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2013年11月

2013年11月30日 (土)

栽培暦 11月24日~11月30日(天気上騰地気下降)

以下はこの週に行った仕事です。

収穫、出荷  片づけ  小麦、風選  長ネギ土寄せ  大根伏せこみ  里芋収穫、貯蔵  かぶ、人参土寄せ貯蔵

小林の手帳より

露地野菜の防寒を始めている。大根などは収穫して、深く掘った溝に埋める。防寒の適期はいつなのか、迷った。気温がまだそんなに寒くない時期にあまり早く防寒してしまうと、大根などは貯蔵穴の中で蒸れて障害を起こすかもしれない。今の時期、早朝は霜が降りるが、昼は上着を脱ぎ捨てたくなるほど暖かく、どうしても貯蔵を始める気になれなず、まだ、全部の作物の貯蔵を終わらせていない。本当は貯蔵作業は遅れるよりも早すぎるほうが安全だと思う。この数日間は早朝は氷点下以下まで冷え込み、まだ貯蔵されていない露地野菜の状態が気になる。来週中には貯蔵作業を完了したい。

2013年11月29日 (金)

11月24日~11月30日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットの内容です。

じゃがいも 玉ねぎ 人参 大根 かぶ 長ネギ さといも さつまいも 白菜 サニーレタス 小松菜 ほうれん草 チンゲンサイ ミブナ

小林の手帳より

ほうれん草、みず菜、みぶな、ターサイなどが収穫時期を迎えている。冬になると、けっこう豊富な種類の露地の葉物野菜が出荷できるようになる。春菊は寒さに弱く、出荷しにくくなってきている。レタスも霜で傷んでしまっているが、結球しないサニーレタスはもう少しの間寒さに耐えて、出荷できそう。

2013年11月28日 (木)

かぶのステーキ

材料  かぶ  かぶの葉  しょう油  ごま油

フレイパンにごま油を熱して輪切りにしたかぶを加えて炒め

しばらくしてからざく切りしたかぶの葉も加えて、しょう油を回し入れて炒め

しょう油が焦げてきたら火を止めて、フライパンから取り出す

私は少し焦げたしょう油の香りが好きです。火を通したことによって甘くなったかぶの表面をしょう油でこんがりと炒めるてみてください。外はこんがり、中は柔らか、絶品の食感です。

11月27日撮影  作物観察日誌

Pb270218 Pb270219 (左)9月30日播種のほうれん草

(右)10月14日播種のほうれん草

Pb270215 (左)9月23日播種の春キャベツ

Pb270223 (右)人参

Pb270221 (左)長ネギ

2013年11月27日 (水)

打てない終止符

打てない終止符   平成25年11月18日

向寒の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  11月10日、栃木県宇都宮市にて、原発再稼働反対を訴える大規模なパレード「さよなら原発 栃木アクション」が行われ、私も参加してきました。2000人を超える一般人が足を運び、「原発はいらない!」と声を上げながら、市内の中心街を練り歩きました。

  私が農業研修を終えて農家として独立して小林農場を設立したのは、平成23年の1月のことでした。そのわずか2カ月後の3月11日に東日本大震災が発生し、悪夢の原発事故が引き起こされました。小林農場の歴史は、福島第一原発事故とともに始まりました。

  事故によって栃木県内にも放射性物質が拡散し、当時、放射性物質によって自分たちが育てている野菜がどのくらい汚染されているのかよく分かりませんでした。私のまわりの農家の中には、汚染の状況がはっきりと分かるまで野菜の出荷を自粛する方もいました。

  私は収穫時期を迎えた小松菜をさっそく出荷してみました。出荷することによって、まだ設立したばかりの農場の第一歩を踏み出したかったので。

  もし自分が出荷した小松菜が本当に放射性物質に汚染されていて、それを食べた人が健康被害を被ってしまったらどうしよう?出荷した後になってそのような不安がこみあげてきて、背筋が凍りついてきました。第一歩を踏み出してみたら、つまずいてケガをしました。一回出荷したきり、小林農場もしばらく出荷を自粛することにしました。

  現在は日本の田畑の性質では作物に放射性物質が移行しにくいことが分かり、検査をしてみても作物から放射性物質が検出されることはほとんどなくなりました。ただ、原木で育てたシイタケなどのキノコ類や山菜類、イノシシなどの獣肉など、除染の難しい山から採れる「山の幸」からは今でも高い数値の放射性物質が検出され、私たちの地域でもこれらの出荷が規制されています。小林農場でも原木でシイタケを作るつもりでいましたけれど、せっかく作っても、今は安心してシイタケを出荷できる状況ではありません。

  今年も行政から落ち葉を堆肥の材料として使うことを控えるように呼びかけられています。落ち葉には降り積もった放射性物質がたくさん混じっている可能性があるからです。

  小林農場が利用している雑木林には、原発事故当時に放射性物質を浴びた古い落ち葉もたくさん残っています。落ち葉で堆肥を作ったら必ず検査をして安全性を確かめようと思います。もし高い数値の放射性物質が検出されれば使用をあきらめなくてはいけません。

  原発事故によって被った小林農場への被害はまだまだ小さいもの。福島第一原発周辺の市町村で農業を営んでいる農家の方々は、本当に悲惨な被害を受けています。代々引き継がれてきた田畑が放射性物質によってもう使えなくなってしまうほどに汚染され、自分たちの田畑から離れなくてはいけなくなった農家の方々の絶望はどれだけ深いものなのか。

  この原発事故が起こった後に私が見たこと、聞いたことを、これからもずっと忘れずにいようと思います。そして、原発事故によって世の中がどのように変わっていくのか、私が死ぬまでずっと追いかけて見届けてみようと思っています。

2013年11月26日 (火)

