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2015年4月

2015年4月30日 (木)

食べ物とアレルギー   平成27年4月2日

食べ物とアレルギー   平成27年4月2日

桜花爛漫の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  花便りの嬉しいこの時期は花粉症の季節でもあります。私は花粉症を経験したことがありませんが、花粉症にかかっている方々が目や鼻を真っ赤に腫らしている様子を見る度に、くしゃみや鼻水や目のかゆみで辛い思いをされていることは容易に想像できます。

  春に収穫される食材のさわやかな苦味は花粉症の症状を和らげる効用があるとか。現在お届けしている野菜セットの中では、菜の花がそのような効用を期待できると思います。

  近年、人類は豊かな生活を目指して、今まで自然界に存在しなかった未知の化学物質を次々に生み出してきました。未知の物質に触れれば、その物質との付き合い方が分らぬ人体は、思いもよらぬ過剰な反応をしてしまいます。花粉症の主な原因物質は杉などの花粉ですが、自動車の排気ガスなどによる大気汚染がさらに症状を悪化させて患者の数を増やしているようです。

  広範に複雑に絡み合ったさまざまな環境汚染によってもアレルギーが引き起こされるので、どんなに個人が気をつけて生活していても、アレルギーにかかってしまう場合もあるでしょう。毎日自分の畑で採れた野菜を料理して健康的な食生活を送っている私も、ひょんなきっかけから突然、「花粉症デビュー」をはたすこともあるかもしれません。

  それでも、少しでもご自身やご家族のアレルギー体質を改善しようと、まずは人体に及ぼす影響が大きい食生活を見直しながら努力されている方々もいます。小林農場は、そんな方々の力になりたいと思っています。

  先日、お子さんの食べ物アレルギーを改善しようと小林農場の野菜セットを定期的に購入されていた方より、お子さんの症状の変化についてご報告をいただきました。なかなかアレルギーが改善されなかったとおっしゃっていました。

  小林農場の畑では農薬を使用していません。しかしたいていの農家の方々は、稲作に農薬を使用したり家畜の飼育に抗生物質を使用したりしているので、肥料として畑に散布するために他所の農場からいただいてくる米ぬかや家畜糞などにはそれらの化学物質がわずかながら混じっています。その肥料を吸収して育った作物を出荷していますが、敏感な体質の人々はわずかな量の化学物質であっても体が反応してしまうことがあると思います。

化学物質が全く混じっていない安全性が高い高級な肥料を畑に必要な量だけ確保することは、現状では不可能です。試しに肥料を全く畑に散布せずに作物を育てたこともあるけれども、作物はうまく育ちませんでした。これからも無農薬栽培を続けていきながら、その上で少しでも化学物質を農場より排除していける方法を考えてみようと思います。

  今では体の健康に不安のない私も、幼い頃はアトピー性皮膚炎に悩まされ、父や母にも苦労をかけました。アレルギー体質の方々の苦労は、よく分ります。

  「安全性の高い食材を食べるようになってから、体のさまざまな問題が解決した。」との体験談はよく聞きます。食材の安全性を高めていくことには意味があると信じています。

2015年4月29日 (水)

栽培暦 4月19日~4月25日(葭始めて生ず)

この週に行った仕事です。

収穫、出荷  大掃除  育苗  播種(大根、葉物野菜など)  播種(さやいんげん、モロヘイヤ、クウシンサイなど)  仮伏せ(山芋、生姜など)  自家製肥料の袋詰め  除草(大根など)  堆肥(鶏糞堆肥、生ゴミ堆肥など)入手、散布
小林のひとり言
  この春作の作物の生育に勢いがなく、畑の地力が落ちているように感じる。現在、空いている畑より、堆肥を投入している。
  今まで、養鶏場の鶏舎より鶏糞を収集させていただいたり、稲作農家の田んぼよりもみ殻や稲わらを収集させていただいたり、手間はかかったけれどもお金をかけずに堆肥の材料を入手することができた。しかし、もはやこの量の堆肥では足りない。新たな堆肥の入手先を確保する必要がある。
  地元では、大規模な畜産場が家畜糞で堆肥を製造している。地元で排出される生ゴミで堆肥を製造している会社もある。そちらでは、しっかりとした施設で管理されながら堆肥が製造され、その販売金額も比較的安く、小林農場の経済力でも購入できると思う。
  畑の広い面積に、ヘアリーベッチやライ麦の種を播いてみた。それらの植物は「緑肥」と呼ばれ、畑の地力を改善する性質がある。
  夏になれば、農場のあちらこちらで草が生い茂る。それらを刈って収集する時間さえ確保できれば、良い堆肥の材料になる。時間さえ確保できれば、農場内で大量の堆肥の材料が手に入る。時間さえかけられれば。
P2251067_1もみ殻を蒸し焼きにしてクンタン(もみ殻の炭)を作成している様子。クンタンは良い堆肥の材料になる。

