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2015年8月

2015年8月31日 (月)

栽培暦 8月23日~8月29日(ヨトウムシやネキリムシの対策について)

この週に行った仕事です。

収穫,出荷  大掃除  育苗 定植(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、サヤインゲンなど)  播種(大根、かぶなど)  除草(サトイモ、人参など)  ジャガイモ収穫  播種(白菜、春菊、レタス類など)  

小林のひとり言

今の時期が1年間で最も虫害に悩まされる時期。小林農場ではヨトウムシやネキリムシによって度々大きな被害にあっている。キャベツなどの苗を畑に定植した後、そのわずか数日間のうちに苗が根元から食い切られてしまう。せっかく手間をかけて育てた苗が、無残にも消えてなくなってしまう。

切られて苗の株元を手でほじくってみると、ヨトウムシやネキリムシを見つけることができるので、捕まえておけば被害の拡大を防ぐことができる。でも見つけることができずに被害の拡大を防げないときもある。

とにかく何度も畑に足を運んで虫に切られてしまった苗はないか確認し、切られていたらその株元をほじくってみること。虫を捕まえるまでこの確認をしつこく行う以外に防虫方法はない。毎朝、その日の一番最初の仕事は畑に定植した苗を見ること。1日に最低2回は苗を植えたばかりの畑に足を運んでいる。この習慣を苗を畑に植えてから2週間は続ける必要があると思う。

 

2015年8月30日 (日)

8月28日の野菜セット(トウモロコシの出荷について)

以下は8月28日の野菜セットの内容です。

じゃがいも、玉ねぎ、ナス、キュウリ、ピーマン、オクラ、トマト、中玉トマト、赤ピーマン、ゴーヤ、トウモロコシ、モロヘイヤ、クウシンサイ、青シソ

小林のひとり言

トウモロコシは虫害にあいやすくて出荷しにくい作物。ずっとトウモロコシ栽培には苦手意識があり、マジメにトウモロコシを栽培してこなかった。

今年、初めてトウモロコシを野菜セットの中にに入れてみた。皮をつけたままだと中身が虫に食われているかどうか確認できない。だからといって皮を取り除いてしまえば中身の鮮度が落ちやすい。とりあえず皮を一度むいてみて、中身が良い状態であると確認できたらまた皮を元に戻して出荷してみた。だから、なんだか見た目がくしゃくしゃな感じになって出荷することになってしまう。トウモロコシの出荷方法は試行錯誤している。

収穫してみると、意外に虫害のないトウモロコシが多かった。トウモロコシの栽培に不必要に神経質になることもないと思った。

トウモロコシをお届けすると、多くの方々に喜んでいただけた。トウモロコシは人気のある作物なので、これからはマジメに栽培して、夏の野菜セットに当たり前のようにトウモロコシを入れられるようにしてゆきたい。

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2015年8月27日 (木)

8月16日~8月22日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットの内容です。

じゃがいも、玉ねぎ、ナス、キュウリ、ピーマン、オクラ、トマト、中玉トマト、ゴーヤ、赤ピーマン、米ナス、モロヘイヤ、空芯菜、青シソ、トウモロコシ

小林の独り言

8月にしては肌寒い天候が続き、多くの農家では夏野菜の収穫が不調のようだ。小林農場でも先週まで売るのが大変なほどたくさん収穫されていたナスやキュウリが、今週はウソのように収量が減ってしまった。

今後の夏野菜の見通しはあまり明るくない。特にキュウリは毎年、この時期はよく売れるだけに、収量がとれなくなってしまってとても残念だ。

夏野菜の管理よりも秋から採れる秋野菜の管理に神経を集中してゆきたい。

2015_02110088写真の右は緑色の一般的なピーマン。これらが収穫されぬまましばらく時間が経つと写真の左のように熟して赤く染まる。赤ピーマンは甘味と酸味が増して甘すっぱくなっておいしく、私はよく、サラダにして食べたりしている。秋が近くなるこの時期になると、間もなく寿命を迎えることを感じて、ピーマンは種を残そうと次々に熟して赤く染まっていく。

2015年8月22日 (土)