生き物ざっくり物語  ツケナざっくり

畑で暮らす生き物の奥深き生き様を、ざっくりと物語ります。今回はツケナについて。

ヒトが食べる作物には無数の種類がありますが、それらの作物を祖先を同じとする家族に分類することができます。「アブラナ科アブラナ属」はとても大きな家族で、この中に含まれている作物はみんな、開花時期を迎えると十字の形をした黄色い菜の花を咲かせます。コマツナ、ミズナ、ミブナ、チンゲンサイ、サントウサイ、ノザワナ、ターサイ、カラシナ、タカナ、ナタネ。葉の部分が食べられる葉物作物の多くがアブラナ科アブラナ属に含まれます。昔からヒトはこれらの葉物作物を漬物として利用することが多かったため、これらの作物をまとめて「ツケナ」と呼ぶこともあります。ちなみに同じ葉物作物でも、ホウレンソウは開花時期に黄緑色の小花を咲かせるアカザ科の作物で、シュンギクは開花時期にキクのような花を咲かせるキク科の作物で、それぞれツケナとは違う家族です。

  ツケナの祖先は地中海周辺で誕生して東アジアへ渡り、中国で野菜として食べられるようになり、いくどこかの時代に日本に伝えられて各地でツケナとして独自に発達していきました。ツケナが黄色い菜の花を咲かせる頃、蜜を求めてハチなどの虫が花の周りを飛び交います。虫の体に花の花粉がくっつき、虫によって他の花に花粉が運ばれ、それで作物は受粉して種を作ります。違う形をした違う性格のツケナどうしでも簡単に受粉できます。それで作られた種からは、両方の親の性質を合わせながらも新しい性質も持ったツケナが生まれます。このようなツケナの性質を「雑然性」と呼びます。

  もともとはツケナの祖先は川で生まれ、葉がなるべく水に浸からないように葉柄の上のほうに葉を広げていました。やがて川から離れて陸でも生育するようになると、直射日光による地温の急上昇や夜の地温の冷え込みから自分の身を守るため、袴をはいたような葉柄の下から上まで葉を広げた形をしたツケナが誕生しました。風が強い場所では風による衝撃を和らげるため、葉先を剣のように細くとがらせた形をしたツケナが誕生しました。このように、その雑然性を利用して、その環境に合わせてツケナは新しく葉の形を変えていき、各地で多彩な種類のツケナが登場しました。ツケナは常に均一であることを嫌い、変化して雑然とすることを好みます。そして、あらゆる環境に対応してゆきます。

  ツケナは収穫した後の保存が効かなく、毎日少しずつ食べる野菜なので、ヒトは収穫時期がずれるように、一度にいっぱいツケナの種をまかず、時期をずらしながら少しずつ種を播きます。真冬と真夏でなければ、種を播けば発芽します。秋に種をまくと、生育するにつれて気温が下がっていくため、葉の厚いしっかりとした株に育ち、寒さにあたって糖分が増えて味の良いツケナが収穫されます。

  コマツナなどの生育は早く、適温であれば種まきしてから1カ月ほどで収穫時期を迎えます。コマツナの食べ頃は25センチくらいの大きさになったとき。柔らかくて、ヒトはおひたしやお吸い物に利用します。これ以上大きく成長すると葉は固くなりますが、ヒトは大きなコマツナを煮ものや浅漬けに利用します。

  春になって暖かくなれば、ツケナは茎を伸ばしてつぼみをつけます。ヒトはその花茎をかきとって、春の食材として利用します。また、ツケナの一種、ナタネは、花が開花して種をつけた後、ヒトはその種を集めてしぼって、油をとります。

参照  農文協 編・野呂孝史 絵・岡田慶隆 「そだててあそぼう90 菜っ葉の絵本」

     藤井平司著 「図説 野菜の生育 本物の姿を知る」

2013年11月24日 (日)

栽培暦 11月17日~11月23日(野鷄入水為蜃)

以下はこの週に行った仕事です。

収穫、出荷  片づけ  玉ねぎ定植  配水管修理  大豆、小豆収穫、乾燥  白菜防寒、貯蔵  落ち葉かき  借家の前、整地  チンゲンサイ間引き  ニンニク除草

小林の手帳より

連日の朝、霜が降りて畑がまっ白に凍りつく。朝は畑仕事ができないので、散らかりっぱなしの借家や出荷所などの掃除をしようと思う。年末の大掃除を、今年こそはちゃんとやろう。  

作物観察日誌 ほうれん草、春キャベツ

11月22日撮影

(左)Pb220213_2 9/30播種のほうれん草

Pb220209 (右)9/14播種のほうれん草

Pb220210_2 9/23播種の春キャベツ

2013年11月23日 (土)

新聞切り抜き ネット版  脱原発の可能性について 日本経済新聞、武田邦彦教授

私が最近気になった記事をご紹介します。

以下は日本経済新聞より

原発政策にはリアリズムが必要だ

2013/11/20付

理想論としての脱原発はともかくとして、改めて考えなければならないのは即時原発ゼロがはたして現実に成り立つのかどうかの政策のリアリズムの問題である。

 第1の変数は当面の経済だ。原発を停止したことで、火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)や原油の輸入代金が2013年度は、東日本大震災発生前より3兆6000億円増える見込みだ。

 国富がそれだけ海外に流出しているわけだ。貿易収支の赤字はすっかり定着し、このままいけば国の稼ぐ力をあらわす経常収支がそう遠くない将来、赤字に転落するケースも想定される。その先、国債暴落、財政破綻という最悪の事態も招きかねない。

第2の変数は産業と日米関係である。日本と米国の間では原子力共同体といえるかたちができあがっている。東芝とウエスチングハウス、日立製作所とゼネラル・エレクトリック(GE)の企業連合がそうだ。日本は世界の原子力産業の中核を占めているという現実がある。

 それは日米に響く。アジアや中東で原発計画が相次ぐ中、日本が即時脱原発に向かえば日米連合による原発の受注は不可能になる。核拡散の懸念も出てくる。中国の台頭もある。米国は安全保障の観点からこの問題をとらえる。

 昨年9月、民主党政権下でエネルギー政策を決める際、米側から脱原発に待ったがかかり、決定の最終局面でドタバタ劇を演じたことを思い出せばすぐ分かる。

 第3の変数は技術だ。再生可能エネルギーやもう一段の省エネは開発途上で、原発の肩代わりが可能かどうかなお未知数だ。

 同時に、東京電力福島第1原発をはじめとして今後、廃炉を進めていかなければならない。そのためにも原子力技術を維持していく必要がある。技術の基盤が失われるのは何としても避けたい。

