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2014年7月

2014年7月30日 (水)

土作りの実際

土作りの実際   平成26722

子供たちに夏休みがやってきました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  作物が健全に育つような田畑を作るため、昔から農家は地道に土作りをしてきました。稲を脱穀した後に排出される稲わらも、お米を精白された後に排出される米ぬかも、無駄に捨てずに堆肥や肥料の材料にして、せっせと田畑に堆肥や肥料を散布してきました。

  これらの有機物の中には、作物にとって大切な栄養素がたくさん含まれています。そしてそれ以上に重要なことは、有機物の中には、かぞえきれないほどの小さな微生物が生息しています。有機物を田畑にまくということは、微生物を田畑にまくということです。

  これらの微生物が農家に代わって土を耕して柔らかくして、土の中の栄養を作物の根が吸いやすいように分解してくれます。直接土を作ってくれているのは土の中に暮らす小さな生き物たちであり、農家はそれらの生き物たちが暮らしやすい環境を整えていきます。

  栄養素のみを抽出して化学的処理を施して製造される化学肥料の中には、これらの生き物が生息していません。化学肥料を田畑にまいただけでは、土作りはできません。

  2年ほど前の春先、春作のキャベツやブロッコリーの苗を畑に定植する前に、地力をつけるために大量に入手した米ぬかをそのまま畑に散布しました。でも、キャベツもブロッコリーもまともに育たず、その春は不作でした。

  生の米ぬかは分解されて作物に吸収されるまでに時間がかかります。暖かくならないと微生物は活動できないので、春先のまだ寒い時期に米ぬかをまいても、なおさら分解されるまでに時間がかかります。

  作物を育てる有益な微生物は、暖かな温度と十分な水分と酸素の中で繁殖しますので、農家は小屋などに数種類の有機物を積んで、温度や水分を管理しながら微生物を繁殖させます。これを「発酵」と呼んでいるのですが、有機物は生の状態で田畑に散布するよりも、発酵させてから散布したほうが早く分解されて、早く地力をつけることができます。

  さて、キャベツが不作だった畑に、次は大豆を栽培してみました。大豆の根には「根瘤菌」という小さな生き物が好んで生息します。この菌は空気中からチッソを捕まえて土の中まで運んでくれます。チッソは作物の体を作る上で重要な栄養素です。だから、おもしろいことに、大豆を栽培した後はチッソも土の中に残り、土は肥えます。

  大豆を栽培した翌年の春、じゃがいもを栽培しました。どのイモも大きく太り、今まで経験したことのないような大豊作でした。大きいだけではなく、その中身の味もとてもおいしく、いかにじゃがいもが健全に生育したかを示していました。

  キャベツが全く育たなかった畑が変貌しました。散布した生の米ぬかが時間をかけながら分解されたこと、大豆を栽培したことなど、前年の土作りが効いた結果だと思います。

  土作りはすぐに結果がでるものではありません。長期的な視野を持って行う必要があります。そして、土の中の目に見えぬ小さな生き物たちへの眼差しも忘れてはいけません。

2014年7月27日 (日)

7月20日~7月26日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットの内容です。

じゃがいも、人参、玉ねぎ、ナス、キュウリ、ピーマン、トマト、ミニトマト、ズッキーニ、オクラ、賀茂ナス、甘長とうがらし、モロヘイヤ、空心菜、バジル

小林の手帳より

  4月に播種して育ててきたキュウリが、少ししか実をつけてくれず、収穫量が少ない。

  キュウリの品種には、主枝型(節成り型)と側枝型(飛び節成り型)の2種類があるが、今回のキュウリでは側枝型の品種を4月播きに初めて使ってみた。でも、最近の傾向では、キュウリの側枝はこの時期にはあまり伸びない。4月播きに側枝型の品種を使わないほうが良いのかもしれない。