説明書きのない写真館

今までずっと使い続けてきたパソコンが、ついに寿命を迎えました。新たに農場にやって来た新米パソコンでの初めてのブログ更新を記念して、今まで写真に収めてきた農場の風景の写真を集めてみました。写真の内容の説明はなし。みなさんがご自由に想像しながらご覧ください。

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2015年8月12日 (水)

九州電力・川内原発、再稼動。今思うこと。

8月11日、九州電力の川内原発が再稼動。今まで約2年間、日本の全ての原発は停止していましたが、再び日本は原発を稼働してゆく方向へと舵を切りだしました。近いうちに関西電力・高浜原発や四国電力・伊方原発なども再稼働されてゆく見通しです。

私は原発は必要ないと思っています。原発がなくても必要な電力は十分に足りています。他のどの発電方法よりも原発による発電はコストが高く、今まで稼働させるために巨額の国民からの税金が投入されてきました。

原発は地球温暖化ガスを排出しない地球環境にやさしい発電と言われたりしましたが、その効果もかなり限定的です。もともと地球温暖化防止を目的にして作られた技術ではないのだから。

それよりも、原発は処理ができない大量の核廃棄物を後世に残します。地球環境問題を真剣に考えている人は、原発を「環境にやさしい技術」とは思わないでしょう。

原発事故は悲惨な環境汚染をもたらします。そのことを日本人はつい最近に嫌というほど思い知ったはずでしょ?

原発を再稼働しなくてはいけない理由が私にはわかりません。政治家や電力会社が「原発利権」を守りたいから原発を再稼働させているとしか思えません。

来年、参議院選挙があります。私は脱原発を公約してくれる立候補者に1票を投じたいと思います。

選挙によって脱原発に取り組んでくれる国会議員を1人でも多く増やしていくこと。こうする以外に脱原発を実現してゆく手段は思いつきません。

今回の川内原発再稼動で悔しい思いをされているみなさんは、必ず来年の参院選挙で選挙権を行使してください。福島第一原発では多くの農家が酷い目にあいました。一人の農家としてみなさんに、脱原発に取り組む立候補者に票を投じてくださるよう、お願いいたします。

小林農場の野菜を食べてくださっている方々の中にも、原発の再稼動に賛成されている方もいるかもしれません。機会があれば、原発再稼動に賛成する理由をじっくりお聞きしたいです。違う考えを持つ者同士が意見を交換できる雰囲気を保つことが大切だと思っています。

2015年8月11日 (火)

九州電力・川内原発、再稼動か?今思い出したい福島第一原発事故 その4

九州電力・川内原発が再稼動されることになり、日本は再び電力を原発に頼る政策へと向かうことになりました。

そんなときだからこそ思い出したい福島第一原発事故のこと。

以下は、原発事故発生から約1ヶ月後に書いた記事。小林農場が設立されてすぐに原発事故が発生し、混乱状態の中で書いた記事です。

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小林農場のある栃木県芳賀郡は、地元の作物を地元の食材として消費する、地域内の食の自給を大切にしている土地柄があります。地元の小学校や中学校の学校給食に作物を出荷している地元の農家のグループがあり、小林農場も参加させていただくことになりました。

先週、そのグループの集会に初めて出席してきました。高齢ながらも生産意欲の高い農家の方々の元気っぷりに、圧倒されてきました。

会議が一通り終わった後、しばらくみんなで雑談をしながらすごしました。必然的に東日本大震災や福島原発事故が、話のネタとなりました。みなさん、被災しながらもその表情は明るく、地元の仲間との語らいを存分に楽しんでいるようでした。何度か余震が音を立てて会議場を揺らす中でも、みなさんの笑い声が絶えることがありませんでした。

福島原発事故の放射能漏れにより、栃木県ではホウレンソウなどから規制値を超える放射線が検出され、それらの品目は出荷を規制されることになりました。県は放射線と接触しやすい作物や出荷量の多い作物から優先的に検査を行っているようですが、手が回りきれず、すべての品目を検査しきれていないのが現状のようです。

