キャベツの思い出
キャベツの思い出 平成25年7月29日
雨模様の夏休みの始まりとなりました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
例年、7月下旬にキャベツの種を播種箱に播いて、秋作の作物の苗作りが幕を開けます。8月下旬には苗を畑に定植します。そうすると、冬になって畑の作物が凍ってしまう前に、キャベツは収穫適期を迎えます。
ただ、7月から9月下旬までは虫が活発に活動する時期でもあります。特にキャベツは虫害を受けやすいので、防虫対策が不可欠です。
近年は夏から秋に移り変わる時期の気温が明らかに一昔前と比べて高くなり、それに伴って虫が多く発生するようになり、作物への虫害が年々ひどくなってきています。無農薬栽培での一番有効な防虫方法は、作物にくっついている害虫を一匹一匹手でつまみだしてつぶすことです。しかし、手間のかかる作業で、人手がないと間に合いません。
そこで私は、究極の防虫方法を思いつきました。秋にキャベツを作るのをやめようと思います。キャベツを作らなければ、虫害で悩む機会も減るでしょう。
もちろん秋にキャベツを食べられなくなってしまうでしょう。でも、秋にはサツマイモ、里芋、かぼちゃ、長ネギなど、あまり虫害を受けることなく生育して収穫される作物が他にもたくさんあります。虫害が年々ひどくなってきている秋は、もはやキャベツ栽培の旬ではありません。虫害のひどい時期にわざわざがんばって作ることはありません。
去年の秋、9月に入ってから春キャベツの種を播き、畑の虫たちが活動をやめて冬支度を始める10月の中旬頃になるのを待って、苗を畑に定植しました。これだけ遅い時期の定植では、冬がやってくる前には収穫できず、冬を越して次の年の春に収穫することになります。
寒さにあまり強くないキャベツも、まだ結球していない小さな苗の状態であれば耐寒性があります。次第に気候が春めいてくるとキャベツも立派に成長していき、その時はまだ虫たちは冬眠から覚めきれていなく、虫害を受けることなく結球していきました。
そして今年の4月下旬より収穫適期を迎えました。本当に虫食われ穴のないきれいなキャベツで、「本当はキャベツに農薬をまいているんじゃないの?」と人から疑われてもしかたがないと思うくらいでした。収穫まで私は、この春キャベツに対していっさい防虫対策はしていなく、虫一匹たりとも捕まえたことがありませでした。
春キャベツは7月くらいまで出荷できますが、秋ほど虫害はひどくありません。春の虫はキャベツの外葉を食べるのみで、収穫した後、外葉を厚くむけばきれいな姿でキャベツをみなさんにお届けできます。これからも春は今までどおりたくさんキャベツをお届けいたします。
「無農薬栽培は手間がかかって大変でしょ?」とよく人から聞かれます。私は大変な栽培はやりたくありません。作物に合わせて栽培する時期を考慮したり、単作ではなく多品目の作物を栽培したり、いろいろ工夫することによって無農薬栽培を大変ではない栽培にしていけるのではないでしょうか。
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