やがて恵みの雨が降り 平成27年5月21日
やがて恵みの雨が降り 平成27年5月21日
緑風の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。
2月より育苗ハウスで種まきして育ててきた春野菜、夏野菜の苗。3月から大きく育った苗を次々と畑に植えてゆき、間もなく全ての苗が畑へと旅立とうとしています。
畑に植えられたばかりの苗の根は、まだうまく土から吸水できません。根がしっかり土に張るまでは、苗がかれてしまわぬように水を与える必要があります。植えつけられた後に降る雨によって苗は活力を得て、根を畑に張ってゆきます。
苗を植え付けた後に雨が降らないようであれば、自ら苗にかん水してゆく場合もあります。軽トラックの荷台に大きな水タンクを乗せて水をいっぱい満たして畑まで運び、水タンクから水をやかんに移して、やかんを持ち歩きながら畑に植え付けた数百個もの苗の株元に一つ一つ、水を注いでゆきます。ものすごく手間と時間のかかる作業です。
畑にすでにかん水施設が設置されていたらよいのだけれども、そうでなければあまりに手間がかかりすぎて、なかなか植えつけた後の苗にかん水する気力が湧いてきません。小林農場では毎日、天気予報を確認して雨が降る数日前に苗を植えているので、今までほとんど苗を植え付けた後にかん水しないですませてきました。
でも栃木県では今年の春、春野菜の苗を植えたい3月下旬から4月上旬に2週間ほど雨が降らず、夏野菜の苗を植えたい4月下旬から5月上旬には3週間もの間、まとまった雨が降ってくれませんでした。あちらこちらで農家は悲鳴をあげて雨乞いをしていました。
育苗ハウスの中で苗がすっかり大きくなって、狭いポットの中で窮屈そうにしていたので、雨を待たないで苗の植え付けを強行しました。乾燥しきった畑で直射日光にさらされた苗の葉は、遠くから見ても分かるくらいにくしゃくしゃにしおれてしまいました。
でも、よく観察してみるとしおれているのは外の葉だけで、苗の中心部から新たに生えてくる新芽には精気がありました。心配はしたけれど、かん水しないで様子をみました。
1週間以上も水が与えられない過酷な状況が続いた後、ようやく恵みの雨が降ってくれました。その後は連日暑い日となりましたが、苗は力強く葉を伸ばしてしおれることはありませんでした。もうこれで大丈夫だと安堵いたしました。
今年の春は雨が少なかったおかげで、私が思っていた以上に作物は水不足に対して耐性があることを学びました。雨が降らなくてもかん水する必要はあまりないと分かり、肩の荷が下りたような気分です。水不足を乗り越えて力強く根付いて収穫時期を迎えたレタスやブロッコリーを、現在みなさんにお届けしています。
数年前、雨が降らない時期にサツマイモの苗を植えたら、水不足のために苗をほぼ全部、枯らしてしまったことがあります。作物の種類や季節によっては、苗を植え付けた後にかん水しなくてはいけない場合もあります。
苗作りは苗を畑に植えたら終わりではなく、苗が無事に畑に根付くまで様子を見てあげることが大事です。畑に根付いた時の苗の姿は、まるで成人式を迎えた子供のようです。
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