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2015年4月25日 (土)

ネギ物語

ネギ物語

小林農場で育っている作物の奥深き生き様を物語ります。今回はネギについて。

植物によって姿形は違いますが、ネギの姿はとても変わっています。ネギの下の部分は淡い緑色、または白色の太い筒のような形をしていますが、この部分は「葉鞘(ようしょう)」と呼ばれています。茎のようにも見えるのですが、実は葉鞘は茎ではなくてネギの葉の部分にあたります。葉鞘の上から先のとがった濃い緑色をした葉が数本伸びていて、この部分は「葉身(ようしん)」と呼ばれています。葉身も葉の一部で、ネギの葉は下部の葉鞘と上部の葉身からできています。葉鞘も葉身も、中身は筒のように空洞になっています。

  葉鞘の一番下から生えている細かなヒゲのように見えるのがネギの根です。では、ネギの茎はどこにあるのか?ネギの茎はとても短く、葉鞘と根の間のわずか1~2cmの固い部分が茎です。人がネギを料理するときに、根といっしょに切り落としている目立たない部分です。しかし、春になってネギが花を咲かせる頃、短かった茎は勢いよくぐんぐんと伸び始め、やがてその先につぼみをつけます。伸びた茎は「花茎」と呼ばれますが、葉身と比べて厚くて固く、しっかりと先に咲かせたつぼみを支えようとしています。

  ネギのつぼみにはたくさんの小さな花がまとまっておさめられ、丸くて薄い膜に覆われています。この姿が僧侶の頭に似ていることから、ヒトはネギのつぼみを「ねぎ坊主」と名付けました。やがて薄皮が破れて、いよいよ花が姿を現します。花はどれも小さく、その花の集団は子供のいがくり頭に似ていて、あまり華やかではありません。それにもかかわらず、この花にはハチやアブやチョウチョなど、ありとあらゆる虫が蜜を吸いに集まってきて、ネギの受粉を助けます。不思議な魅力を放つ花なのです。

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(左)花茎の上につぼみ(ねぎ坊主) (右)つぼみが割れて花が姿を見せて、虫がやってきた。

  ネギが大きくなるにつれて、農家はネギの株もとに土を寄せていきます。土に埋められたネギの葉鞘は、太陽の光を浴びなくなるので、緑色にならずに白いままです。その部分は柔らかくておいしくなるのですが、これを「軟白」と呼びます。いっぺんに土を寄せすぎてしまうと、ネギはヒョロヒョロと長くなりすぎてしまうので、がっしりとしたネギを育てるため、ネギの生育具合に合わせながら数回に分けて少しずつ土を寄せていきます。

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