  6月に種まきして8月に収穫されるキュウリは、側枝型の品種が今まで良い生育を見せていた。今年も側枝型の品種を6月に種まきして、間もなく収穫される。

栽培暦 7月20日~7月26日

以下はこの週に行った仕事です。

収穫、出荷  片づけ  育苗  除草  トラクター耕  果菜類の誘引、せん定  長ネギの土寄せ  播種(人参、フダンソウ)  草刈り、竹切り  鶏ふん入手、散布

小林の手帳より

  じゃがいもは、まだ収穫時期を迎えたばかりの6月から7月は、外皮が薄くてむけやすく、土から掘り出す時に外皮が傷つきやすく、時間が経つとそこからイモ全体が傷んでしまう場合がある。8月に入れば外皮も厚くなって傷つきにくくなる。長期間じゃがいもを保存して蓄えておきたい場合は、8月に土から掘り出すと、傷むことがほとんどなく楽に保存できる。9月になってもじゃがいもを土の中に残したままにしておくと、やがてイモから新芽は発芽してしまい、そのまま新芽が大きくなると、イモの品質が悪くなってしまう。  

2014年7月25日 (金)

キュウリのブルーム

「庶民の味方キュウリは、さらに気まぐれな庶民たちによって翻弄されることになる。

昔のキュウリはブルームと呼ばれる白い粉状のもので実を覆っていた。このブルームは、もちろんキュウリそのものから自然に分泌されるものだから、何の問題もないはずである。

ところがである。このブルームは「農薬ではないか」と疑われて、すこぶる評判が悪かった。

このとき誤解を解いておけば何でもなかったものを、見てくれを気にする消費者のニーズに合わせて、ついにブルームのないキュウリが登場した。現在、出回っているのは、ほとんどがブルームのないブルームレス・キュウリである。

しかし、ブルームレスは歯応えが悪く、サラダにはよいが、漬物にするとおいしくないという欠点がある。」

(稲垣栄洋著「身近な野菜のなるほど観察記」より抜粋)

P7040511小林農場の現在出荷しているキュウリの品種は、長い間採種され続けてきた固定種です。他の農家が出荷しているキュウリと比べると色が白っぽいのが特徴です。ブルームらしき粉が、けっこうはっきりと確認できます。歯応えの柔らかいキュウリですよ。

2014年7月23日 (水)

野菜にとっての自然

野菜にとっての自然   平成26715

農場の敷地内では紫陽花の花が咲いています。みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  先日、小麦の刈り取りと脱穀を行いました。近所の小麦畑では、穂をつけた小麦が地べたへ横に倒れている光景をよく目にします。倒れた小麦を刈り取るのに、農家の方々も苦労したと思います。小林農場の畑では小麦はほとんど倒れず、すいすいと気持ちよく刈り取り作業を終わらせることができました。

  なぜ小麦が倒れてしまうのか?畑が肥沃なのが主な原因と考えられます。小麦は肥料を吸収する力が強く、肥料を多く蓄えている畑では伸長して、倒れやすくなります。上手な農家は肥えた畑でも小麦を倒さないように管理しますが、小林農場の場合は、畑がやせていたために倒れずにすんだのでしょう。

一方で、野菜は肥沃な畑でよく育ちます。同じ作物を同じ畑で同じように栽培しているのに、以前のように野菜が順調に育たなくなってきていると、最近感じるようになってきています。生育中に肥料を多く必要とするキャベツやブロッコリーや白菜は特に、不作が続いています。

  2年前ほどはほとんどの作物が順調に生育していました。もう小林農場の畑では肥料を与えなくても作物が勝手に育ってくれるのかもしれないと思い、この12年は畑に肥料を与える手間を省いてきました。

しかし、畑から作物を収穫すれば、その分だけ土の中の栄養は外に持ち運ばれます。そのまま何も畑に施さなければ、やがて畑はやせていきます。今の小林農場の畑のように。

  7月に入り、今年度の秋作が始まろうとしています。作物を畑に作付けする前に、米ぬかや家畜糞やもみ殻などの有機物を畑に投入して、地力の回復に努めたいと思います。

  人の足が踏み入ることのない山奥の「鎮守の森」では、大きな木々が人から肥料を与えられなくても生い茂っています。本来、土は人の助けを借りなくても植物を育む力を持っています。人為を排除して自然界の力のみで作物が育つことのできる、鎮守の森のような畑を作りたいと、私は夢見ていました。