 核廃棄物の最終処分にメドが立たないのはその通りだが、原発即ゼロに動いたとしても使用済み核燃料が減るわけではない。

以下は武田邦彦教授より

原発の電気は安いのか?  専門家は誠意を持って

電気は火力発電で充分だ

原子力発電を止めれば再生可能エネルギーしかないというのはトリックである。

電気は火力発電で充分で、燃料としては天然ガス(豊富)、石炭(値段が安い)、それに若干の石油も使える。

もともと、原発も石油の代わりにウランを燃やすのだから厳密に言えば火力発電で、燃料が違うだけだ。

「原発を止めれば再生可能エネルギー」と言って、「再生可能エネルギーは非現実的」というような詭弁を弄してはいけない。日本の発展の妨げになる。

天然ガス、石炭の火力発電は原発よりコストが安い。大事故にはならない。石炭の環境技術は完成しているなど問題は無い。トリックを使って国民を騙すような政治家は信頼できない。

電力は火力発電をすれば充分足りるということを前提に原発の是非を論じるべきであり、天然ガスや石炭がなくなるといっているのは日本の一般人と政治家、マスコミだけで、エネルギーの専門家や海外で資源の枯渇を信じている人はいない。

(平成25717日)

2013年11月22日 (金)

11月17日~11月23日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットの内容です。

じゃがいも、人参、玉ねぎ、大根、かぶ、里芋、サツマイモ、長ネギ、レタス、サニーレタス、白菜、小松菜、ほうれん草、春菊、チンゲンサイ

小林の手帳より

ほうれん草や白菜の出荷を開始。まだそんなに味は濃くないが、寒さが増せば、もっともっと味が甘くなっておいしくなる。

市場関係の方のお話だと、今年は秋の時点で全国的に野菜の収穫量が少なく、野菜の値段が高騰している。これから冬になれば、その傾向がさらに強まる。小林農場の出番がやってきた。冬の間も今までと同じように種類数が豊かな野菜セットをお届けし続け、野菜セットを食べてくださっているみなさんに少しでも喜んでいただきたい。

2013年11月20日 (水)

栽培暦 11月10日~11月16日(地始凍)

以下はこの週に行った仕事です。

収穫、出荷  片づけ  落花生収穫、乾燥  ソラマメ播種  里芋の貯蔵の準備  配水管の修理  玉ねぎ定植

小林の手帳より

例年通りに9月の中旬に玉ねぎの種を播いた。しかし、直後に台風の集中豪雨により畑が激しく叩かれ、種は発芽せず。いくら待っても発芽しないことが分かり、玉ねぎの種を買い直して播き直したのが9月下旬。その種は無事に発芽したが、例年と比べて2週間以上も発芽が遅れた。玉ねぎは特に適期に種をまくことが重要で、今回は2週間も種まきが遅れたため、おそらく、来年収穫される玉ねぎはみんな小さくて、収量が落ちると思う。玉ねぎの苗を遅れて定植しているが、もうかなり寒くなっているので、苗はなかなか根付かないと思う。根が霜に浮かされることが頻繁に起こるだろうから、常に注意。今回は少しでも地温をあげて苗を寒さから守るために、玉ねぎ栽培で初めて、ビニールマルチを畑に張ってみた。

2013年11月19日 (火)

安心できる食材

安心できる食材   平成25年11月11日

落ち葉が風に舞う季節となりました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  有名なホテルや百貨店のレストランなどで、相次いで食材の表示が偽装されていたことが発覚し、連日ニュースや新聞でこの問題が取り上げられています。食品売り場では「安心・安全」の宣伝文句があちらこちらで見られますが、これだけ食材の偽表示が氾濫している状況が報道されると、消費者も「本当に安全なの?」と思わず疑ってしまいます。

  そもそも、「安全な食材」というのもあいまいな表現です。「安全」の明確な定義はなんだろうか?私なりに考えてみました。

  「栽培中に農薬をかけていない食材が安全」と思う人もいると思います。私もそう思って、農薬を使わずに野菜を栽培してきました。ただ、他の農家の方々からいただいてきた米ぬかなどを肥料として畑にまいていますが、その米ぬかには残留している農薬がわずかながらも含まれていると思われます。自分の田畑では農薬をまかなくても、隣の田畑で農薬がまかれていればどうしても農薬が自分の田畑にもわずかながら広がってしまいます。

もちろん、直接農薬をまいて育てられる作物と比べれば、無農薬で育てた作物はずっと農薬による害が少ない安全な食材になります。ただ、農薬があらゆる場所に拡散しているこの日本では、全く農薬の影響を受けずに作物を育てることは、どんなにがんばっても無理です。農薬の影響を全く受けていない作物を安全な食材と定義するのであれば、この日本には安全な食材は存在しません。

農薬を使用している農家が消費者に対して、農薬の必要性とともに危険性も正直に説明し、その危険性に対してどのように対応しているかも説明する。このように消費者に対して隠すことなく説明を尽くしている農家から出荷される作物は、たとえ農薬を使用していても「安全な食材」と言っていいのではないかと、私は思います、

いっぽう、無農薬で作物を栽培していても、その栽培過程を説明せずに隠そうとしている農家の作物は、安心できません。要するに、その食材が安全かどうかは、「農薬を使用しているかどうか」という基準よりも、「生産者が消費者に正直に生産過程を伝えているかどうか」という基準で判断されるべきだと私は考えます。

顔が見えて信頼できる農家が作った食材なら、消費者も安心して購入できます。生産者も消費者の顔が見えていれば、消費者を騙そうという気を起こさなくなります。食の安全を守るには、生産者と消費者の顔が見える関係を築いていく他に方法はないと思います。

今年の秋も、農家が自分たちの農場に消費者を招いて収穫祭を開催している光景が見られました。このようにしてお互いに顔を見合わせられる機会を設けて信頼関係を築く努力をされている農家も多いです。

