野菜にとっての自然
野菜にとっての自然 平成26年7月15日
農場の敷地内では紫陽花の花が咲いています。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
先日、小麦の刈り取りと脱穀を行いました。近所の小麦畑では、穂をつけた小麦が地べたへ横に倒れている光景をよく目にします。倒れた小麦を刈り取るのに、農家の方々も苦労したと思います。小林農場の畑では小麦はほとんど倒れず、すいすいと気持ちよく刈り取り作業を終わらせることができました。
なぜ小麦が倒れてしまうのか?畑が肥沃なのが主な原因と考えられます。小麦は肥料を吸収する力が強く、肥料を多く蓄えている畑では伸長して、倒れやすくなります。上手な農家は肥えた畑でも小麦を倒さないように管理しますが、小林農場の場合は、畑がやせていたために倒れずにすんだのでしょう。
一方で、野菜は肥沃な畑でよく育ちます。同じ作物を同じ畑で同じように栽培しているのに、以前のように野菜が順調に育たなくなってきていると、最近感じるようになってきています。生育中に肥料を多く必要とするキャベツやブロッコリーや白菜は特に、不作が続いています。
2年前ほどはほとんどの作物が順調に生育していました。もう小林農場の畑では肥料を与えなくても作物が勝手に育ってくれるのかもしれないと思い、この1,2年は畑に肥料を与える手間を省いてきました。
しかし、畑から作物を収穫すれば、その分だけ土の中の栄養は外に持ち運ばれます。そのまま何も畑に施さなければ、やがて畑はやせていきます。今の小林農場の畑のように。
7月に入り、今年度の秋作が始まろうとしています。作物を畑に作付けする前に、米ぬかや家畜糞やもみ殻などの有機物を畑に投入して、地力の回復に努めたいと思います。
人の足が踏み入ることのない山奥の「鎮守の森」では、大きな木々が人から肥料を与えられなくても生い茂っています。本来、土は人の助けを借りなくても植物を育む力を持っています。人為を排除して自然界の力のみで作物が育つことのできる、鎮守の森のような畑を作りたいと、私は夢見ていました。
でも、この地球上で農業が始まってから1万年間もの長い間、野菜は人類に栽培されることによって進化してきました。人の手が加わっていない自然は、野菜にとっての自然ではありません。人の手助けを受けることにより、野菜はいきいきと生育できます。人のいない鎮守の森に野菜の種が播かれても、野菜は生育することはできないでしょう。
わざわざ人が農薬や化学肥料を散布しなくても、作物は元気に生育できます。でも、ご先祖様たちが今までやってきたように、畑に有機物を投入したり除草をしたり耕したり、最低限の手助けはしっかりとやっていく必要はあるでしょう。
野菜が自然に育っていける環境を人の手によって整えてあげたいと思います。まずは土作りから始めて地力を充実させ、作物やその周りの生き物たちの心地よい棲みかを作っていきたいと思います。
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