  でも、この地球上で農業が始まってから1万年間もの長い間、野菜は人類に栽培されることによって進化してきました。人の手が加わっていない自然は、野菜にとっての自然ではありません。人の手助けを受けることにより、野菜はいきいきと生育できます。人のいない鎮守の森に野菜の種が播かれても、野菜は生育することはできないでしょう。

  わざわざ人が農薬や化学肥料を散布しなくても、作物は元気に生育できます。でも、ご先祖様たちが今までやってきたように、畑に有機物を投入したり除草をしたり耕したり、最低限の手助けはしっかりとやっていく必要はあるでしょう。

  野菜が自然に育っていける環境を人の手によって整えてあげたいと思います。まずは土作りから始めて地力を充実させ、作物やその周りの生き物たちの心地よい棲みかを作っていきたいと思います。

2014年7月20日 (日)

7月13日~7月19日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットの内容です。

じゃがいも、人参、玉ねぎ、ナス、ピーマン、キュウリ、トマト、ミニトマト、オクラ、ズッキーニ、賀茂ナス、甘トウガラシ、モロヘイヤ、空心菜、バジル
小林の手帳より
トマトやオクラも収穫されるようになり、葉物野菜もモロヘイヤや空心菜以外にも、フダンソウやセロリを収穫できる。やっと出荷できる野菜の種類数が豊富になり、しばらくは安心して種類数豊かな野菜セットを作ることができる。7月上旬まで、出荷できる野菜が少なくて心配ばかりしていた。

栽培歴 7月13日~7月19日

以下はこの週に行った仕事です。

収穫、出荷  片づけ  播種(人参、ゴボウ、フダンソウ、大豆、小豆)  除草  草刈り、竹伐り  トラクター耕  春作トンネルの片づけ  支柱作り  播種(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、サヤインゲン、キュウリ) 
小林の手帳より
畑の空き地の雑草が勢いを増してきているが、今年はハンマーナイフモアという強力な草刈り機を手に入れ、畑一面が草で覆われてしまう状況にならぬようになんとかくい止めている。あまりに雑草を大きくさせすぎてしまうとハンマーナイフモアでも刈れなくなるので、草刈りを遅れないように。去年までのように、雑草を好きなように暴れさせたりはさせない。 

2014年7月19日 (土)

トマトの赤

P7170553 「植物の果実は鳥や動物に食べられて、糞といっしょに種子を排出させることで、種子を遠くまで運ばせる。

  それにしても、トマトの赤はあまりに鮮やかだ。鳥や動物を惹きつけるには、赤色が最も目立つ。

  しかし植物の果実が持つ色素は、主に紫色のアントシアンと橙色のカロチロイドである。さまざまな果実は赤い果実を夢見ながら、紫色や橙色の色素を使って、少しでも赤色に近づけようとしている。

  そんな他の果実の苦労をよそに、トマトは真っ赤な「リコピン」という色素を持つことに成功した。

親は子を育ててきたというけれど勝手に赤い畑のトマト  俵万智(サラダ記念日)

  トマトは食べられるために赤くなったが、「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺がある。熟したトマトを食べた人はみんな健康になって、医者がいらなくなるという意味だ。トマトの赤い色素リコピンには発ガン抑制の効果もあるという。これでは医者も青くなるはずだ。」

(稲垣栄洋著「身近な野菜のなるほど観察記」より抜粋)

P7170554 小林農場でもトマトが少しずつ、収穫され始めています。

2014年7月18日 (金)

