転んだ先
転んだ先 平成26年7月1日
梅雨寒の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか?
6月の中旬、畑より玉ねぎを全部収穫しました。風通しの良い日陰に積んでおき、そのまま長期間保存しながら出荷していきたいと思います。
玉ねぎ栽培では、種まきの適期を守ることが重要です。早すぎても遅すぎてもいけません。小林農場の気候では、9月15日あたりが播種の適期です。その頃に畑に種を播く準備をしながら天気予報を確認し、雨が降る直前に種を播き、種を雨に当てて発芽させます。
去年の9月15日はちょうど台風が来て雨が降る予報だったので、その前日に玉ねぎの種を播きました。その後に降ってきた雨は、ゲリラ豪雨のような強雨で、畑の土は雨によって激しく叩かれました。種を播いた播き溝の表面が、おせんべいのようにパリパリに固くなってしまいました。
播種後数日間たっても、種が発芽する様子がありませんでした。待って待って2週間ほどたっても全く発芽しなかったので、しかたなく玉ねぎの種を再び購入して、播き直しました。適期よりも2週間遅れて種は発芽しました。
秋も深まり始める10月下旬から11月上旬、発芽して育った玉ねぎの苗を掘り出して、もっと広い畑へ間隔を十分にとりながら定植します。11月の下旬には毎朝霜が降りるほど寒くなり、玉ねぎの根も活動できなくなっていきます。寒さが本格的になる前に苗を畑に植えて根をしっかりと畑に根付かせる必要があります。
種まきの適期が遅れてしまったため、定植の適期にも苗は十分な大きさに育っていなく、定植も遅れました。苗の根が畑に根付く前に、本格的な寒さを迎えました。
年が明けて1月と2月、畑は毎朝凍り、土には霜柱ができていました。畑に根付くことのできていない玉ねぎの苗は次々に霜柱に持ち上げられて、根が地表に飛び出て横たわってしまいました。何度か横になって転がっている苗を拾っては土の中に埋め戻しましたが、埋め戻しきれずに枯れてしまった苗も少なくありませんでした。
今年度の玉ねぎの収量は全部で150kgくらいでした。大豊作だった去年と比べて、半分以下でした。でも、今年は全く玉ねぎを収穫できないかもと心配していたので野菜セットに半年以上出荷できる分はしっかりと確保できたことに、ほっとしています。
今回の玉ねぎ栽培は記憶に残るものだったので、この農場通信でその時の様子をお伝えしてみました。今回の玉ねぎが収穫されるまでに他にもいろんなことがあったのだけれども、この紙面には書ききれません。
玉ねぎなどの多くの作物が年に1回しか作れません。農家が一生のうちで玉ねぎを作る回数は、どんなに多くても100回くらいしかありません。その年の天候次第で今までに経験したことのない状況に遭遇してはとまどい、転ぶことも多々、あります。
順調に栽培していたときには気付かなかったことを、転んで初めて気付くこともあります。何度も転ぶ度に栽培技術を身につけてゆき、みなさんに野菜をお届けしています。
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