ホウレンソウは出荷が規制されましたが、同じ葉物野菜で同じように放射線を浴びているであろう小松菜は規制されていません。県の職員の方に問い合わせてみると、小松菜はまだ検査をされていないとのことでした。

厳密に検査するにも限界があります。実際に栃木県産の露地野菜は放射線を浴びているわけで、消費者にはその事実を伝えて、買うか買わないか、消費者の判断に委ねるべきです。

農場の畑で収穫時期を間近に控えた小松菜を、腕組みしながら眺め、しばらく考え込みました。この小松菜を出荷して人に食べてもらう上で、安全面において、本当に大丈夫なのだろうか?私のまわりの農家では、同じように悩み、良心に問い、涙を飲んで露地野菜全ての出荷を自粛する方が相次ぎました。

各自治体が大気中や水道水に含まれている放射線量を毎日測定して、公表するようになりました。これらの放射線量の数値が、自分の身の回りや自分が育てている作物が安全かどうかを確かめる指標となります。ただ、これらの数値の解釈はまちまちで、「この数値なら問題ない。」と語る専門家がいれば、その逆を語る専門家もいます。

4月中旬ごろには、県は土壌の放射能汚染の分析結果を公表する見通しです。今は不明なことが多くて悶々とした状態ではありますが、次第にいろんなことが明確になり、対策をたてていけると思います。

今、私ができる大切なことは、浮き足立つことなく、普段通りに畑に種を播いていき、普段通りに畑仕事をこなしていくことだと思います。まずは仕事を進めていかないことには、何も道は見えてきません。

農場の会員を募って野菜セットを販売していこうと考えていましたが、福島原発事故がもう少しおさまるまで、販売を延期したいと思います。農場の会員となってくださった方々とのお付き合いを、できるだけ落ち着いた状態で始めたいと思っています。

農家として独立する前に用意しておいた独立資金が手元に残っているので、独立一年目は収入がなくても、自分一人だけの生計をたてていくのに困ることはないでしょう。経済的に余裕を残しているうちに販路を開拓しておきたいと思っていますが、焦らずにやろうと思っています。

楽観も悲観も入り混じった嵐のような天候になりましたが、小林農場 風家(かざいえ)、これより、出航いたします。いざ!

2015年8月 9日 (日)

8月4日、8月7日、8月8日の野菜セット

以下は8月4日、8月7日、8月8日の野菜セットの内容です。

じゃがいも、玉ねぎ、人参、ナス、キュウリ、ピーマン、オクラ、中玉トマト、ズッキーニ、甘トウガラシ、米ナス、モロヘイヤ、クウシンサイ、フダンソウ
小林のひとり言
  今まで毎日たくさんの実をならしたくれていたナスが、少しバテてきたか、収量が落ちてきている。収穫しながら整枝して、古い枝を切り落として新しい枝を生やしてみようと思う。
  4月に種まきされたキュウリがまだ実をならし続け、さらに6月に種まきされたキュウリも収量が上がってきている。しばらくキュウリはたくさん収穫されるだろう。
  7月に種まきしたキュウリの苗を畑に定植した。このキュウリは11月に霜が降りるまで収穫できる。
  よってキュウリは6月から11月まで連続して出荷できる。ただ、4月頃に1回だけ種まきして、そのあとは種をまかない生産者が多いようだ。8月中旬以降になるとキュウリを出荷する生産者が減り、小林農場のキュウリがよく売れるようになる。

2015年8月 8日 (土)

九州電力・川内原発、再稼動か?今思い出したい福島第一原発 その3

九州電力・川内原発が早ければ8月10日に再稼動されることになり、再び日本は原発を活用してゆく方向へ向かおうとしています。

そんな時だからこそ思い出しておきたい福島第一原発事故のこと。過去にこのブログで原発事故について扱った記事を集めて再公開してゆきたいと思います。
今回は事故から2年後に書いた記事。

食の安全を守るとは?思い出す日

今年も311日を迎えました。2年前のこの日に起こった東日本大震災、それに伴って発生した東京電力・福島第一原発事故の記憶は、今までに一日たりとも消えたことはありませんでした。