一人勉強会/野菜の最適貯蔵条件一覧表

野菜をより良く貯蔵するために確認しておきたいことは

1、貯蔵最適温度
2、貯蔵最適湿度
ついでに 3、エチレンの影響
以下はネットに公開されていた野菜の最適貯蔵条件一覧表。貯蔵方法を考慮するための参考に。

説明のない写真館(小暑の農場の風景)

P7140535_2 P7130527 P7140538 P7170547 P7170549

2014年7月15日 (火)

実のなる樹

実がなる樹   平成2677

七夕の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  夏野菜の顔、ナス、キュウリ、ピーマン。これらの作物の収穫が徐々に始まっています。青かったトマトの実も次第に赤く色づいてきて、間もなく収穫されることでしょう。

  家庭菜園などでこれらの作物を育てたことのある方はよくご存じだと思いますが、これらの作物は「樹」になります。リンゴの樹からリンゴの実がなるように、ナスの樹は紫色のナスの実をならして、私たちはそれらを樹からもいで収穫して食べます。

  日本では冬がやってきて霜が降りるとナスの樹は寒さに凍え、その年かぎりで枯れてしまいます。しかしナスの原産地のインドなどの一年中暖かな熱帯地方では、ナスは何年も生き続け、人の背丈よりも高くなり、「草」というよりも「樹」になります。

  小松菜などのように作物の葉の部分を食べる野菜を「葉物類」、大根のように作物の根の部分を食べる野菜を「根菜類」と分類されますが、これらに対しナスやトマトのように作物の実の部分を食べる野菜は「果菜類」と呼ばれます。果菜類の栽培は、果物の樹を育てる感覚に似ているかもしれません。

  夏野菜の樹は、たくさんの実をならせるように、茎を太くして葉を茂らせようとしていきます。農家はより良く樹が生育してくれるように整枝します。込み合った枝を切り落としながら、樹の内側まで日当たりや風通しを良くします。

  やがて花を咲かせて実をならします。梅雨の真っ最中で晴れの日が続かぬ現在、まだ樹に勢いがありません。実に養分を送ることに力を注いでいると、樹は疲れてきて生育できなくなってしまいます。樹の体が十分に育っていないうちは実をあまり大きくさせず小さいうちに収穫してあげると、樹の負担を軽くしてあげることができます。

今年は特に、夏野菜の生育が例年よりも遅れています。できるだけ実を大きくさせないうちに収穫し、樹の充実をはかっています。現在みなさんにお届けしているナスやキュウリが市販のものと比べて小さいのは、そのためです。

  現在の小林農場の畑では、まだ、毎朝、わずかな量の収穫しかできません。1日分の収穫量ではみなさんにお届けする分が不足するので、数日間分の収穫を大事に冷蔵庫にて冷蔵保存しながら出荷しています。

果菜類の保存適温はだいたい10度から13度です。これ以上に低い温度だと低温障害を起こしてしまいます。ご家庭の家庭用冷蔵庫で長く保存される場合、新聞紙に包んだりしてできるだけ低温に直接当てないようにすると、適温に近い温度を保つことができます。

梅雨が明けて強い日差しが毎日降り注ぐ夏本番になると樹の生育は旺盛となり、毎朝、出荷しきれなくてうんざりしてしまうほど、たくさん実がなります。自分がほしい分だけしか収穫しないでいると、大きな実をぶら下げたまま、樹は疲れていきます。毎日の収穫作業は樹の負担を減らしていくためにも大事な作業で、出荷の都合に関係なく収穫適期を迎えた実を全て収穫し、樹を健全に生育させることを優先させます。

2014年7月14日 (月)

ナスの支柱

P7140540 P7140541ナスの樹。ナスの枝は直立気味に立っているのが健全な姿。垂れてしまうと生育の勢いがなくなる傾向があります。 写真のように支柱を建ててヒモを張ってそのヒモに枝を固定して、枝を垂らさないようにします。

2014年7月13日 (日)