2015年4月28日 (火)

4月19日~4月25日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットの内容です。

じゃがいも、人参、里芋、長ネギ、ゴボウ、サンチュ、小松菜、みず菜、人参の葉、かぶの葉、菜の花、乾麺
小林のひとり言
  サンチュ、サニーレタス、サラダ菜などのレタス類やニラなどが収穫され始めてゆく。もう少し待てば、小松菜などの葉物野菜も豊富に収穫できるようになる。いっぽう、人参などの根菜類は姿を消す。
  貯蔵性の良い根菜類が減り、あまり貯蔵が効かない葉物野菜が野菜セットの中で多くなっていく。野菜セットに入っている野菜を新鮮なうちに食べるのが一番良いけれど、おそらくすぐに全部食べきるのは大変。工夫して野菜を貯蔵する必要が出てくると思う。
  鮮度をできるだけ落とさないように野菜を貯蔵できる工夫がいろいろとある。できるだけ自分が知っている貯蔵方法を通信に書き加えながら、みなさんに野菜セットをお届けしてゆきたい。消費者のみなさんのほうが私よりも野菜の貯蔵方法について詳しいかもしれないけれど。
 

2015年4月26日 (日)

人参の葉

現在の野菜セットに入っている品目をご紹介します。

人参の葉
P4241175 ここに注目・・・人参畑から間引いた葉を出荷しています。まだほとんど根が肥大していなく、そのくらい幼い人参の葉は茎まで柔らかく、ちょうど食べ頃です。
料理方法・・・独特の香りはセリに似ています。刻んでスープなどに加えると、セリの良い香りがつきます。おすすめの料理方法はかきあげ。小麦粉でからりと揚げて塩をふって食べるとおいしいです。
保存方法・・・あまり長期間、保存ができません。湿らせた新聞紙にくるんでポリ袋に入れて冷蔵庫に入れておくとよいです。長期間保存したい場合は、簡単にゆでて、密封できるポリ袋に入れて冷凍保存するとよいです。
効用・・・抗発ガン作用のあるカロテンが豊富。生活習慣病の予防に良いビタミンEも豊富。
追記・・・主に根の部分を食べる人参や大根。葉の部分も捨てず食べると、より、栄養のバランスが良くなるようです。「野菜の全ての部分を丸ごと食べる」という食べ方が健康に良いようです。

2015年4月25日 (土)

ネギ物語

ネギ物語

小林農場で育っている作物の奥深き生き様を物語ります。今回はネギについて。

植物によって姿形は違いますが、ネギの姿はとても変わっています。ネギの下の部分は淡い緑色、または白色の太い筒のような形をしていますが、この部分は「葉鞘(ようしょう)」と呼ばれています。茎のようにも見えるのですが、実は葉鞘は茎ではなくてネギの葉の部分にあたります。葉鞘の上から先のとがった濃い緑色をした葉が数本伸びていて、この部分は「葉身(ようしん)」と呼ばれています。葉身も葉の一部で、ネギの葉は下部の葉鞘と上部の葉身からできています。葉鞘も葉身も、中身は筒のように空洞になっています。

  葉鞘の一番下から生えている細かなヒゲのように見えるのがネギの根です。では、ネギの茎はどこにあるのか?ネギの茎はとても短く、葉鞘と根の間のわずか1~2cmの固い部分が茎です。人がネギを料理するときに、根といっしょに切り落としている目立たない部分です。しかし、春になってネギが花を咲かせる頃、短かった茎は勢いよくぐんぐんと伸び始め、やがてその先につぼみをつけます。伸びた茎は「花茎」と呼ばれますが、葉身と比べて厚くて固く、しっかりと先に咲かせたつぼみを支えようとしています。

