っています。迷って迷子になることがないのだから。

  農業は迷った人たちが帰れる家を常に用意しています。どんなに時代が混迷の度合いを増して複雑化していこうとも、農業は人にとって最も大切なものだけを簡単な形にしてわかりやすく私たちに与えてくれます。私はそう信じています。

  小林農場の野菜セットを食べてくださったみなさん、今年も一年間、お世話になりました。みなさんからいただいた支えを胸におさめ、農業を「みんなが帰れる家」と思って大切に守っていきたいと思います。みなさん、良いお年を。

私なりの結論・・・農業とは、理屈抜きにして人類になくてはならないもの。

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