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2013年8月25日 (日)

人と人を結ぶ装置

人と人を結ぶ装置   平成25年8月18日

残暑お見舞いもうしあげます。みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  昨日、七月に種がまかれて現在は芽が出て間もない人参のまわりに生えている雑草を取り除く作業をしました。ただの除草作業ではありません。雑草は私の膝の高さくらいにまで伸びて、すっかり小さな人参の赤ちゃんを覆ってしまっていました。この雑草の海から雑草を片っ端から引き抜いて人参だけを残していく作業は、とても困難でした。

  もっと雑草が小さいうちに除草しておけば、こんなに苦労しなくてすんだはずでした。それは百も承知しているのだけれど、どうしても他の仕事も忙しくて人参に手が回りませんでした。人参畑にかぎらず、畑のあちらこちらが雑草の海になっています。

  小林農場は、私一人だけです。作物の栽培だけではなく、出荷作業も事務仕事も販路開拓も炊事、洗濯、掃除も一人でやってきました。しかし、一人で農業をやっていくには、あまりにも人手がたりません。今までなんとかみなさんにおいしい野菜をお届けできたのも、私の未熟な栽培技術でも作物が自分の力でたくましく生育してくれているおかげです。

たった一人で農業をこなしている能力の高い農家も実際にいますが、私のように普通の人間には難しいです。私もがんばって自分を鍛えれば一人でやっていける能力を身につけることができるかもしれませんが、それよりも先に、早く私といっしょに農場を支えてくれる嫁さんをみつけたほうが良いのでしょう。

  人は一人では生きられない弱い存在だと思います。その弱さを自覚することは決して恥ずかしことではなく、大事なことです。「自分は誰の支えがなくても一人で生きていける」と勘違いしながら暮らしていることが恥ずかしいことだと思います。

  現代は昔と比べてずいぶんと便利になりました。この「便利」とは、「人間関係のわずらわしさを排除して、人と関わらなくても暮らしていける」という意味も含みます。インターネットがあれば、人と顔を合わせなくても情報は入手できるし、買い物もできます。

そんな現代の中でも、農業という産業はまだまだ「不便」で手間のかかる生業です。人手の必要な仕事が多く、複数の人がお互いに気を配りながら協力しなくてはいけないようになっています。必要に迫られてみんなでいっしょに仕事をするわけですが、その中で自ずとお互いに人情や愛情が育まれていきます。インターネットがあれば自室にいても他人と便利に伝達し合えますがそれだけではこの確かな人情や愛情を育むことができません。

農業とは、食べ物を生産するだけではなく、実は、人と人の絆を育むきっかけを与えてくれる装置だったのです。人づき合いが苦手な私がこうして社会と関わり合いをもって暮らしていけているのも、農業の現場に身を置いているからなのです。

だから、一人では農業をやっていくことが難しいという現実をつきつけられても失望することなどありません。畑は私にとても大事なことを教えてくれているのだから。「一人だけで生きようとするな。皆と支え合いながら生きろ。そこにこそ幸せがある。」と。

生産の現場を大切にすれば、世の中は情であふれ、人は孤立することがありません。

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