  ネギのつぼみにはたくさんの小さな花がまとまっておさめられ、丸くて薄い膜に覆われています。この姿が僧侶の頭に似ていることから、ヒトはネギのつぼみを「ねぎ坊主」と名付けました。やがて薄皮が破れて、いよいよ花が姿を現します。花はどれも小さく、その花の集団は子供のいがくり頭に似ていて、あまり華やかではありません。それにもかかわらず、この花にはハチやアブやチョウチョなど、ありとあらゆる虫が蜜を吸いに集まってきて、ネギの受粉を助けます。不思議な魅力を放つ花なのです。

P4230296 P5280421

(左)花茎の上につぼみ(ねぎ坊主) (右)つぼみが割れて花が姿を見せて、虫がやってきた。

  ネギが大きくなるにつれて、農家はネギの株もとに土を寄せていきます。土に埋められたネギの葉鞘は、太陽の光を浴びなくなるので、緑色にならずに白いままです。その部分は柔らかくておいしくなるのですが、これを「軟白」と呼びます。いっぺんに土を寄せすぎてしまうと、ネギはヒョロヒョロと長くなりすぎてしまうので、がっしりとしたネギを育てるため、ネギの生育具合に合わせながら数回に分けて少しずつ土を寄せていきます。

2015年4月22日 (水)

栽培暦 4月12日~18日

以下はこの週に行われた仕事です。

収穫、出荷  大掃除  育苗  播種(葉物野菜、大根、かぶなど)  里芋仮植え  播種(きゅうり、ズッキーニ、バジルなど)  定植(ネギなど)  除草(玉ねぎなど)  トンネルビニールや不織布の片づけ  
小林のひとり言
  小林農場の畑は粘土質で、ゴロゴロと固まりやすく、種をまくとき、まき溝をつけるにも種をまいた後に覆土すにも、とてもやりにくい。それでも今まで細かな工夫を積み重ねて、どんなにゴロゴロの土でも種を発芽させていけるコツを身につけてきた。
  しかし、今年の春作では、発芽がとても悪い。やはり、土がゴロゴロの状態のままでは種まきにしろ他の作業にしろ、やりにくくてしかたがない。土質を改良する努力をしはらうべきだろう。
  畑作業に適したすばらしい土の手触りは、粘土のように「ゴロゴロ」としていなく、砂のように「サラサラ」しているわけでもなく、その中間の「ホロホロ」としている。そのような土は排水性がよく、なおかつ保水性もよく、常に適度な水分を保持している。
  この3月下旬から4月上旬の2週間以上、栃木県ではまとまった雨が全く降らなかった。その間に播種した種が全く発芽しなかった。ゴロゴロの土では雨が降らないとカラカラに乾いてしまい、種も乾ききって死んでしまったのだろう。
  土がホロホロとしていれば、雨が降らなくても水分は保たれて、これほど発芽が悪くなることはない。「ゴロゴロ」を「ホロホロ」に変えていくには、有機物をもっとたくさん畑に投入するとよいと思う。やはり、堆肥の確保と散布が必要だ。
P9100618(写真)ゴロゴロの土の中で発芽した芽。あまりに土がゴロゴロとしていてうまく覆土ができなかったので、種をまいた後、土の代わりにもみ殻をかぶせた。さらにその上に一輪車のタイヤを走らせて鎮圧、種と土を密着させておいた。  

2015年4月21日 (火)