小林農場には催し物を開催する力量はありませんが、野菜セットを届ける度に通信もいっしょにお届けして、農場の状況や考えを正直にみなさんにお伝えしていきたいと思っています。「小林農場はウソをつかない」という安心感もみなさんにお届けいたします。

いきものざっくり物語  タマネギざっくり

畑で暮らす生き物たちの奥深い生き様をざっくりと物語ります。今回はタマネギについて。

  5000年以上前にタマネギは中近東、今のイラン辺りで生まれました。食べる部分が玉になるネギなので、「タマネギ」と呼ばれるようになりました。気象条件が玉を太らせるのに都合の良かったヨーロッパへとタマネギは伝えられ、日本には食生活に洋食が取り入れられていった明治時代以降に、タマネギが栽培されるようになりました。

  暖かな地域では秋にタマネギの種が播かれ、冬を越して次の年の初夏に収穫されます。冬は雪の積もる寒い地域では、春に種が播かれ、その年の秋に収穫されます。秋に苗床に種を播いて苗を育てる場合、ヒトは寒さが厳しくなる前に苗を畑へ定植します。種を早く播いて苗を大きくしてから定植すると、タマネギは早く育って、春になると元気につぼみを作りますが、つぼみに養分が送られてしまうため、肝心な食用部分の玉が太ってくれません。種を遅く播いて苗が小さいまま定植すると、苗が根付く前に寒さが厳しくなり、春になっても玉の太り具合が遅れます。収量を増やすため、自分たちの地域での種まきや定植時期の適期を、ヒトは過去の経験をもとに探ります。

  秋に畑に定植されて冬の間は小さいまま生育が進まずにいたタマネギは、春になると葉を大きくまっすぐ伸ばし始めます。温度が暖かくなりお日様が顔を出している時間が長くなると葉に貯められた養分は玉に送られて玉が肥ります。食用部分の玉はタマネギの葉の一部で、「りん葉」と呼ばれます。りん葉が6枚から12枚ほど重なって、玉を形作ります。普通の葉は緑色をしていますが、りん葉はタマネギの栄養分を貯めておく役割があり、色は白いです。この貯めた栄養を利用して、タマネギは再び芽を出そうとします。

  地中で太るりん葉の上にまっすぐに伸びている緑色の葉の部分は「葉身」と呼ばれます。葉身の中身は空洞になっています。玉が太るにつれ葉身も大きくなり、やがて自分の体重を支えられなくなり、自然に倒れます。それを合図にしてヒトは地中で生育している玉も十分に太ったことを知り、収穫を開始、タマネギを畑より引き抜いていきます。;

  畑より引き抜かれたタマネギは数カ月間、眠ります。この休眠時期にはタマネギはどんなに好きな温度や湿度を与えられても、芽を出すことはありません。しかし、眠っているだけで生きてはいるので、やがて目が覚めて再び玉から芽を伸ばし始め、タマネギを食材として扱いにくくなります。ヒトはこの休眠期間にタマネギを食べるのです。

  収穫した後、ヒトはタマネギに雑菌が入って腐らないように引き抜いたら日干ししていっきに乾かし、風通しの良い日陰に吊るして長期間、保存しておきます。タマネギが腐る場合、たいていは雑菌が玉の上部、首の部分から侵入していきます。首にしっかりと「フタ」がされていれば、タマネギは腐れにくいです。ヒトは玉の首を押してみて固ければ貯蔵性のあるタマネギで、ふにゃけていれば貯蔵性の悪いタマネギだと推測します。

  栽培中、タマネギは虫に食われて細胞が破壊される時、瞬時に「アリシン」という刺激臭のある物質を虫にふきつけて撃退しようとします。または、ヒトがタマネギを料理する時に包丁で切られた時もアリシンを発生させ、ヒトの目を襲ってヒトに涙を流させます。いっぽうでこの刺激物質はヒトの健康にも良く、熱を加えられると甘くなり、肉の臭みを消すので肉料理との相性も良く、タマネギはヒトの食生活に欠かせない食材となりました。

参照

農文協 編・川崎重治 絵・田沢千草 「そだててあそぼう61 タマネギの絵本」

藤井平司著 「図説 野菜の生育 本物の姿を知る」

木嶋利男著 「伝承農法を活かす 家庭菜園の裏ワザ」

2013年11月17日 (日)

11月10日~11月16日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットの内容です。

じゃがいも、玉ねぎ、人参、大根、かぶ、里芋、サツマイモ、長ネギ、二十日大根、レタス、サニーレタス、小松菜、春菊、チンゲンサイ、みぶ菜

小林の手帳より

出荷している玉ねぎは貯蔵性の良い品種で、この時期になっても休眠していて芽が出てこなく、おいしく食べられる。ただ、長く貯蔵しているうちに、表面がかびてしまっている。外皮をむけば中身はきれいで何の問題もなく食べられるが、この外見では、商品としてお店で売るのは難しい。かびている外皮をむいてから飲食店の方に引き取っていただいている。野菜セットには、外見が悪くても中身は問題なくおいしく食べられることを説明しながら継続的に玉ねぎを出荷。

2013年11月16日 (土)

作物観察日誌  ほうれん草、春キャベツ

以下は11月8日に撮影

Pb040173(左)9/30に種まきしたほうれん草Pb040171

(右)10/14に種まきしたほうれん草

Pb040172 9/23に種まきした春キャベツ

以下は11月15日に撮影

Pb150200 (左)9/30に種まきしたほうれん草

Pb150196

(右)10/14に種まきしたほうれん草

Pb150197 9/23に種まきした春キャベツ

Pb150205_2

2013年11月15日 (金)