  原発事故によって福島県とその周辺地域は深刻な放射能汚染を受けました。山の幸、海の幸、そして田畑で採れる農作物からも高い数値の放射線が検出され、食の安全がいちじるしく脅かされました。

  原発事故後、政府は今まで厳しく設定されていた一般人への被ばく限度量の基準を大幅に緩めました。原発事故によって大量に放射性物質が播き散らかされ、厳しい基準を厳密に守ることは難しかったのでしょう。基準を緩める処置も、やむをえなかったかもしれません。

  ただ、安全かどうかはっきり分からない状況を「安全だから心配しなくてよい」と宣言してしまう政府の対応は、やりすぎだと思いました。今まで厳しかった基準を緩めてしまって、「安全」などと安易に言えるわけがありません。

  なんとか国民の不安を払しょくして安心感を与えようと、今回の原発事故の被害を実際よりも小さく見せたいという政府の思惑がどうしても透けて見えてしまいました。多くの国民が政府の発する情報を信じられなくなってしまいました。人々はあの事故発生時、今後の自分たちの行動を決めていくためにも正しい情報がほしいとのぞんでいました。ウソでもいいから「安全」と言って安心感を与えてほしいと望んでいたわけではありません。

現在、福島県産の多くの農産物は検査の結果、ほとんどが放射能汚染による悪影響はないことがわかってきました。でも、政府と国民の間の信頼関係が切れてしまっていては、どんなに政府が「福島県産は安全」と国民に呼びかけても、国民はなかなかそれを信じてくれません。

原発事故当時、私のまわりの農家の方々は、放射能汚染を受けた可能性のあるすべての露地野菜の出荷を、検査でしっかりと安全性が確かめられるまで自主的に自粛していました。出荷を続けた農家の方々も、安易に「安全」と言わずに消費者に対してできるだけ正確な情報を伝えることを心がけ、不安に思って離れていく消費者を無理に引き止めることをせず、消費者の意思を尊重していました。

経営的に大きな損害を被ることになっても、まずは消費者の健康を一番に考えて行動した心ある農家の方々の姿が見られました。農家として食の安全を守るとはどういうことなのか、悩み、考えぬく日々でした。311日を迎える度に思い出します。

2015年8月 4日 (火)

九州電力・川内原発、再稼動か?今思い出したい福島第一原発事故 その2

九州電力・川内原発が早ければ8月10日に再稼動されることになり、再び日本は原発を活用してゆく方向へ向かおうとしています。

そんな時だからこそ思い出しておきたい福島第一原発事故のこと。過去にこのブログで原発事故について扱った記事を集めて再公開してゆきたいと思います。
今回は原発事故発生してから半年後に書いた記事より。
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先週、「放射能から子供を守る方法」という演目で講演が行われていたので、私も参加してきました。

まだ、生まれたばかりの赤ん坊を抱えながら、母親が発言していました。「原発事故後、被ばくしている東日本産の食材を避けて他の産地の食材を購入してきたけれども、手に入る食材の種類は限られ、食生活に無理がかかり、家族はストレスを感じ始めてきた」、と。

私と同世代の若い母親が必死の想いで我が子の健康を守りぬこうとしている姿を目にすると、胸が打たれます。

どんなに規制値を大きく下回っていても、たとえ放射性物質が検出されなくても、福島周辺地域産の食品は食べたくない。そのような消費者の方々の気持ちは、理解できます。

ただ、このまま消費者の支えを失えば、生産者の暮らしは成り立たなくなり、農地は放棄され、人の足がふみいることのできない荒地と化します。日本人の命の糧を産み出してきた産地が、日本人の心の原風景でもある産地が、たくさん福島周辺から消えてなくなってしまいます。

自分たちの地域で、自分たちの国で、食糧を自給していくことは、この上なく大切なことだと思います。放射能から身を守ることが大事であると同時に、日本の産地を守っていくことも大切です。

前述した母親のように、関東に暮らしていて東日本産の食材を完全に避けることは容易ではないようで、放射能対策のためにと無理をした食生活を強いて心身の健康を崩してしまうことも懸念されます。

栃木県で定期的に県産の農産物の検査が行われていますが、ほとんどが放射性物質は不検出です。地元の農家や私自身も農作物を検査機関に提出して検査してもらいましたが、やはりたいてい、不検出でした。

現在、私は地元の学校に学校給食の食材として野菜を出荷して、地元の子供たちにも私の野菜を食べてもらっています。私は検査で不検出の野菜であれば出荷していこうと考えていますが、みなさんはどう、思いますか?