4月12日~4月18日の野菜セット

この週の野菜セットの内容です。

じゃがいも、人参、里芋、長ネギ、ゴボウ、ほうれんそう、小松菜、山東菜、からし菜、かぶの葉、菜の花、乾麺
小林のひとり言
  人参、ゴボウ、長ネギ、の3種類はもう芽吹いてきて出荷ができなくなる。菜の花もそろそろ花が全開となって出荷が終わる。いっぽうで3月中旬に種まきした葉物野菜が全く発芽せず。しばらく葉物野菜が出荷できなくなる。4月下旬から5月上旬は「ウルトラ・ハザカイキ」になる可能性が高まってきた。
  あと1~2週間のうちに新たに収穫できそうな作物はサンチュと春キャベツ。カブとニラもあともう少しで出荷できそう。サニーレタスやサラダ菜もあともう少しで出荷できる。
  カブと人参はまだ小さいが、間引いた葉は捨てずにセットに加えていこう。
  本当は「株ネギ」という種類のネギがこの時期に出荷できるのだが、よりによって、今回は株ネギの栽培に失敗して出荷できない。去年の秋に種まきした長ネギはまだ小さいが、「薬味用のネギ」としてセットに加えていくこともでできる。
  端境期の間、加工品の乾麺もセットに加えてきたが、小麦粉もレシピをつけてセットに加えてもよい。自家用に保存していた大豆も、いざとなったらセットに加えていこう。
  やはり「土作り」だと思う。土作りがうまくいっていれば、これほど厳しい端境期を回避することができたはず。この春作の作物の生育ぶりから、畑の地力が低下してきていることが鮮明になってきている。至急、空いている畑から堆肥を投入して、手をうったほうがよい。

2015年4月20日 (月)

「市貝町・SATOYAMAヘルシーマーケット」のお知らせ

3週間後の5月10日(日)、栃木県市貝町・観音山梅の里にて、「第4回SATOYAMAヘルシーマーケット」が開催されます。小林農場も出店いたします。

年に1,2回ほど行われている催しで、「こだわりの職人」たちがこだわりの品をお届けしながら里山の豊かさを多くの人々と分かち合うことを目的としています。
無農薬栽培の安全性の高い食材や加工品、手作りの工芸品などがズラリと並びます。楽しいワークショップやショーも披露されるようです。
夏野菜の苗を畑に植えたりして、ちょうど畑仕事が忙しい時期に開催されます。苗を畑へおくりだすには最適な爽やかな日々が続くこの頃は、イベントを開いて多くの人々を迎えるのにも最適な頃でもあります。里山の新緑がまぶしい頃でもあるでしょう。
開催日が近づけば、また、このブログでマーケットの詳細をお届けすると思います。どうぞお越しください。過去の「SATOYAMAヘルシーマーケット」の様子はこちらからご覧ください。

2015年4月18日 (土)

「小林武のfacebook」のご案内

以下の内容はfacebookを使用したことのない方々には分かりづらいかと思います。ご了承ください。

今や世界中の多くの人々が利用しているfacebook。私も利用しています。いまだにfacebookの意味がよく理解できていないのですが、うまく使いこなせば小林農場の宣伝に利用できるらしいということが、なんとなく分かってきました。ただ今、勉強中です。
この小林農場のブログに書かれている内容をそのままコピーして小林武のfacebookに載せているので、「小林農場のブログ」と「小林武のfacebook」は全く同じ内容です。facebookを普段からお使いになっているみなさん、もし農場のブログの内容を「いいね」と思ってくださったときは小林武のfacebookで「いいね」をクリックしていただくよう、よろしくお願いいたします。
私のfacebook上の「友達」には農業と関わっている人が多く、これらの「友達」のおもしろい投稿記事も私のfacebookからお読みになれます。農をさまざまな視点から眺めることができて楽しいです。
ついでに、時々、私の大好きな歌を紹介したりする個人的な趣味をつづった記事もfacebook上に投稿することもあるので、よろしければお読みください。
小林農場のブログのトップページに表示されている「関連リンク」から、「小林武のfacebook」にアクセスすることができます。

2015年4月17日 (金)

心配の許容限度量   平成27年3月20日

心配の許容限度量   平成27320

寒さもだいぶゆるんできた今日この頃です。みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  前回の農場通信で、4年前の福島第一原発事故による現在の農場への影響をお伝えしましたが、今回も放射能汚染について。いろんなことを深く考えさせられた事故でした。

  この事故によって、放射性物質が大量に福島県とその周辺地域に飛散しました。果たしてこれらの放射性物質はどれだけ人々の健康に危険なのか?それとも危険はなく心配する必要はないのか?事故以後、日本中で議論されてきました。

