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2014年7月15日 (火)

実のなる樹

実がなる樹   平成2677

七夕の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  夏野菜の顔、ナス、キュウリ、ピーマン。これらの作物の収穫が徐々に始まっています。青かったトマトの実も次第に赤く色づいてきて、間もなく収穫されることでしょう。

  家庭菜園などでこれらの作物を育てたことのある方はよくご存じだと思いますが、これらの作物は「樹」になります。リンゴの樹からリンゴの実がなるように、ナスの樹は紫色のナスの実をならして、私たちはそれらを樹からもいで収穫して食べます。

  日本では冬がやってきて霜が降りるとナスの樹は寒さに凍え、その年かぎりで枯れてしまいます。しかしナスの原産地のインドなどの一年中暖かな熱帯地方では、ナスは何年も生き続け、人の背丈よりも高くなり、「草」というよりも「樹」になります。

  小松菜などのように作物の葉の部分を食べる野菜を「葉物類」、大根のように作物の根の部分を食べる野菜を「根菜類」と分類されますが、これらに対しナスやトマトのように作物の実の部分を食べる野菜は「果菜類」と呼ばれます。果菜類の栽培は、果物の樹を育てる感覚に似ているかもしれません。

  夏野菜の樹は、たくさんの実をならせるように、茎を太くして葉を茂らせようとしていきます。農家はより良く樹が生育してくれるように整枝します。込み合った枝を切り落としながら、樹の内側まで日当たりや風通しを良くします。

  やがて花を咲かせて実をならします。梅雨の真っ最中で晴れの日が続かぬ現在、まだ樹に勢いがありません。実に養分を送ることに力を注いでいると、樹は疲れてきて生育できなくなってしまいます。樹の体が十分に育っていないうちは実をあまり大きくさせず小さいうちに収穫してあげると、樹の負担を軽くしてあげることができます。

今年は特に、夏野菜の生育が例年よりも遅れています。できるだけ実を大きくさせないうちに収穫し、樹の充実をはかっています。現在みなさんにお届けしているナスやキュウリが市販のものと比べて小さいのは、そのためです。

  現在の小林農場の畑では、まだ、毎朝、わずかな量の収穫しかできません。1日分の収穫量ではみなさんにお届けする分が不足するので、数日間分の収穫を大事に冷蔵庫にて冷蔵保存しながら出荷しています。

果菜類の保存適温はだいたい10度から13度です。これ以上に低い温度だと低温障害を起こしてしまいます。ご家庭の家庭用冷蔵庫で長く保存される場合、新聞紙に包んだりしてできるだけ低温に直接当てないようにすると、適温に近い温度を保つことができます。

梅雨が明けて強い日差しが毎日降り注ぐ夏本番になると樹の生育は旺盛となり、毎朝、出荷しきれなくてうんざりしてしまうほど、たくさん実がなります。自分がほしい分だけしか収穫しないでいると、大きな実をぶら下げたまま、樹は疲れていきます。毎日の収穫作業は樹の負担を減らしていくためにも大事な作業で、出荷の都合に関係なく収穫適期を迎えた実を全て収穫し、樹を健全に生育させることを優先させます。

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