新聞切り抜き ネット版  「放射線量の評価について」 産経新聞、武田邦彦教授

最近、私が気になった記事をご紹介いたします。

「産経新聞の社説より」

福島の帰還支援 20ミリを希望の値にしたい

 ふるさとに帰りたいと願う人が希望を持って帰還できるよう、丁寧な説明と支援が必要だ。

 東京電力福島第1原子力発電所の事故で、原子力規制委員会は「年間被曝(ひばく)線量が20ミリシーベルトを下回る」ことを住民帰還の必須条件とする提言案をまとめた。

 また、自民、公明両党は除染への国費投入を安倍晋三首相に提言するとともに、これまでの「全員帰還」の方針については事実上の転換を促した。

 これまで、民主党政権時代に浸透した「年間1ミリシーベルト」という非現実的な除染目標が帰還問題を行き詰まらせてきた。国際原子力機関(IAEA)からも「除染への期待と現実のギャップを埋める必要がある」と指摘された。

 遅きに失したとはいえ、現実的な目標を掲げて住民帰還と復興を前に進めるのは、政府と原子力規制委の責務である。

 原子力規制委は、空気中の放射線を測る現行の手法を、個人の線量を把握する手法に切り替えることも提言した。個人線量だと従来の3分の1~7分の1の数値になるという。

 こうした除染目標の緩和が、住民の健康に十分配慮したものであることを、原子力規制委はきちんと説明する必要がある。

 放射線の人体への影響が明らかなのは、瞬間的な被曝線量が100ミリシーベルトを超えた場合だ。低線量の放射線を長い期間浴びる緩やかな被曝でも、健康への影響は出るという学説もある。だが、宇宙空間で半年間に100ミリシーベルト前後の放射線を浴びた飛行士でも、帰還後に顕著な健康被害が出たという症例は出ていない。

 一方で、チェルノブイリ事故では放射線の影響よりも、避難生活のストレスなど心理的な負担による健康被害の方が大きかったという報告もある。

 住民の心の健康にも配慮すると「年間20ミリシーベルト」は妥当な線引きといえるだろう。少なくとも「1ミリシーベルト」を超えると、直ちに健康被害が出るかのような間違った思い込みは解かなければならない。その責任は、一部のメディアや専門家にもある。

 大震災から2年8カ月が過ぎ、避難生活を送る住民の意識も多様化している。「全員帰還」にこだわるべきではないだろう。住民の意思を尊重し、前向きに生活できるよう支援したい。

「武田邦彦 中部大学教授のブログより」

誰が「放射線は怖い」と言ったのか?・・・誠実な日本に帰ろう!

最近、「11ミリが被ばく限度というからみんなが怖がるのだ」という人がいます。ほとんどが学歴が高く、常識もある人で、「被曝を怖がるほうが、ストレスで病気になる」と言います。

では、いったい、だれが国民を「怖がらせた」のしょうか??

一般人の被ばく限度を11ミリを決めたのは放射線関係の審議会などで、今、「11ミリなどという規則はない」と言っている人たちです。

病院のレントゲン室を鉛で囲い、患者がレントゲンを受けるときには医師が別室にいってスイッチを入れるのも医師自身でした。私のように原子力に関係していた人は「放射線は危険だ」と国民に言い、注意してくれるように一般の人に促しました。

文科省や内閣府は、汚染が広がるといけないということで事故の前の2010年に「規制を強化しなければならない」として、10.01ミリの免除レベルを決め、それを違反すると「厳罰主義」で1年以下の懲役としました。

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今では信じられませんが、これが文科省が出した「厳罰」を示す説明書の一部です。今ではこの目安となる1キロ100ベクレルを、自ら80倍の8000ベクレルに変えています。

15ミリ以上の被曝になる可能性のある地域を「管理区域」として、そこから物品や人間が出るときには必ず測定をすることになっていました。それを知っている名古屋大学の原子力の教授は愛知県日進市が管理区域に相当する場所から花火を持ち出して夏祭りをするのに、とめるどころか「大丈夫」と言いました。

つまり、「被曝は怖い。レントゲンはできるだけ受けないように。管理区域を守れ。廃棄物は0.01ミリ以下でなければ懲役だ」と言った人たちによって、国民は「被曝は怖い」と知ったのです。

「被曝は怖い」と言った人が、事故が起こったら「被曝が怖いなどというからストレスで病気になる」という。これが誠実な日本人でしょうか?? 自分が勧めてきたことを忠実に守ろうとする人をバッシングする、それが誠実な態度でしょうか?

2013年11月14日 (木)

11月11日  落花生を収穫しました。

Pb110185 収穫時期を迎えた落花生。土から株ごと引っこ抜いてみると・・・

Pb130191 地中からたくさんの豆が姿を現しました。みなさんは家庭菜園で落花生を作ったことがありますか?おもしろいんです、豆が土の中で実るから。ご覧の通り、豆に土がついています。

2013年11月13日 (水)

栽培暦 11月3日~11月9日(蟄虫俯)

以下はこの週に行った仕事です。

収穫、出荷  片づけ  トマトハウス片づけ  大根、かぶ、チンゲンサイ除草、間引き  小麦、大麦播種  サヤエンドウ播種  不織布ベタかけ  ナス採種  エンバク播種  葉物野菜除草  玉ねぎ定植準備

小林の手帳より

アオムシ、ヨトウムシ、ネキリムシ、キスジノミハムシ、カブラハバチ、シンクイムシ。主要な害虫がみんな、11月に入ってもまだ活動をしていて、作物への被害が続いている。11月の中旬になって寒くなれば、さすがにこれらの虫もいなくなると思うけれども。

2013年11月12日 (火)

十月のじゃがいも

十月のじゃがいも   平成25年11月4日

日に日に秋が深まり、露寒の季節となりました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  今年の夏はいろいろと畑仕事がたてこみ、6月から9月に行う予定だったじゃがいもの収穫もほとんど終わすことができず、十月に本格的に掘り出すことになりました。今年のじゃがいもは一株にたくさんのイモがなり、一つ一つのイモが大きくて、掘り出したじゃがいもを保存しておく場所を確保するのに困ってしまうほどの大豊作でした。地元の学校の給食用の食材としてじゃがいもの需要は高く、また、冬になれば他の販売先でもじゃがいもの需要が高まることが予想されました。販売先はたくさん確保されていました。