  今回のような放射性物質による低い線量での被ばくが人体に与える影響は、現在の科学ではどれだけ危険でどれだけ安全か、結論がでていません。危険か安全かよくわからない化学物質については、「予防原則」という国際的に合意されている約束事が適用されます。

  予防原則では「危険性が確認されないのであれば安心してもよい」と考えるのではなく、「安全性が確認されるまでは十分に注意を支払う」と考えます。放射性物質のような未知の化学物質に対しては、低い線量であっても、用心してしすぎることはないと考えます。

  ただ、この話はそう単純ではありません。25年前のチェルノブイリ原発事故では、被ばくの危険から守るために強制的に汚染地域から避難させられた住民たちの多くが、慣れない新生活に精神的ストレスを受けて深刻な健康被害に陥ったことが報告されています。

  厳しい団体や専門家からは、東北・関東地方産の農産物は放射能汚染を受けている可能性があるから、これらの地域産の農産物の出荷を全て、制限するべきという声もあがりました。本当にそうなれば、東北・関東地方の農家は生活できなくなって離農してしまい、広い範囲で産地が消えてなくなります。それは放射能汚染よりも怖い事かもしれません。

 「低い線量の放射能汚染を心配しすぎることによって新たに深刻な社会問題を生み出す」という意見もあります。どこまで心配しどこまで心配しなくてもよいのかは、けっきょくはその人、その家族、その地域の判断に委ねられていくことになるのでしょう。

  チェルノブイリ原発事故では実際に多くの人々が放射能汚染による健康被害を生じさせましたし、事故から25年経った現在でさえ、放射能汚染が原因だと疑われている健康被害が原発周辺地域の住民たちから報告されています。これから長期間、福島県やその周辺地域は放射能汚染への警戒心を緩めずにしっかり監視するべきだと、私は考えます。

  日本ではまだ、放射性物質への根強い心配が社会全体に残っています。だから各自治体は、事故後、定期的に農産物の放射能検査を実施しています。これらの検査結果より、日本の土壌では野菜は放射能汚染の悪影響を受けにくいことがわかってきました。

  また、行政では農家が自分たちの畑で採れた野菜を無料で放射能検査してくれる支援も行っています。小林農場も何度か野菜を検査していただき、安全性を確かめてきました。

  社会が放射能汚染への不安を共有して監視体制を緩めずにいるうちは、私も安心してみなさんに野菜をお届けできます。一人で心配していればそのうち気が病んでゆきますが、みんなで心配を共有すれば「心配」はひっくり返って「安心」に変えられます。

2015年4月16日 (木)

落ち葉の現状    平成26年3月12日

落ち葉の現状    平成26年3月12日

仲春の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  ちょうど今から4年前に発生した福島第一原発事故。福島県とその周辺地域に大量の放射性物質が飛散して、美しい山、海、空は深刻な放射能汚染を受けました。

  今では田畑で収穫される米や野菜などはあまり放射性物質に汚染されていないことが分っています。ただ、山林は放射性物質の吹き溜まりになりやすく、キノコや山菜などの「山の幸」からは高い放射性物質が検出されて、これらの食品の出荷は規制されています。

  小林農場では、農場の敷地内の山林より落ち葉をかき集めて使用しています。落ち葉を発酵させると発酵熱を発して、寒い冬でもその熱を利用して作物の苗を暖めながら育てることができます。発酵した落ち葉をそのまま寝かせると、1年後にはほどよく分解されて、苗を育てるための床土として使えます。

 「山の幸」である落ち葉は比較的に放射能汚染の影響を受けやすく、行政は農家に向けて、落ち葉の使用を控えるように指導しています。そこで、試しに落ち葉の代わりにもみ殻を主体にして床土を作ってみましたが、その床土では苗はまともに育ってくれませんでした。落ち葉に代わる良質な床土の材料はないと思います。

  落ち葉を使用していない床土をホームセンターで購入して苗も育てたこともあります。とても勢いのよい苗を育てることができました。ただ、購入した床土には私があまり使いたくない化学肥料なども含まれています。他にどんな物質が含まれていてどのような作り方をされているのか、実際に自分が見たわけではないので、確認しようがありません。やはり自分で作った素性の知れた床土こそが最も安心して使用できると考えています。

