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2014年1月27日 (月)

生き物ざっくり物語  ホウレンソウざっくり

畑で暮らす生き物たちの奥深き生き様をざっくりと物語ります。今回はホウレンソウについて。

今から二千年ほど前、寒冷なペルシア地方でタンポポの葉に似た草、ホウレンソウが育てられて食べられるようになりました。古い時代にペルシアから中国、そして日本に伝わってきたのが東洋種で、葉肉が薄いのでヒトはおひたしにして食べることを好みました。ヨーロッパ各地で栽培され、近代になってから日本に導入されたのが西洋種で、葉肉が厚くて崩れにくいので、バターや油で炒める料理に適しています。現在は東洋種と西洋種のどちらの良いところを取り入れた雑種が主に日本で栽培されています。

ホウレンソウはもともと、寒さに強くて暑さに弱い生き物です。春に種が播かれたホウレンソウは、気温が高いので生育が速くなりますが、自分の体に栄養を貯めこむことができず、食べ物としては栄養価の低いものとなります。秋に種がまかれて、冬の間は太陽光を浴びながらじっくりと育つホウレンソウは、栄養も甘味もたくさん自分の体に蓄えていきます。ヒトは冬に収穫できるホウレンソウを好んで食べてきました。寒くなれば生育速度はゆっくりとなりますが、それでも氷点でも生育することができ、氷点よりも10度くらい低い低温にも耐えることができます。

ホウレンソウの種が発芽する頃にはすでに、太くて地中にまっすぐと伸びていく一本の根、主根の姿が目立ちます。生育が進むと、主根は地中60cmほどの深さに達し、ホウレンソウの生育を支えます。主根は赤く染まり、ここに甘い糖分が貯蔵されていきます。

冬までに生育して収穫時期を迎えたホウレンソウは、寒くなっていくと同時に、空に向かって伸ばしていた葉を地べたに下ろします。一枚一枚が重ならずに全ての葉が太陽の光を浴びられるよう、葉を地面と水平に放射状に広げていきます。こうすることにより、他の季節と比べて太陽の光が少なくなる冬に、葉はできるだけ日光を逃さずに取り込もうとします。吹きつける厳しい寒風も避けられます。放射状に葉を広げたホウレンソウの形はバラの花飾りに似ていて、ヒトはこの姿を「ロゼット」と名付けました。タンポポなどの他の植物も、寒くなるとロゼットになって冬を越していきます。

冬を乗り越えて春を迎えたホウレンソウは、茎を伸ばしてその先に花を咲かせます。動物にはオスとメスがいますが、植物の場合、たいていはオスとメスに分かれていません。一つの花の中におしべとめしべがあったり、一つの株に雄花と雌花がいっしょに咲いたりします。ところがホウレンソウには、雄花しか咲かせないオスの株と雌花しか咲かせないメスの株があり、これは植物としては珍しい性質です。ヒトは開花前にホウレンソウを収穫しますが、その時にはどれがオスでどれかメスかは分かりません。

数ある野菜の中でもホウレンソウの食物としての栄養価は抜群に高く、「一皿のホウレンソウは一瓶の薬に値する」と言われています。ただ、栽培中、ヒトがホウレンソウに肥料を与えると、ホウレンソウは肥料の中に含まれている「硝酸(しょうさん)」という成分を好んでたくさん吸収します。硝酸は人体には有害な成分であり、ヒトは栽培中にホウレンソウに肥料をやりすぎないように気をつけます。また、ホウレンソウの体内には「シュウ酸」という成分も比較的多く含まれています。えぐ味があって「アク」とも呼ばれていますが、ヒトはホウレンソウを食べる前にゆでて、アクを取り除きます。

参照

農文協 編・香川 彰 絵・石倉 ヒロユキ 「そだててあそぼう47 ホウレンソウの絵本」

著・木嶋 利男 「伝承農法を活かす マンガでわかる 家庭菜園の裏ワザ」

著・稲垣栄洋 絵・三上修 「身近な野菜のなるほど観察記」

 

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