十月にじゃがいもを収穫してすぐに給食用の食材として地元の学校に出荷していきました。すると、学校側から、小林農場から出荷されたじゃがいもは煮えにくくて固かったというご指摘をいただきました。

ご指摘を受けた後、念入りにじゃがいもを試食してみました。確かに何分も煮ても固いままで、菜箸がスッと刺さらないようなイモがいくつかありました。食べてみるとじゃがいも独特のホクホクとした食感ではなくシャリシャリとしていて、大根を食べているような感じでした。はっきり言ってしまえば、おいしくありませんでした。

それから毎日、たくさんのじゃがいもを煮てみては飽きるほど試食してみましたが、何度食べ直してみても同じ感想でした。この「おいしくない食感」の理由は、間違いなく収穫時期が遅れたためでしょう。9月以前に収穫したじゃがいもは、普通においしく食べられました。

通常のじゃがいも栽培では、夏のうちに収穫を終えます。十月までじゃがいもを収穫せず畑に残しておくと、イモの食感が極端に落ちていくようです。十月に収穫したイモも見た目がきれいだったので、中身もおいしいだろうと思っていましたが、大間違いでした。

自分が自信を持てない作物を出荷することは農家としては辛いこと。給食用の食材として大量のじゃがいものご注文を学校よりいただいていたのですが、悩みぬいた末、急きょ、小林農場からのじゃがいもの出荷量を減らしていただくこととなりました。

野菜セットにも何回か十月に収穫されたじゃがいもを入れていたので、小林農場のじゃがいもは固いイモが混じっているとお感じになった方もいらっしゃったと思います。今後の野菜セットには9月以前に収穫したおいしいじゃがいもを入れていこうと思います。

掘り取ったじゃがいもは長期貯蔵しているうちに、味質が変わっていきます。「おいしくないじゃがいも」も「おいしいじゃがいも」に変わっていくかもしれないというかすかな希望をいだきながら、十月に収穫したじゃがいもも大切に保管していこうと思います。

ちゃんと私が適期にじゃがいもを収穫していれば、自信を持っておいしいじゃがいもをもっとたくさんの人に食べていただけたでしょう。それを思うと、無念でなりません。

失敗したとき、その失敗にどう真剣に向き合い、その失敗から何を学ぶのか。失敗を糧にしながら栽培技術を向上させていく過程をみなさんにお伝えしていきたいと思います。

2013年11月11日 (月)

11月3日~11月9日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットの内容です。

じゃがいも、人参、玉ねぎ、大根、かぶ、長ネギ、さつまいも、里芋、二十日大根、レタス、サニーレタス、サヤインゲン、小松菜、春菊、チンゲンサイ、からし菜

小林の手帳より

9月30日に種まきした小松菜がとてもよく育ち、みんな大きくなりすぎて出荷しきれないほど。いっぽうで10月7日に種まきした小松菜は生育が遅れ、布をかぶせて保温して生育を早めて、ようやく収穫時期を迎えようとしている。なるべく絶え間なく続けて葉物野菜を出荷できるようにしたい。10月上旬に定植したターサイやみず菜などがまもなく収穫時期を迎えようとしている。

レタスの需要が高い。今年は少ししかレタスを作らなかったが、もっと作っても良い。この秋はキャベツを全く作らなかったが、やはり需要のある作物なので、来年の秋は少しでも作っておきたい。

ニンジンの品種は小泉冬越ニンジンを使っているが、どうしてもニンジンの中身の着色が悪く、橙色に染まらず、黄色になる傾向がある。着色が悪くても十分においしいのだが、着色が良いほうがさらにおいしくなる傾向がある。小泉は種まきが遅くなると着色が悪くなる品種らしく、もしよりおいしく小泉を食べるとしたら、7月上旬に種まきするべきだろう。

新聞切り抜き  TPPについて 東京新聞11月11日

 

TPP(環太平洋連携協定)交渉が大詰めを迎えます。遅れて参加した日本は、事前協議などで米国への譲歩を繰り返しています。これが国益なのか。

 「何が秘密なのかも秘密」-。安倍政権が成立を目指す特定秘密保護法案に国民の不安が高まっていますが、TPPも徹底した秘密主義をとっています。内容が漏れれば、参加十二カ国の妥結に影響がでるからという。守秘義務を四年間も強いる異常さです。

 国民が知らない間に食や農業、医療や保険、教育、雇用、文化まで生活の基盤が根底から変わることが決まっていたら大変です。

◆守れなければ席を立つ

 懸念がなまじ誇張でないのは、交渉参加を認めてもらう段階から繰り返されてきた日本政府の譲歩ぶりからです。

 欧州が輸入禁止している米国産牛肉の安全基準を緩和したり、かんぽ生命ががん保険に参入せず、そればかりか日本全国の郵便局で米保険会社のがん保険販売を請け負ったり、米国の意向を忖度(そんたく)して軽自動車の増税方針を日本側が先回りして示す-。「入り口段階」で、こんな具合でしたから、本交渉では「さらに…」と不安が募るのは当然です。

 すでに与党内からは「聖域」として関税を維持するとしてきた重要五項目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖など)すべてを守ることはできないとの声が出ている。「守るべき国益を追求する」「守れなければ席を立ってくる」と強弁してきたわけですから、妥結後に「開けてびっくり」の内容となっていることは許されるはずがありません。

 本来、国の制度とか政策は、国民の命や健康、暮らしを守り、安全・安心な社会を形成するためにあります。しかし、TPPは関税引き下げなど貿易ルールだけでなく、暮らしを守ってきた制度も対象とし、いわば国のかたちの変更につながりかねません。

◆命か企業利益かの選択

 極端に市場主義が浸透した米国、とりわけ富の拡大を目指す「1%の勢力」にとって、各国の制度は邪魔なものです。そこで米企業や米政府が使うのが「競争条件を対等にせよ」という決まり文句です。いかにも正論に聞こえる「対等な競争条件」を錦の御旗に、邪魔なルールや制度を徹底的に壊すか、都合よく変えさせる。