  わらでもぬかでも、地域内で手に入る有機物を大切に循環させてきた日本の昔からの農業。私は、落ち葉によって床土を作るこの技術に惚れこみ、今までずっと実践してきました。後世に遺してゆきたい技術でもあり、今後も落ち葉を利用していくつもりです。

  毎年、落ち葉で作った床土を、検査機関で検査してもらっています。土に含まれている放射性物質の量はBq(ベクレル)という単位で表しますが、国が定めている床土の規制値は「1kgあたり400Bq」。この規制値を超える床土は、使用禁止の対象となります。

「この規制値の設定は厳しすぎる」という声も農家からあがりましたが、数値が厳しいことは良いことです。検査してこの数値を下回れば、その床土を安心して使用できます。

  今まで測定してきた小林農場の床土の放射線量は、1kgあたり100Bq前後で、規制値を大きく下回っています。落ち葉だけは今後も注意が必要だと私は考えています。油断することなく、毎年、床土の放射能検査を欠かさずに行いたいと思います。

  原発事故から4年経っても行政は農家に落ち葉の使用を控えるように呼びかけている現状は変わりません。去年まで行政は農場の落ち葉床土を無料で放射能検査してくれていたのに、今年から検査すらしてくれなくなりました。今年は民間の検査機関に検査費を支払って検査してもらいました。検査結果より落ち葉の使用に問題はないと判断しています。

2015年4月15日 (水)

栽培暦 4月上旬

以下は最近行った仕事です。

収穫、出荷  大掃除  育苗  播種(葉物野菜、人参、かぶなど)  定植(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、レタス類、白菜、春菊など)  鶏糞入手、散布  播種(トマト、モロヘイヤなど)  里芋の仮伏せ
小林のひとり言
  今年の冬より、畑仕事の合間に、農場の敷地内を片付けてきた。足の踏み場がないぼどに散らかっていた仕事場がすっきりと片付いていく様子は、やはり楽しい。気分も明るくなってくる。
  今まで私は、片付けのできない人間で、そのため物をなくしたり壊したりして、仕事の効率をいちじるしく悪くしてきた。一度散らかした場は、際限なく散らかってゆく。今、その負の連鎖を断ち切ろうとしている。
  これから畑仕事がさらに忙しくなる。今まで畑仕事が忙しいことを理由にして整理整頓の時間を省いてきたが、この1年間は、整理整頓こそを優先していこうと思う。そうすることによって、仕事の効率も上げられると思う。一時的にきれいになるだけでなく、この先何年もずっと敷地内が散らかることがないように整備してゆきたい。
  片付けることの楽しさを知った今、整理整頓の習慣を身につけて、物を大切にして仕事のしやすい農場を作っていける好機だと思う。今、変えられなければ、この先ずっと農場は散らかったままだ。もう散らかっている仕事場に戻るのは絶対に嫌だ。現在農場の整理に費やしている労力は、この先農業を続けていく上で必ず役立つと信じて、敷地を整理してゆきたい。

2015年4月14日 (火)

菜の花  

野菜セットの中の野菜についての簡単な紹介。今回は菜の花について。

P4041121_2小松菜、油菜、ターサイ、ナタネなどのアブラナ科の葉物野菜のつぼみと花茎を摘んだもの。
ここに注目!:「春の料理には苦味を盛れ」。菜の花の特有の苦味、香りが春を迎えた私たちの体にしみ渡ります。茎の部分のコリコリとした食感もおいしいです。
旬:3月下旬~4月下旬
鮮度の見極め:つぼみが固く閉じていて、開花していないものが食べごろ。切り口がみずみずしいものが新鮮。
保存方法:乾燥させないように注意。湿らせたキッチンペーパーでくるんで冷蔵庫にしまうと良し。水を入れたコップに切り口を浸しているだけでも、けっこう、長期間保存が可能。でも、基本的にはあまり保存の効かない作物なので、できるだけ早く料理すること。
料理方法:おひたし、和えもの、汁の実などいろんな料理に。私はとき卵といっしょにごま油で炒めて食べるのが好きです。茎のコリコリとした食感を残すために、あまり火にとおしすぎたり水にさらしたりしないほうが良いです。
栄養:かぜ予防、コラーゲン促進に良いとか。花粉症の症状を和らげる効用もあるとか。一般的に作物は、つぼみや花茎のような若い部分に、良質なたんぱく質など、たくさんの栄養を含んでいます。
備考:今のように保温資材のなかった昔は、食材の乏しい冬を乗り越えてきた人々にとって、春に咲くつぼみは、冬の栄養不足を補うための大切な食材でした。