7月6日~7月12日の野菜セット

以下はこの週の仕事です。

じゃがいも、玉ねぎ、人参、ナス、キュウリ、ピーマン、ズッキーニ、賀茂ナス、甘とうがらし、モロヘイヤ、空心菜、フダンソウ、サヤインゲン、バジル、ニラ

小林の手帳より

雨で畑の土は湿り、収穫された人参には泥がいっぱいついているので、簡単に水洗いをしてから出荷している。泥がついたままだと人参の表面は湿ったままで、今の暑い時期は蒸れて傷んでしまうかもしれない。泥を落としておくと、人参の傷みを見つけやすくなり、出荷前の検品作業がはかどる。

モロヘイヤの生育が勢いをつけてきた。先週までは葉に虫食われの跡が目立っていたが、今は虫も食べきれないほどに次々に新葉が現れて、きれいな葉が収穫できるようになってきた。

栽培暦 7月6日~7月12日

以下はこの週の仕事です。

収穫、出荷  片づけ  育苗  キュウリ定植  小麦脱穀  草刈り  除草(葉物野菜)  夏野菜整枝、誘引  播種(トウモロコシ、エゴマ)  夏野菜用の支柱作り、支柱建て  長ネギ除草  

小林の手帳より

7月の上旬に大豆、小豆、人参を播種して、今年度の間もなく始まる。畑の土の地力が落ちてきていて、作物が作りにくくなってきている。作付けをしていく前に、有機物を畑に投入していく必要がある。有機物の入手先、入手方法を早急に確保すること。

2014年7月12日 (土)

小麦の収穫

P7120524 ブルーシートの上に広げられて日干しされている小麦の粒。これが今年度に収穫された全部の小麦で、だいたい200kgくらいの収量だと思います。

小麦の品種は「ナンブ」。小麦粉に加工すると粘りの強い強力粉になり、乾麺以外にもパンも作れるようです。

ネットが使えるようになりました

この3日間、突然に農場のパソコンのインターネットが接続できなくなってしまい、ブログの更新をしばらくお休みいたしました。

メールも使えなくなりました。メールが使えなくなると、仕事への影響が小さくありません。この数日間、仕事上の大事な内容のメールが送られてこなくて助かりました。

プロバイダーやNTTなどにあちらこちらに電話して相談してみてもなかなか不調の原因を特定できず、元通りにネットを使えるようになるまで、ずいぶんと時間を費やしてしまいました。

最後は私が先月分の通信料を支払い忘れたためにサービスが使えなくなっていたことが判明して、料金を支払って無事にネットが使えるようになりました。今後は通信料は自動振り込みで支払えるように手続きしました。

2014年7月 8日 (火)

転んだ先

転んだ先   平成2671

梅雨寒の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか?

  6月の中旬、畑より玉ねぎを全部収穫しました。風通しの良い日陰に積んでおき、そのまま長期間保存しながら出荷していきたいと思います。

  玉ねぎ栽培では、種まきの適期を守ることが重要です。早すぎても遅すぎてもいけません。小林農場の気候では、915日あたりが播種の適期です。その頃に畑に種を播く準備をしながら天気予報を確認し、雨が降る直前に種を播き、種を雨に当てて発芽させます。

  去年の915日はちょうど台風が来て雨が降る予報だったので、その前日に玉ねぎの種を播きました。その後に降ってきた雨は、ゲリラ豪雨のような強雨で、畑の土は雨によって激しく叩かれました。種を播いた播き溝の表面が、おせんべいのようにパリパリに固くなってしまいました。

  播種後数日間たっても、種が発芽する様子がありませんでした。待って待って2週間ほどたっても全く発芽しなかったので、しかたなく玉ねぎの種を再び購入して、播き直しました。適期よりも2週間遅れて種は発芽しました。

  秋も深まり始める10月下旬から11月上旬、発芽して育った玉ねぎの苗を掘り出して、もっと広い畑へ間隔を十分にとりながら定植します。11月の下旬には毎朝霜が降りるほど寒くなり、玉ねぎの根も活動できなくなっていきます。寒さが本格的になる前に苗を畑に植えて根をしっかりと畑に根付かせる必要があります。

