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2015年4月12日 (日)

サトイモ物語

サトイモ物語

小林農場で育てている作物の奥深き生き様を、ざっくりと物語ります。今回はサトイモについて。

畑に植えられたサトイモの種イモから、数枚のハート型をした、ヒトの顔ほどの大きさのある葉が地上部で生育します。サトイモの先祖は熱帯の大きな木が生い茂っている森の中で暮らしていました。地上に降り注いでくれるわずかな木漏れ日を逃さずに受け止めるために一枚一枚の葉を大きくしたのでしょう。葉の表面が大きいと、雨が降ったときにまともに葉は強い雨を受けて傷んでしまいます。よってサトイモの葉はろう物質を作り出して水をはじいて濡れないようになっています。雨降り後のサトイモ畑には、サトイモの葉の上にたまった美しい朝露がコロコロと転がっています。                   

  サトイモの種イモを植えた後、地下部では、種イモの上に新たに大きなイモが生まれます。これを「親イモ」と呼びます。親イモから新たに小さなイモが派生し、これを「子イモ」と呼びます。さらに子イモから派生したもっと小さいイモを「孫イモ」、孫イモから派生したイモを「ひ孫イモ」と呼びます。サトイモは地下部で、親イモを中心としてたくさんのイモがまるで大家族のように賑やかなイモの塊を形成していきます。
 (左の写真は一つの親イモに複数の子イモがくっついているサトイモの塊。右の写真はその塊をばらしたもの。子イモを食用にします。親イモは、次のサトイモ栽培のための種イモにします。)
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収穫は秋より。冬が来て霜が降りて地上部の葉が枯れる頃、人はサトイモを寒さから守るため畑から掘り出し、貯蔵用に深く掘った穴に埋めます。人は冬の間中、大事にサトイモを貯蔵穴から掘り出して食べ続けます。塊になっているイモをバラバラにしてしまうとイモは早く傷んでしまうので、食べる直前までイモを塊のまま貯蔵します。 

 栽培型のサトイモの先祖は遠い昔の熱帯アジアで誕生して、かなり古い時代、イネが日本に伝わる前は、日本人もサトイモを主食とし、サトイモのねっとりとした食感に親しんできました。やがてイネが登場すると日本人の主食はイネへと移っていきましたが、納豆やとろろなどネバネバとする食感を日本人が好むのは、サトイモを主食としてきた遠い記憶が残っているからかもしれません。


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