床土についてその後
床土についてのその後 平成25年9月1日
秋暑の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか?
今年の2月、春作の苗作りでは、作物の種を床土に播いても発芽してくれませんでした。どうやら自分で落ち葉や米ぬかなどを発酵させて作った自家製の床土に問題があるということが分かり、苗を育てる床土はお店から購入することにしました。
6月になって試しにもう一度キュウリの種を自家製の床土に播いてみると、今度はどの種もきれいに発芽してくれました。現在の秋作作物の苗作りも自家製の床土で行っていますが、発芽率は良好です。
完全に発酵して熟した床土に播かないと、種はうまく発芽できません。今回の自家製の床土はなんらかの理由で発酵が遅れて、2月の時点ではまだ未熟だったのだと思います。それから数カ月たって、ようやく熟成されたのでしょう。これからは、床土は購入せずに自家製の床土で苗作りを行う見通しがつきました。
今まで購入してきた床土は、種を播けばほぼ間違いなく発芽してくれたし、苗は早く大きく生育してくれました。種苗会社が研究を尽くして販売している床土だけに、農家がお金を支払ってでもほしいと思わせる抜群の安定感がありました。
それと比べると、どうしても自家製の床土はムラがあるし、出来上がるまでの管理に手間がかかるし神経も使います。それでもようやく自分で作った床土で苗作りができることに、喜びをかみしめているところです。
自分で床土を作ることには、いろんな意義がこめられています。まず、市販の床土には、化学肥料などさまざまな物質が配合されています。市販の床土にどのような物質が含まれているのか詳しく確認しにくく、不安が残ります。自家製の床土は自分で作ったものだから、そのような不安をあまり抱くことはありません。
そして、床土を購入すれば、もちろん、お金がかかります。今までは床土を購入してきたため、私の手元から数万円のお金が飛んで行きました。自分で作れば、手間はかかりますが、材料となる落ち葉や米ぬかは無料で手に入るので、お金がかかりません。
農業の本来の目的は、自分たちに必要な衣食住を自給自足していくことです。だから、床土や肥料を自分で作る技術が古くから受け継がれてきました。でも今は、農家の間でも床土も肥料もお店で購入することが一般的になりました。手間はかからなくなりましたが、お金はかかるようになりました。
よって農業の目的がお金をどのようにして稼ぐかに重点が置かれるようになってきています。お金ばかりを重視して仕事を行うとたいてい、自然環境を破壊したり、人間関係が冷たくなったり、あまり良いことが起こりません。
私自身も、食で自給できているのは野菜のみで、米も果物も肉も調味料も購入しています。たいして自給自足ができていません。ただ、自給自足が薄れてお金の重要性が増していくことに危機感を感じるのは、農家として健全な感覚だと思います。
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