  種まきの適期が遅れてしまったため、定植の適期にも苗は十分な大きさに育っていなく、定植も遅れました。苗の根が畑に根付く前に、本格的な寒さを迎えました。

  年が明けて1月と2月、畑は毎朝凍り、土には霜柱ができていました。畑に根付くことのできていない玉ねぎの苗は次々に霜柱に持ち上げられて、根が地表に飛び出て横たわってしまいました。何度か横になって転がっている苗を拾っては土の中に埋め戻しましたが、埋め戻しきれずに枯れてしまった苗も少なくありませんでした。

  今年度の玉ねぎの収量は全部で150kgくらいでした。大豊作だった去年と比べて、半分以下でした。でも、今年は全く玉ねぎを収穫できないかもと心配していたので野菜セットに半年以上出荷できる分はしっかりと確保できたことに、ほっとしています。

  今回の玉ねぎ栽培は記憶に残るものだったので、この農場通信でその時の様子をお伝えしてみました。今回の玉ねぎが収穫されるまでに他にもいろんなことがあったのだけれども、この紙面には書ききれません。

玉ねぎなどの多くの作物が年に1回しか作れません。農家が一生のうちで玉ねぎを作る回数は、どんなに多くても100回くらいしかありません。その年の天候次第で今までに経験したことのない状況に遭遇してはとまどい、転ぶことも多々、あります。

順調に栽培していたときには気付かなかったことを、転んで初めて気付くこともあります。何度も転ぶ度に栽培技術を身につけてゆき、みなさんに野菜をお届けしています。

2014年7月 7日 (月)

6月末の出荷野菜についている虫について

キャベツの葉と葉の間にムカデのような小さな虫がたくさん入りこんでいることを先週末に気づきました。とても取り除けそうもないので、キャベツを出荷することをやめました。

ブロッコリーもつぼみとつぼみの間を棲みかにして小さな虫が入りこみます。

時期によって、出荷する野菜の中に虫が入りこみます。その野菜を食べても健康上、問題はありません。でも、それは分っていても、虫がついている野菜を生理的に受け入れられない人は多いです。

無農薬栽培をしている私はそのこと考慮したいと思います。

少し虫がついているくらいならともかく、取り除けないくらいにたくさん虫のついている野菜を出荷することは控えたいと思っています。

モロヘイヤはまだ生育に勢いがなく、虫に食べられた跡が目立ちます。もっと暑くなって生育に勢いがつけば、虫に食われていないきれいな葉がたくさん収穫できるでしょう。

2014年7月 6日 (日)

栽培暦 6月29日~7月5日

以下はこの週に行われた仕事です。

収穫、出荷  片づけ  育苗  里芋除草  夏野菜の支柱建て、誘引  草刈り  追肥(夏野菜)  カルチ除草  玉ねぎ、ニンニクの貯蔵  小麦刈り取り、脱穀  大豆、小豆播種  キュウリ定植準備

小林の手帳より

小麦を脱穀するために、中古でハーベスターという農業機械を購入した。脱穀中にハーベスターがうまく働かなくなってしまった。中古品だからしかたがないかもしれないが、機械を使用することを前提にして仕事をしている最中に機械が使えなくなると、作業を全て中断しなくてはいけなくなり、気が滅入る。近所の農機具屋さんや整備工の方々にあちらこちらに声をかけ、壊れている箇所を確認していただき、なんとか修理していただくことができた。   

6月29日~7月5日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットです。

じゃがいも、玉ねぎ、人参、大根、ナス、キュウリ、ズッキーニ、ピーマン、甘とうがらし、賀茂ナス、キャベツ、モロヘイヤ、フダンソウ、バジル、セロリ、サヤインゲン、ニラ、ニンニク

