美味しい野菜
美味しい野菜 平成27年2月6日
春浅き頃、みなさん、いかがおすごしでしょうか。
先日、野菜セットのお試しのご注文をいただき、お試しセットをお届けいたしました。その日の夜に、お試しセットを受け取ってくださった方から、電話をいただきました。
「ジャガイモがまるでサツマイモのように甘かった。」「長ネギは筋っぽい部分がなく、全部トロリと柔らかく煮えた。」「大根の身がしっかりとしていた。」など、ひとつひとつ、セットに入れた野菜の感想を述べてくださいました。
「あまりにおいしかったので、思わず電話してしまいました。」農家にとって最高の褒め言葉をいただき、今までの努力が報われたような気持ちになりました。
野菜の味の善し悪しを決める大きな要因は「鮮度」です。長期保存できる野菜を除いて、多くの野菜は採りたての状態が最もおいしく、収穫されてから日が経つごとに味質が落ちてゆきます。小林農場の野菜セットに入っている野菜はたいてい、みなさんにお届けする当日の早朝か前日のうちに収穫して、鮮度の良いうちにお届けするようにしています。
畑に散布する肥料の種類や量によっても、そこで育つ野菜の味質が変わってくるようです。現在、日本の多くの畑では、化学肥料が使用されています。化学肥料にはチッソなどの重要な栄養素の濃度が濃く含まれ、作物を早く大きく育てて収量を増やしてくれます。
でも、生育の早すぎる作物は、中身が充実しないうちに収穫時期を迎えてしまい、味や香りのない野菜になってしまう傾向があります。「化学肥料を多用するようになってから日本の野菜の味はおいしくなくなった。」とベテラン農家がお話していました。
化学肥料のなかった昔から長く続けられてきた栽培方法では、米ぬかやもみ殻や家畜糞などの有機物を発酵させて畑にまいて、土づくりにはげんでいました。そのような土で作物はじっくりと生育して、その体内に栄養を蓄えて、良質な味を作り出してゆきます。
小林農場でも化学肥料はいっさい使わず、有機物を散布しています。有機物であってもたくさん与えすぎると作物の味質が落ちてしまうので、量を抑えながら散布しています。
基本的には野菜の味を決めるのは、その季節の天候です。寒くなると作物は、凍死しないように体内の糖分を高めてゆきます。私が何もしなくても、野菜は甘味を強めます。
天候次第で、人が何もしなくても作物はおいしくなったり、いくら手間をかけてもおいしくならなかったりします。人の力で作物の味を調整できると思わないほうがよいです。
私は作物の味質の向上のために特別なことはしていません。健全に育った作物の味は自ずとおいしくなるので、作物を健全に育てるように全力を尽くすのみです。
よく家庭菜園をしている人々から、自分たちが作った野菜は特別においしく感じるという声をききます。同じ野菜でも、ただ単に市販で買ってきた野菜よりも、自分たちと深く関わった野菜のほうをおいしく感じたりします。
小林農場の畑で作物が育つ様子を、できるだけみなさんにお伝えしてゆきます。小林農場の野菜を身近に感じていただき、野菜の味をよりおいしく感じていただけるように。