2015年4月13日 (月)

4月5日~4月11日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットの内容です。

じゃがいも、人参、里芋、長ネギ、ごぼう、二十日大根、ほうれん草、小松菜、山東菜、からし菜、菜の花、乾麺
小林のひとり言
  トンネル栽培で育てた葉物野菜がいつまでたっても大きく育たず、そのままトンネルをかけて保温し続けていたら、葉物野菜が傷み始めてきた。もう気温もずいぶん上昇しているこの季節に保温をし続ければ、高温で葉物野菜が傷んでしまう。味もまずくなる。
  ビニールトンネルも不織布も、葉物野菜から取り除いた。葉物野菜がゆっくり大きく育ってゆくのを、大らかな気持ちでのんびりと待とう。少しずつ長い期間収穫できるかもしれないから、案外、長期間出荷し続けるのには都合がよいかも。
  以前はよく春の強風でトンネルが吹き飛ばされたりしたけれども、今はコツを覚えて、滅多に風で吹き飛ばされないようにトンネルを建てることができるようになった。冬の間、保温は十分にできていた。それでも今年、トンネル栽培でうまく作物を育てることができていない。
  土に力がなく、作物の生育に勢いがない。土づくりのやり方をもう一度見直したほうが良い。

2015年4月12日 (日)

サトイモ物語

サトイモ物語

小林農場で育てている作物の奥深き生き様を、ざっくりと物語ります。今回はサトイモについて。

畑に植えられたサトイモの種イモから、数枚のハート型をした、ヒトの顔ほどの大きさのある葉が地上部で生育します。サトイモの先祖は熱帯の大きな木が生い茂っている森の中で暮らしていました。地上に降り注いでくれるわずかな木漏れ日を逃さずに受け止めるために一枚一枚の葉を大きくしたのでしょう。葉の表面が大きいと、雨が降ったときにまともに葉は強い雨を受けて傷んでしまいます。よってサトイモの葉はろう物質を作り出して水をはじいて濡れないようになっています。雨降り後のサトイモ畑には、サトイモの葉の上にたまった美しい朝露がコロコロと転がっています。                   

  サトイモの種イモを植えた後、地下部では、種イモの上に新たに大きなイモが生まれます。これを「親イモ」と呼びます。親イモから新たに小さなイモが派生し、これを「子イモ」と呼びます。さらに子イモから派生したもっと小さいイモを「孫イモ」、孫イモから派生したイモを「ひ孫イモ」と呼びます。サトイモは地下部で、親イモを中心としてたくさんのイモがまるで大家族のように賑やかなイモの塊を形成していきます。
 (左の写真は一つの親イモに複数の子イモがくっついているサトイモの塊。右の写真はその塊をばらしたもの。子イモを食用にします。親イモは、次のサトイモ栽培のための種イモにします。)
P5022222
P5022224

収穫は秋より。冬が来て霜が降りて地上部の葉が枯れる頃、人はサトイモを寒さから守るため畑から掘り出し、貯蔵用に深く掘った穴に埋めます。人は冬の間中、大事にサトイモを貯蔵穴から掘り出して食べ続けます。塊になっているイモをバラバラにしてしまうとイモは早く傷んでしまうので、食べる直前までイモを塊のまま貯蔵します。 

 栽培型のサトイモの先祖は遠い昔の熱帯アジアで誕生して、かなり古い時代、イネが日本に伝わる前は、日本人もサトイモを主食とし、サトイモのねっとりとした食感に親しんできました。やがてイネが登場すると日本人の主食はイネへと移っていきましたが、納豆やとろろなどネバネバとする食感を日本人が好むのは、サトイモを主食としてきた遠い記憶が残っているからかもしれません。