小林の手帳より

まだ夏野菜が勢いつかず、収穫量が少ない。野菜セットの種類数を確保するのに苦心している。梅雨が明けて日差しが戻れば夏野菜の生育が勢いつくと思うのだが。ナスやキュウリは、実が小さいうちから収穫して、樹の負担を軽くして生育に勢いをつけさせていきたい。

2014年7月 4日 (金)

夏野菜の状況

P7040513 今日の朝に収穫できた夏野菜。これで全部。左上は丸ズッキーニ、左下は普通のズッキーニ、右はキュウリとナス。ズッキーニ以外の夏野菜はまだ勢いがなく、収穫できる量は少ないです。夏本番になれば、毎日、山ほど収穫できるようになるでしょう。

P7040519 間もなく、ミニトマトの収穫が始まりそうです。

バジルの保存方法

P7040516 バジルの葉。水にさしておくと、数日間、葉はしおれずに保存できます。光沢のある葉はきれいで、テーブルに飾っておくと甘い香りを漂わせてくれます。

2014年7月 2日 (水)

説明のない写真館(夏至の農場の風景)

P6230464 P6290490 P6290488 P6290487

2014年7月 1日 (火)

信頼関係を自給自足する

信頼関係を自給自足する   平成26624

麦秋の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  私が学生の頃、タレントたちが自分たちの衣食住を自分たちで作ることに挑戦して自給自足の生活様式を提案するテレビ番組が流行っていました。私も、野菜だけでなく、お米も果物も卵もお肉も加工品も、自分が食べるものは全部、自給したい、自分が暮らす家も自分で建てたい、そんな夢を抱きながら農業の世界へ飛び込んでいきました。

  実際に農業を始めてみたら、野菜を作ることだけで忙しくて精いっぱいでした。私一人の能力では水田でお米を作ることも家畜を飼うことも手が回らず、ましてや家を建てるなんて不可能でした。

  我が家のお米は、近所の農家の方々から購入しています。水田も何度か見せていただいたこともあります。我が家の卵は、養鶏をされている地主さんからいただいています。小林農場の畑の目と鼻の先に鶏舎があり、毎日、どのようにして鶏が飼われているのか畑仕事をしながら拝見できます。

  自分の周りに信頼できる仲間が100人いて、100人がそれぞれ1種類ずつ作物を作れば、100品目の作物ができます。それを仲間同士でお互いに分け合う。これもまた、立派な自給自足の形だと思います。

  自分一人でなんでもかんでも自給自足をするのが難しいのならば、信頼できる人たちと売ったり買ったり、さしあげたりいただいたりして、自分たちが暮らしていくのに必要なものをそろえていけばよいのだと思います。

  よって、今の私にとって、「自給自足すること」と「周りの人々と信頼関係を築くこと」は同義語です。小林農場に与えられた役目は野菜を生産することであり、おいしい野菜をできるだけ多くのお宅に安定的にお届けすることによって、多くの方々との信頼関係を築いていけるでしょう。しばらくは、野菜作りに専念していきたいと思っています。信頼できる農家と出会えれば、そちらから野菜以外の食品を購入していきたいと思います。

  野菜以外の食べ物を自分の手で作りたいという想いはまだ捨てたわけではありません。自分が得意としている野菜作りでしっかりと生計を成り立たせてもう少し暮らしにゆとりが生まれてからその夢を実行に移しても、遅すぎることはないでしょう。

  みなさんもご自分のお仕事に専念されているので、自分たちが食べる野菜を栽培する機会はあまりないと思います。しかし、小林農場の野菜セットを購入して農場の生計を支えてくださることにより、みなさんも野菜作りに参加しています。小林農場の野菜を食べることによって、みなさんもご自分の野菜を自給していると思ってくださると嬉しいです。

  一人の人間が短い一生のうちにできること、作れることは、本当に少ないです。でも、信頼関係の絆で結ばれた人々が集まれば、いろんなことを自分たちの手で作れます。地域内で自給自足の暮らしを実現できる社会になっていけばよいと思います。

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