 「TPPの本質は市場の強奪です。今の流れでは日本が大切にしてきた伝統や支え合い社会が崩壊する。『開国』が『壊国』になる」と東京大学大学院の鈴木宣弘教授(農業経済学)は言います。

 米国農産物の輸出拡大に日本の厳しい食品安全基準は邪魔、学校給食の地産地消奨励策も参入障壁だから変えさせよう、という具合に。これは、国民の命か企業利益かを選択する問題です。

 ところが安倍晋三首相は「世界で一番、企業が活動しやすい国を目指す」という。規制を緩め、税制を優遇し、外国企業でも思う存分、稼ぎやすいように配慮する。それは米国の狙いとピタリ符合してしまいます。

 「(株)貧困大国アメリカ」(岩波新書)など米国ルポの著作が多いジャーナリストの堤未果さんは、TPPに傾斜する日本に強い危機感を抱いています。中枢同時テロ後に米国で成立した「愛国者法」に似て言論統制法ともいえる特定秘密保護法案や企業利益を最優先するなど「米国をなぞるような政策が進行している」と見ます。

 米国で何が起こっているかといえば、刑務所や自治体、立法府まで企業に買われる。巨大化した多国籍企業は度を越した献金とロビー活動で政治と一体化し、企業寄りの法改正で「障害」を取り除いていく。企業の論理の前には国民の主権すらないがしろにされる社会です。

 堤さんは「もはや企業を無理やり縛ることはできません。米国では遺伝子組み換えの表示義務がないので不可能ですが、日本は組み換えでない食品を選ぶことができるよう(国民主権の)『選択肢』を残す必要がある」と訴えます。

 安倍首相は、TPPについて貿易自由化交渉と同時に重要な「安保防衛上の枠組み」との考えを示しています。米国や豪州などと結束し、中国などをけん制する意味合いなのでしょう。

 しかし、TPPが「仲間」と「仲間外れ」をつくるなら、第二次大戦につながったブロック経済と同じではないか。ガット(関税貿易一般協定)体制以前に「先祖返り」しかねません。

◆国民の幸せこそが国益

 国益を守るといった時、真っ先に考えるべきは、国民の幸せであってほしい。国民生活を大きく変容させかねない米国への配慮よりも、です。首相の考えと、国民の多くが抱く願いとのズレを感じずにはいられません。

2013年11月10日 (日)

いきものざっくり物語  ニンジンざっくり

畑で暮らす生き物たちの奥深い生き様をざっくりと物語ります。今回はニンジンについて。

ニンジンの生まれ故郷はアフガニスタンの山岳地。そこからヨーロッパのほうへと伝わったのが西洋ニンジン、アジアのほうへと伝わったのが東洋ニンジンです。西洋ニンジンは橙色をしていて、その色はカロテンという栄養素によって作られています。東洋ニンジンは赤色をしていて、その色はリコピンという栄養素によって作られています。どちらも人の健康に良い栄養素です。日本にはまず、江戸時代初期に東洋ニンジンがやってきて、今でも「金時」のような品種が栽培されています。現在、私たちが一般的に食べているニンジンは江戸時代後期にやってきた西洋ニンジンで、特に長さが15~20cmくらいの「五寸ニンジン」と呼ばれる品種が日本の高温多湿の気候でも育ち広く栽培されています。

  ニンジンの種には毛が生えていて、この毛に発芽を抑える物質がふくまれていて、簡単に発芽しないようになっています。厳しい自然環境で育つためには本当にいい条件が来た時だけ発芽するような仕組みになっていると思われます。人はその毛を取り去ってからニンジンの種を播きますが、それでもニンジンの種は発芽しにくいもの。種まきの適期を守り、あらかじめ種を水に浸して発芽しやすくしてから播くなど、良く発芽させるために工夫をこらしてきました。

  もともとニンジンはセリと同じように水辺で育つ植物で、根はそんなに太りませんでした。水分の多い場所に好んで生育していたニンジンは、長い年月を経て、人の手によって改良されて、畑のような乾燥した場所でも生育できるようになりました。根を大きく太らせてそこに必要な水分を貯蔵しておけるようになったからです。人はその太った根の部分を食べるのです。

  ニンジンの葉は細かな切れ込みがあり、柔らかくて、薄くてひょろ長いです。風でも吹けばすぐに倒れてしまい、一枚だけでポツンと立っていることが難しく、よって、お互いに葉と葉が触れ合うくらいに込み合っていたほうが安心して生育してくれます。ニンジンの根が太り始めると人はニンジンの葉を間引きますが、その時も間引きすぎてしまわぬように注意して、葉が密生している状態を保ちます。

  大根の根は根の中心部が太るのだけれども、ニンジンの根は根の周囲が主に太っていきます。夏に種を播いたニンジンは、秋から収穫されます。ニンジンの生まれ故郷は雪が積もるような気温の低い高原地帯で、もともと寒さには強い作物です。冬がおとずれ、ニンジンの葉は霜にあたって枯れていきますが、地下部の太った根は傷むことなく冬を越してゆきます。人はニンジンの根の上に少し土を盛って保温して、冬の間中、必要な時に畑からニンジンを掘り出して食べます。

  冬の寒さを感じると、ニンジンの根は花を咲かせる準備にとりかかります。春になって暖かくなると、土の中のニンジンの根から新たに葉が伸び、やがて太い茎をまっすぐに伸ばし、その先に花を咲かせます。20から70の花が集まって小花傘(しょうかさん)を、10から150の小花傘が集まって大きな大花傘(だいかさん)を形作ります。何千もの小さな花が集まり、大菊のような豪華な花を咲かせます。初夏になるとやがて果実ができて種となり、人はその種を採り、次の年にその種を播きます。

参照

農文協、川城英夫著「そだててあそぼう41 ニンジンの絵本」

藤井平司著「図説、野菜の生育 本物の姿を知る」

2013年11月 7日 (木)

11月7日 小麦の種を播きました。

Pb010169 5日前まで夏野菜を育てていた畑。それをきれいに片づけて

Pb060176 小麦の種を播きました。

2013年11月 6日 (水)