2015年4月11日 (土)

花だより(春分)  花冷え(清明)

梅の薄紅色の花から始まり、桃の白い花、黄色いレンギョウの花、真紅のボケの花・・・と、小林農場の周りでも次々に花だよりが届いてきたこの数週間。桜の花が満開になって花だよりは頂点を迎えました。

P4090244畑のすぐ近くにある桜の夜桜。日本人にとって「花だより」とは桜の開花のこと。

P4041127でも、小林農場では、ハクモクレンが花だよりを届けてくれます。私の住まいには両手で抱えきれないほど太い幹から見上げるほど高い枝を天高く広げているハクモクレンの巨木が1本、鎮座しています。農場の象徴です。

冬にふさふさとした毛に包まれていた冬芽が、桜の花が咲くのと同じ時期に、分厚くて大きな白い花びらを派手に全開させます。

やがて新緑の頃を迎え、暑くなる日差しを遮って木陰を作ってくれます。秋になれば大量の落ち葉が地面を覆い、それらの落ち葉が作物を育てる堆肥の材料となります。

そして今年の桜が満開の頃、栃木県は雪に見舞われ、雪が畑に積りました。花冷え。稀少なハクモクレンの花の雪化粧です。P4081132

2015年4月 8日 (水)

3月29日~4月4日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットの内容です。

じゃがいも、人参、さといも、長ネギ、ゴボウ、二十日大根、ほうれん草、小松菜、山東菜、菜の花、乾麺
小林のひとり言
  2月に播種した葉物野菜の生育は遅れているが、去年の秋に播種して、すでに冬に生育していた葉物野菜からはつぼみをつけた花茎がたくさん伸びてきていて、それを摘んで「菜の花」として出荷している。
  「菜の花」を気に入ってくださる人は多く、収穫すれば必ず売り先があり、良い収入源となってくれる。秋は毎年、葉物野菜は市場にあふれていて、せっかく栽培してもなかなか売り先が見つからない。でも収穫しないまま畑に残しておけば、次の春には菜の花をたくさん収穫できる。2月に株元が傷んでしまって出荷できなくなった小松菜からもたくさんつぼみが伸び、菜の花の収穫で忙しい。
P4041117

2015年4月 4日 (土)

追跡撮影記録・春まきキャベツ

(写真をクリックすると、写真が拡大されて、写真が見やすくなります)

3月下旬撮影  2月14日播種の春まきキャベツ

P3221112写真の手前は、間もなく畑に植えられてゆく春キャベツの苗。奥の黄緑色をした苗はレタス。アオムシはよくキャベツの葉を食べてしまうが、レタスの独特な香りは苦手とする。キャベツのすぐ近くにレタスを植えておくと、少しでもキャベツの虫害を減らせるらしい。キャベツとレタスを同じ畝に植えてみた。

2月19日撮影  2月14日播種の春まきキャベツ

P2191056 播種後5日目。だいたい全ての種が発芽した。
2月14日撮影  2月14日播種の春まきキャベツ
P2141052種まきしたポットを温床の中に並べて保温。

2015年4月 1日 (水)

3月22日~3月28日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットの内容です。

じゃがいも、人参、大根、里芋、長ネギ、ゴボウ、ほうれん草、みぶ菜、からし菜、菜の花、乾麺
小林のひとり言
  大根の出荷もこの週で終了、冬の作物の出荷が次々と終わり、野菜の端境期(はざかいき)に突入している。
  一方で、2月に種まきしてビニールトンネルをかけて保温して育ててきた葉物野菜が、まだ十分に収穫できる大きさになっていない。本当は今の時期から収穫できればいいのだけれど、予想以上に生育が遅れている。
  去年もトンネル栽培の作物の生育が遅くて苦労した。毎年、2月の立春をすぎたあたりで種まきしているけれども、来年はもう1週間ほど早く種まきしてもよいと思う。また、トンネル栽培だけではなく、空いているハウスに種まきして、保温とかん水を施しながら育ててみてもよいと思う。
  まだ小さいけれど、間引く感じでトンネル栽培の葉物野菜を少しずつ出荷し始めてゆきたい。

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