私は、モニタ二ング検査によって導き出された数値を見て自分の野菜を出荷して大丈夫かどうか判断していくつもりですが、みなさんはなにを基準にして食材を選びますか?

生産者と消費者が一体となって、食の安全について考える頃なのだと思います。

2015年8月 3日 (月)

九州電力・川内原発、再稼動か!?今思い出したい福島第一原発事故 その1

九州電力・川内原発が早ければ8月10日に再稼動されることになり、再び日本は原発を活用してゆく方向へ向かおうとしています。

そんな時だからこそ思い出しておきたい福島第一原発事故のこと。過去にこのブログで原発事故について扱った記事を集めて再公開してゆきたいと思います。
今回は2年前の記事より。

打てない終止符   平成25年11月18日

向寒の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  11月10日、栃木県宇都宮市にて、原発再稼働反対を訴える大規模なパレード「さよなら原発 栃木アクション」が行われ、私も参加してきました。2000人を超える一般人が足を運び、「原発はいらない!」と声を上げながら、市内の中心街を練り歩きました。

  私が農業研修を終えて農家として独立して小林農場を設立したのは、平成23年の1月のことでした。そのわずか2カ月後の3月11日に東日本大震災が発生し、悪夢の原発事故が引き起こされました。小林農場の歴史は、福島第一原発事故とともに始まりました。

  事故によって栃木県内にも放射性物質が拡散し、当時、放射性物質によって自分たちが育てている野菜がどのくらい汚染されているのかよく分かりませんでした。私のまわりの農家の中には、汚染の状況がはっきりと分かるまで野菜の出荷を自粛する方もいました。

  私は収穫時期を迎えた小松菜をさっそく出荷してみました。出荷することによって、まだ設立したばかりの農場の第一歩を踏み出したかったので。

  もし自分が出荷した小松菜が本当に放射性物質に汚染されていて、それを食べた人が健康被害を被ってしまったらどうしよう?出荷した後になってそのような不安がこみあげてきて、背筋が凍りついてきました。第一歩を踏み出してみたら、つまずいてケガをしました。一回出荷したきり、小林農場もしばらく出荷を自粛することにしました。

  現在は日本の田畑の性質では作物に放射性物質が移行しにくいことが分かり、検査をしてみても作物から放射性物質が検出されることはほとんどなくなりました。ただ、原木で育てたシイタケなどのキノコ類や山菜類、イノシシなどの獣肉など、除染の難しい山から採れる「山の幸」からは今でも高い数値の放射性物質が検出され、私たちの地域でもこれらの出荷が規制されています。小林農場でも原木でシイタケを作るつもりでいましたけれど、せっかく作っても、今は安心してシイタケを出荷できる状況ではありません。

  今年も行政から落ち葉を堆肥の材料として使うことを控えるように呼びかけられています。落ち葉には降り積もった放射性物質がたくさん混じっている可能性があるからです。

  小林農場が利用している雑木林には、原発事故当時に放射性物質を浴びた古い落ち葉もたくさん残っています。落ち葉で堆肥を作ったら必ず検査をして安全性を確かめようと思います。もし高い数値の放射性物質が検出されれば使用をあきらめなくてはいけません。

  原発事故によって被った小林農場への被害はまだまだ小さいもの。福島第一原発周辺の市町村で農業を営んでいる農家の方々は、本当に悲惨な被害を受けています。代々引き継がれてきた田畑が放射性物質によってもう使えなくなってしまうほどに汚染され、自分たちの田畑から離れなくてはいけなくなった農家の方々の絶望はどれだけ深いものなのか。

