落ち葉の現状 平成26年3月12日
落ち葉の現状 平成26年3月12日
仲春の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。
ちょうど今から4年前に発生した福島第一原発事故。福島県とその周辺地域に大量の放射性物質が飛散して、美しい山、海、空は深刻な放射能汚染を受けました。
今では田畑で収穫される米や野菜などはあまり放射性物質に汚染されていないことが分っています。ただ、山林は放射性物質の吹き溜まりになりやすく、キノコや山菜などの「山の幸」からは高い放射性物質が検出されて、これらの食品の出荷は規制されています。
小林農場では、農場の敷地内の山林より落ち葉をかき集めて使用しています。落ち葉を発酵させると発酵熱を発して、寒い冬でもその熱を利用して作物の苗を暖めながら育てることができます。発酵した落ち葉をそのまま寝かせると、1年後にはほどよく分解されて、苗を育てるための床土として使えます。
「山の幸」である落ち葉は比較的に放射能汚染の影響を受けやすく、行政は農家に向けて、落ち葉の使用を控えるように指導しています。そこで、試しに落ち葉の代わりにもみ殻を主体にして床土を作ってみましたが、その床土では苗はまともに育ってくれませんでした。落ち葉に代わる良質な床土の材料はないと思います。
落ち葉を使用していない床土をホームセンターで購入して苗も育てたこともあります。とても勢いのよい苗を育てることができました。ただ、購入した床土には私があまり使いたくない化学肥料なども含まれています。他にどんな物質が含まれていてどのような作り方をされているのか、実際に自分が見たわけではないので、確認しようがありません。やはり自分で作った素性の知れた床土こそが最も安心して使用できると考えています。
わらでもぬかでも、地域内で手に入る有機物を大切に循環させてきた日本の昔からの農業。私は、落ち葉によって床土を作るこの技術に惚れこみ、今までずっと実践してきました。後世に遺してゆきたい技術でもあり、今後も落ち葉を利用していくつもりです。
毎年、落ち葉で作った床土を、検査機関で検査してもらっています。土に含まれている放射性物質の量はBq(ベクレル)という単位で表しますが、国が定めている床土の規制値は「1kgあたり400Bq」。この規制値を超える床土は、使用禁止の対象となります。
「この規制値の設定は厳しすぎる」という声も農家からあがりましたが、数値が厳しいことは良いことです。検査してこの数値を下回れば、その床土を安心して使用できます。
今まで測定してきた小林農場の床土の放射線量は、1kgあたり100Bq前後で、規制値を大きく下回っています。落ち葉だけは今後も注意が必要だと私は考えています。油断することなく、毎年、床土の放射能検査を欠かさずに行いたいと思います。
原発事故から4年経っても行政は農家に落ち葉の使用を控えるように呼びかけている現状は変わりません。去年まで行政は農場の落ち葉床土を無料で放射能検査してくれていたのに、今年から検査すらしてくれなくなりました。今年は民間の検査機関に検査費を支払って検査してもらいました。検査結果より落ち葉の使用に問題はないと判断しています。
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