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2014年1月22日 (水)

予防原則

予防原則   平成26年1月13日

星も凍るような寒い夜が続いております。みなさん、いかがおすごしでしようか?

  無農薬栽培を行う小林農場も、現在の農薬事情について関心を持っています。一昔前の農業では有機リン系の農薬が主に使用されていましたが、現在はより人体への健康被害が少ないとされているネオ・ニコチノイド系の農薬が主に使われています。

  近年になって各地の養蜂家から、飼育していたミツバチが突然に大量死、大量失踪してしまったという報告が相次ぎました。原因の調査では、大気に拡散されたネオ・ニコチノイド系の農薬がミツバチになんらかの健康被害を与えたのではないかと疑われています。

  ミツバチは多くの農作物の授粉を担うとても大切な昆虫です。ミツバチがいなくなれば、ナスもトマトも実をならさず、私たちは収穫できなくなってしまいます。また、この新農薬を浴びた人々が脳や神経系へ障害を被ったとの報告も相次ぎました。これらを受けてネオ・ニコチノイド系の農薬の使用に厳しい規制を設ける国が増えています。

  ただし、ミツバチや人体への健康被害について、ネオ・ニコチノイド系の農薬が原因であると科学的にはっきりと証明されたわけではありません。ネオ・ニコチノイド系の農薬を開発している農薬会社からは、厳しい使用規制に反対する声があげられています。

  この新農薬のように、安全なのか危険なのかはっきりと分からない化学物質に対しては、「危険性が確認されていないのだから、安心して使用してよい。」と考えるのではなく「安全性が確認されていないのなら安全性が確認されるまで厳しい規制を設けながら使用する。」と考えます。これは小林の個人的な見解ではなく、国際会議にて国際的に合意された概念で「予防原則」と呼ばれています。

ひょっとしたら研究が進んでネオ・ニコチノイド系の農薬は実は無害で安全であることが判明される日がくるかもしれません。それでも、安全性がはっきりと確認されるまで使用を厳しく規制すべきです。予防原則とはそういうことです。

  「公害の原点」と言われている昭和31年に熊本県水俣市で発生した水俣病では、化学工場から海に排出された廃液中の水銀が食物連鎖を通してその周辺の住民の体内に取り込まれて、多数の被害者を出しました。当時は水銀が人体に与える影響が知られていなかったため、水銀の海への排出が規制されませんでした。このような悲劇を未然に防ぐために、「予防原則」という考え方が生まれました。

  ネオ・ニコチノイド系の農薬のように安全性が疑われる農薬が新たに開発され使用されています。それらは今まで自然界に存在していなかった未知の化学物質です。果たしてこれが今後自然環境にどのような影響を与えていくのか、わかりません。農薬を使うたびにいちいちそのことを心配しなくてはいけません。だから私は農薬を使うのが嫌なのです。

  「新しいものに過剰に不安を抱いていては何もできないし何も進歩しない」と批判されるかもしれません。でも、未知の化学物質への警戒心を緩めれば、第二、第三の水俣病が発生することでしょう。「予防原則」は忘れてはならない考え方だと思います。 

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