作物生育日誌

Pb040173(左)9/30に種まきしたほうれん草Pb040171

(右)10/14に種まきしたほうれん草

Pb040172 9/23に種まきした春キャベツ

2013年11月 5日 (火)

畑にも性格がある

畑にも性格がある  平成25年10月28日 

爽冷のみぎり、みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  小林農場にはそれぞれ「外畑」「新畑」「下畑」と呼ばれる3枚の畑があります。今年の秋作の作物は「新畑」で育てることに決め、8月中旬にはブロッコリーの苗を「新畑」に植えていきました。ところが、苗を植えた翌日から、たくさんの苗が地際から切られてしまってしまいました。害虫のネキリムシがかじったのでしょう。

  ネキリムシは夜間に活動して作物を食べ、昼間は地中深くにもぐって隠れてしまいます。朝になって切られた苗の周りの土を手でほじくり返してみてもなかなかネキリムシを見つけることができませんでした。ならば夜に探せば見つかるかもと思いヘッドライトで地面を照らしながら土をほじくり返してみましたが、やはり見つかりませんでした。

  毎日、たくさんの苗は切られて消えて、定植してから1週間たった頃には数えるばかりの苗しか残っていなく、苗が消えてなくなった空白ばかりが目立ちました。ネキリムシに完敗しました。この畑にさらに白菜、春菊、レタスなどの苗を植えていく予定だったのですが、このネキリムシにどう対処していいのか分からず、頭を悩ましていました。

  9月上旬、作物の苗を「新畑」ではなく「下畑」に植えてみました。ネキリムシに切られた苗は一部のみで、たいていの苗は無事に生育しました。「外畑」にも苗を植えてみました。ほとんどネキリムシに切られることはなく、さらに良い結果でした。

  三枚の畑は全て、私の借家から歩いて移動できる狭い範囲に分散しています。同じ家庭環境で育った兄弟、姉妹がそれぞれ違う性格を持つように、同じ敷地内にある畑でもその性格が違ってきます。特に潜んでいる虫の種類や数が違うように思います。

  9月から10月にかけて、畑の都合で小松菜などの葉物野菜や大根、かぶなどの根菜類の種を「新畑」に播いて栽培しました。しかし今年は気温が下がっていく秋分の後にも虫害は続き、秋から冬にかけて出荷されるこれらの作物が厳しい状況となってきています。

  今までの経験から「新畑」は秋に虫害を受けやすい性格があることが分かりました。そして、重要な野菜は一つの畑だけに頼るのではなく、複数の畑に分けて栽培したほうが良いと改めて思いました。そうすることで危険性が分散され、一つの畑で害虫などの被害を被っても、他の畑では作物がうまく育ち、全く収穫できなくなることがなくなります。

  大豆も虫害の受けやすい作物で、小林農場では大豆の種を畑に播いても、大豆が実をふくらませる頃になるといつも害虫に実を吸われてしまい、収穫できずにいました。去年、「外畑」で小豆を栽培したら、順調に収穫できました。この「外畑」では今まで大豆を作ったことがなく、小豆ができるのなら大豆もできるのではないかと思い、今年は大豆の種を「外畑」に試験的に播いてみました。

  10月に入ると大豆のどの莢もまん丸と太った豆を実らせてパンパンに膨らんでいました。初めて大豆を収穫できそうです。来年はこの「外畑」で大豆を本格的に育ててみようと思います。みなさんにも大豆をお届けできるかもしれません。

2013年11月 4日 (月)

10月、大豆が実を膨らませた頃

Pa180152 Pa180153

10月、大豆の実が膨らみました。種を播かれた大豆が生育して実をふくらませることは当たり前のことですが、小林農場ではそれが当たり前のことではありませんでした。いつもは虫に実を吸われてしまい大豆を収穫できないでいました。こんなに恰幅良く実が太ったのは初めてです。

2013年11月 3日 (日)

栽培暦10月27日~11月2日(草木黄落)  

以下はこの週に行った仕事です。

収穫、出荷  片づけ  定植(ターサイ、みず菜、みぶな、春キャベツ)  じゃがいも芽かき、貯蔵室整理  トラクター耕  播種(ほうれん草、油菜)  玉ねぎ定植  不織布ベタかけ  大根、かぶ間引き  果菜類片づけ  サヤインゲン用支柱建て

小林の手帳より

9月下旬までに種まきした葉物野菜は1カ月で収穫時期を迎えるが、月が変わって10月以降に種まきした葉物野菜は生育速度がかなり遅くなり、なかなか収穫時期を迎えない。現在は9/30に播いた葉物野菜が調子良く収穫されているが、その後に続けて収穫できる葉物野菜がなくなりそう。10月以降に種まきした葉物野菜は、下手をすれば収穫時期を迎える前に寒い冬を迎えて生育が止まってしまう恐れがあるので、できるだけ早く不織布をかぶせて保温したほうが良いかもしれない。

夏野菜を片づけた。ハンマーナイフモアを使って夏野菜を粉砕すると、かなり楽に片づけられる。

2013年11月 2日 (土)

10月27日~11月2日の野菜セット

以下はこの週の野菜セットの内容です。

じゃがいも、玉ねぎ、人参、大根、かぶ、里芋、さつまいも、長ネギ、レタス、サニーレタス、二十日大根、小松菜、春菊、チンゲンサイ、ニラ、ニンニク

小林の手帳より

10月に収穫したじゃがいもを試食してみると、いつまで煮ても火が通りにくく、じゃがいもらしいホクホクとした食感にならず、おいしくなかった。じゃがいもは通常は夏のうちに収穫を終わらせるもの。10月まで畑に残していては、品質が落ちる。

吊るして保存していたニンニクも、新芽が生えてきた。ニンニクの出荷は11月に入ったら限界のようだ。

2013年11月 1日 (金)

霜降の風景

Pa270156 台風が過ぎ去った次の日の早朝。深い霧に包まれました。

Pa270159 その次の日、久しぶりの秋晴れでした。

Pa280161 10月28日の早朝、この秋初めて、霜が畑に降りました。

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