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2014年10月17日 (金)

こだわり

こだわり  平成26915

涼風の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  畑を耕さないで作物を栽培する「不耕起栽培」という栽培技術があります。そこでは作物の根やミミズなどの小動物や微生物によって自然と畑の土が耕されていきます。トラクターで人工的に土を耕せば、大事な小動物や微生物をたくさん殺傷してしまいます。

耕さずに生命がたくさんあふれている畑では、人が肥料を与えなくても作物が育つようになります。人が手を加えて土を作るよりも、自然の力に身を委ねながら作物を栽培する不耕起栽培は、私が知っている中でもっとも自然と調和した栽培方法だと思います。

とても魅力的な栽培方法です。でも、不耕起栽培を指導されている農家の方が、印象的な教え方をされていました。「耕さなくても作物が健全に育つから耕さないのです。耕してはいけないとこだわっているわけではありません。耕す必要が生じるようなら、耕してください。」と。

理屈では人工的に耕すよりも耕さないほうが豊かな土ができると言えます。ただ、自然界のさまざまな要素が複雑に絡まって農業が成り立っているので、単純に理屈どおりにいかないこともたくさんあります。耕したほうが良い畑ができることもあります。

不耕起栽培を試みた人の中には、「耕さない」ということにこだわりすぎて、耕した方が良い場面でも耕そうとせずに、うまく栽培できずに挫折してしまう人も少なくないようです。特に広い農地を扱う専業農家は、耕さないと作業効率が非常に落ちるので、トラクターで耕すことが普通です。

私も不耕起栽培には強く惹かれていますが、それにこだわらず、土を耕しながら栽培しています。今の小林農場の力量に則した現実的な栽培方法を選びたいと思っています。

「こだわりの農産物」と宣伝されて売られている作物をスーパーなどの売店でよく見かけます。他とは違う特別なこだわりを持つことは一般的に良いことだと思われています。

私は逆に、自分の栽培方法に強いこだわりを持たないように気をつけてきました。こだわりを持てば、一つの栽培方法を絶対視してしまい、他の方法の可能性を探ることなくそこから動けなくなります。栽培方法を型にはめてしまい、常に要求するものが変わる作物の生育に柔軟に対応できなくなります。

「私は絶対に何にもこだわりを持たない」ということにこだわってしまうのも良くないと思います。農薬を使わなくても作物が元気に育つことはすでに実証済みなので、「農薬をいっさい使わない」ということにはこだわってもよいと思います。

自分のこだわっている栽培方法で作物を栽培するのではなく、作物が望む栽培方法で作物を育てるのが栽培の基本姿勢だと思います。そのためには、言葉を発することのない作物がいったい何を望んでいるのかを見極めていく目を養っていく必要があります。先入観やこだわりのないまっさらな眼で作物の生育を見守れるように、日々、目の訓練をしたいと思っています。

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