  この原発事故が起こった後に私が見たこと、聞いたことを、これからもずっと忘れずにいようと思います。そして、原発事故によって世の中がどのように変わっていくのか、私が死ぬまでずっと追いかけて見届けてみようと思っています。

2015年8月 2日 (日)

7月28日、7月31日の野菜セット

7月28日、7月31日の野菜セットの内容は以下のとおりです。

じゃがいも、玉ねぎ、人参、ナス、ピーマン、キュウリ、ズッキーニ、オクラ、トマト、中玉トマト、甘トウガラシ、米ナス、モロヘイヤ、クウシンサイ
小林のひとり言
  この猛暑の中、ナスもキュウリもピーマンもよく実をつけてくれている。強い日差しを受けても葉をしおらせることもないモロヘイヤの頼もしいこと。

2015年8月 1日 (土)

夏休み特別企画 農業ってなんだろう? 私なりの農業論 その3

夏休みになりました。

そこで特別企画「私なりの農業論」。
農業とはなんなのかを語ってみた過去の農場通信を集めて、再公開いたします。
今回は2年前に書いた農場通信より。

迷子の帰れる家   平成25年12月23日

今年もいよいよ残りわずかとなってしまいました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  今の時代はインターネットなどが発達して、必要な情報が必要な時にすぐに手に入る便利な世の中になりました。いっぽうであまりに情報があふれすぎて、どれが必要な情報でどれが間違った情報なのか分からなくなってしまいそうになります。

  私たちが暮らしていくには最も必要なものはなんでしょうか?お金でしょう、いいや愛でしょう、いやいや・・・。100人の人がいれば100の答えが出てくるでしょう。

  多様な情報や価値観があふれて複雑化していく現在の中で、それでも進むべき道を自分で選ばなくては前を向いて歩いていくことができません。あまりに世の中が便利になりすぎて、あまりに個人が自由になりすぎて、逆に自分がやりたいことや必要なことを見つけられない人が昔と比べて増えているのではないでしょうか。若い頃の私もそうでした。

  でも、誰もが必ず必要としているものもあります。それは空気と水と食べ物です。この三つがなければ人は生きていけないという事実に異論を唱える者はいないでしょう。

  食べ物を作ることによって大地も空気も水も健全に保っていく仕事、それが農業です。最も人が必要とするものを産みだし、最も命の根源に近い場所にある仕事だと思います。そう思って、農業とは関係のない人生を歩んできた私は農家になる決意をいたしました。

  それから農業研修を始めて十年以上の月日がたちましたが、辛いとか苦しいとか思ったことはあっても、農業をやめたいと思ったことは一度もありませんでした。自分は生きていくのに必要なことをしているという手応えを感じる毎日でした。

  人生を楽しむことはとても大事です。でも、人生を楽しまなくてはいけないと強く思っている人ほど、自分が心から楽しめるものを見つけられずに落ち込んでしまうことが多いです。私はそのような人を今までたくさん見てきたし、私自身もそのような人間でした。

  心から楽しめるものを見つけた人は本当に幸せだと思います。でも、人の心は移ろいやすいもの。今まで楽しいと思えていたことが楽しいと思えなくなる日が必ずやって来ます。それでもそれを続けていけるのかどうかが問われます。

  私にとって農業とは、「楽しいからやる。楽しめなくなったらやめる。」という次元の世界ではありません。楽しいか楽しくないか、自分のやりたいことなのかそうでないのか、いちいちそんなことを考えなくても続けていけるのが農業です。そのような仕事を手に入れた今の私は幸せ者だと思っています。迷って迷子になることがないのだから。

  農業は迷った人たちが帰れる家を常に用意しています。どんなに時代が混迷の度合いを増して複雑化していこうとも、農業は人にとって最も大切なものだけを簡単な形にしてわかりやすく私たちに与えてくれます。私はそう信じています。

  小林農場の野菜セットを食べてくださったみなさん、今年も一年間、お世話になりました。みなさんからいただいた支えを胸におさめ、農業を「みんなが帰れる家」と思って大切に守っていきたいと思います。みなさん、良いお年を。

私なりの結論・・・農業とは、理屈抜きにして人類になくてはならないもの。

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