農薬を使わないで分かったこと
農薬を使わないで分かったこと 平成26年8月18日
残暑お見舞いもうしあげます。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
先週、キャベツやブロッコリーやカリフラワーの苗を畑に定植いたしました。ところが、定植した後すぐに、次々と苗の多くが害虫にかじられて切り倒されてしまいました。ネキリムシやヨトウムシなどの、畑の地中に暮らすイモムシの仕業です。
定植した苗の半分以上が虫害により消えてなくなりました。毎日たくさんの虫をつぶしておいたので、全滅は免れました。でも、大損害です。
農薬を使用すれば、これらの苗の命を守ってあげることができたかも知れません。もし苗が言葉をしゃべることができれば、「少しくらいは農薬を使って虫をやっつけてくれよ!」と私に訴えるかもしれません。
農薬を畑に散布すると、害虫だけではなく他の畑の生き物にも被害を及ぼしてしまいます。生き物の豊かな多様性が崩れた畑では、作物は健全に生育できなくなります。
作物が病虫害にあう度に農薬を散布していると、ますます畑の生態系が乱れ、ますます作物が病虫害を受けやすくなる危険性があります。長い目で見れば、無農薬栽培こそが病虫害を防ぐ最も有効な予防策だと、私は考えています。
今回定植したキャベツ、ブロッコリーなどは、アブラナ科に属している作物です。アブラナ科を好んで食べる虫は多く、これらの作物は虫害を受けやすいです。
一方で、キャベツと同じように結球するレタスは、キク科に属する作物です。キク科を好む虫は少なく、農薬を使わなくてもきれいなレタスを収穫できます。
小松菜などのアブラナ科の葉物野菜は葉が虫の食害によって穴だらけにされます。いっぽうで同じ葉物野菜のほうれん草はアカザ科で、あまり虫害を受けません。
アブラナ科の根菜類の大根やかぶは、よく虫に肌をかじられてしまいます。でも、同じ根菜類のじゃがいも、里芋、人参はアブラナ科ではなく、虫による被害は少なく、これらの作物を栽培していて農薬の必要性を感じたことは一度もありませんでした。
このように見渡してみると、虫害による深刻な被害を毎年受けるのはアブラナ科の作物と大豆とトウモロコシくらいです。その他の作物が目立った虫害を受けることは、そんなに多くはありません。
毎年秋になると、シンクイムシという、作物の新芽を食べ尽くしてしまう小さな芋虫が発生します。以前は白菜に出現したシンクイムシを一匹一匹手でつまみ出してつぶしていましたが、あまりにその数が多すぎてとりきれず、虫獲りをあきらめてしまいました。それでもほとんどの白菜は無事に生育して、ちゃんと収穫できました。
白菜は生育の速い作物で、シンクイムシが新芽を食べ尽くすよりも速く、どんどん新芽を伸ばしていくことができるようです。だから白菜にシンクイムシが出現しても、あまり心配する必要はなし。がんばって農薬を使わずに栽培してきたからこそ気付くことのできた発見でした。
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