農場の物語化
農場の物語化 平成26年4月14日
桜花爛漫の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。
以前、地元で行われた自然観察会に参加したことがあります。みんなで山道を歩いているとどこからか聞こえてくる鳥の声。自然観察の熟練者がその方角を聞きつけそっと望遠鏡を向けて、遠くの林の中に潜む小さな鳥をぴたりとレンズの中に捕えました。
そして、その鳥の名前を教えてくれました。さらに、なわばりを主張しているのか求愛をしているのか、その鳴き声から、その鳥の気持ちを読み取って解説してくれました。
身近な鳥たちは、その鳴き声を聞かせてくれることにより、自然の中で起こっているいろんな出来事を人に教えてくれます。それは鳥たちの奏でる物語。鳥の鳴き声を聞いてどんな鳥がどんな理由で鳴いているのか気づける人はきっと、いろんな物語を読むことができて、散歩しているだけでも楽しめるでしょう。
身近な自然の中に物語があります。「幸せは探すものではなく、気付くもの」という言葉がありますが、まさに「物語は作るものではなく、気付くもの」だと思います。かの有名な作家、宮沢賢治も、何気なく転がっている石ころや何気なく吹いてくる風の声を聞くことにより、数々の童話の名作を生み出してきました。
私は子供の頃からアニメやマンガが大好きで、その物語に胸を熱くしてきました。今は宮沢賢治のように身近な自然から物語を見つけて小説を書くことが、私の夢です。
そして、その物語の題材が、畑にゴロゴロと転がっています。農場での出来事を物語にして、みなさんの心に沁みるような物語をお届けしていきたいと強く願っています。
怠けた仕事をしていれば、つまらない物語しか作れません。みなさんに素晴らしい農産物をお届けするために懸命に努力すればするほど、物語は深くなっていくでしょう。物語で語られる言葉の一つ一つに言霊が宿り、さらには行間にも言葉にならない想いを詰め込んでいけるような物語となるでしょう。
小林農場はインターネット上にブログを開設していて、マメに更新しています。農場を宣伝する目的で開設したのですが、私がここで本当にやりたいことは、農場の物語を描くことです。豊かな物語を提供して、観てくれる人に農業に関心をもっていただきたいという想いで作っています。
この農場通信は、農場の近況を伝える報告であるとともに、農場で暮らす生き物たちのささやかな触れ合いを描いた連載小説でもあります。もちろん、小林農場の野菜セットを食べてくださっているみなさんも、この物語の登場人物です。
私は滅多に旅行に出かけることはしないし、住まいにはテレビがなくてテレビを観る習慣もありませんが、さみしくありません。四季折々に変化していく農場の畑は年中、私に豊かな物語を与えてくれて、畑に足を運ぶだけで十分に楽しめます。
大冒険や大恋愛をしなくても、私たちの日常には物語があふれている。そのことに気づける自分でありたいと思うし、みなさんにもお伝えだきればと思っています。
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