農家が手間をかけるべき仕事 平成26年5月20日
若葉が目にまぶしい今日このごろです。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
農場のすぐ近くに新しく直売所が開店し、小林農場も野菜をそちらのお店に出荷させていただいています。葉物野菜は適当な量をビニール袋に詰めて店頭に並べているのですが、先日、お店の方より、ビニール袋に泥がついていたとのご指摘をいただきました。
収穫した葉物野菜をそのまま袋に詰めれば袋のどこかに泥はついてしまいます。でも、店頭に並んでいる他の農家の方々の品物を見渡してみると、袋に汚れはありませんでした。
他の農家の方にたずねて、袋の詰め方を教わりました。今では私もコツを覚え、袋に泥をつけずに葉物野菜を詰められるようになりました。
直売所で野菜をお客さんに買っていただくためには、品物をきれいに包装して見た目を整えることが重視されます。直売所で自分の野菜を販売させていただくいじょう、きれいに包装をしてほしいというお店からの要請に応じていく必要があります。
収穫した野菜を水洗いしてきれいに泥を落とし、乾かしてしっかりと水をきり、そして袋を汚さぬように注意深く野菜を袋に詰めていく一連の作業。はっきし言って、大変な手間です。どんなに手間をかけてきれいに包装しても、中身の野菜の品質は変わりません。
この手間を省いて出荷作業を短縮し貴重な時間をたっぷりと畑仕事に費やすことができれば、もっと中身の質の良い野菜を作ることができるのに。そう思うと、袋を汚さぬために時間をかけてしまっている自分の仕事が、空しくなってきます。
直売所などでで売られている大根などの根菜類は、たいてい水洗いされています。見た目が良いし、お客さんが水洗いする手間を省けるという利点があるいっぽう、水で洗ってしまうことで貯蔵性が低下して中身の品質が落ちる危険性もあります。
小林農場の野菜セットでは、たいていの場合、根菜類は泥をつけたまま出荷しています。品質を保持するため、そして、出荷作業を省略化するためです。
泥がついた野菜を裸の状態で箱に詰めてみなさんのお宅にお届けしたら、みなさんがそれらの野菜を取り出すとき、泥が床にこぼれて床を汚してしまうでしょう。だからビニール袋にそれぞれの野菜を簡単に詰めるようにしています。
最近お届けしている里芋は、水洗いして泥を落としています。気温が上がっている今の時期、傷んだいもが増えてくるので、出荷する前に注意深く里芋を点検する必要があります。泥を落としておくと傷んでいるいもを見つけやすく、選別作業がはかどります。これらのようにやる価値のある包装や水洗いならば、小林農場も手間を惜しんだりしません。
泥がついている根菜類でも虫食い穴のある葉物野菜でも、みなさんが寛容に受け取ってくださったから、私は出荷作業にあまり手間をかけずに畑仕事をすることができました。
健全に育って味のおいしい野菜は、その姿も美しいです。だから見た目も大事で、姿の美しい野菜をお届けしたいと思っています。作物を健全に育てるために畑仕事にたっぷりと手間をかけられるように、出荷作業の手間を省く工夫をしていきたいと思います。