虫 対 農家
虫 対 農家 平成25年8月5日
梅雨のように雨雲が連日、空を覆っています。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
季節は真夏ですが、秋や冬に収穫される秋作の作物の栽培の準備が始まっています。虫の活動が活発になり、野菜栽培では一年で最も虫害に悩まされる季節を迎えようとしています。特に農薬を使わずに野菜を育てている農家にとっては、試練の時期です。
ここ数年間、毎年のように秋の畑に出現するようになった新手の害虫、シンクイムシ。蛾の幼虫で、小さな芋虫です。作物がまだ小さな苗のときに苗の中心部の新芽にうまくもぐりこみ新芽を丸ごと食べてしまいます。そうなると作物の生育は止まってしまい、収穫できなくなります。
シンクイムシが食べるのは、アブラナ科の作物です。アブラナ科には、キャベツ、白菜などの結球野菜や大根、かぶなどの根菜類、そして、小松菜などのほとんどの葉物野菜が含まれています。
これらの作物をシンクイムシから守るには、ひたすら手で捕獲するしかありません。しかし、畑に這いつくばり、新芽の狭い空間にもぐりこんでいるシンクイムシを針でつまみだして捕まえる作業は、手間がかかります。
次に紹介するのも毎年おなじみの害虫、ネキリムシ。やはり蛾の幼虫の芋虫なのですが、今までこの虫によって手痛い目にあわされてきました。作物の苗を畑に植えた後の2,3日の間に、この虫によって苗が次々に地際から切断されてしまいます。去年の秋はせっかく手間をかけて育てて植えた苗の3割から4割ほどがネキリムシに切られてなくなってしまい、頭にくるやら泣きたくなるやら。
夜間に活動して昼間の間は地中にもぐってしまうので、この虫を見つけて捕まえるのは困難です。雑草の生い茂っている畑に卵を産みつけて繁殖するので、対策としては、苗を定植する畑をきれいに除草しておくとよいようです。
8月、9月に畑で育てるアブラナ科の野菜の作付け量はできるだけ少なく抑えて、防虫の負担を減らしていこうと思っています。秋分(9月下旬)がすぎたころから虫はぱたりと活動をやめて冬眠の用意を始めます。これから先は虫害に心配しなくてすみます。
それまで作付け量を少なくおさえてきた葉物野菜や大根、かぶなどを、秋分がすぎた後にたくさん種を播きます。虫害を受けずに育った葉物野菜には虫食い穴はなく、大根やかぶも虫がかじった跡がなくきれいな肌をしています。これらの作物が次の冬の間ずっと、収穫、出荷されていきます。
作物に大きな害をもたらす害虫の種類は実はそんなに多くなく、小林農場では、シンクイムシとネキリムシとヨトウムシとキスジノミハムシくらいでしょうか。去年一年間、害虫を手でとってつぶす作業を行ったのは8月と9月のみで、他の月ではほとんど害虫対策をせずにすんでいます。一年間をとおして振り返ると、農薬がなくても十分に作物を栽培して収穫していくことは可能だと思います。
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