色が違う人参
色が違う人参 平成25年7月1日
梅雨晴れの候、みなさんいかがおすごしでしょうか。
先日、人参をある販売先に出荷すると、そのほとんどが返品されてしまいました。返品された人参を見ると、どの人参も頭の部分が切られていました。人参の中身の色を見ると、普通の人参と比べてずいぶんと黄色く、赤みが薄かったです。この人参の色を見て、販売先は私の人参を避けたようです。
返品された人参を見て、私と顔見知りのベテラン農家の方は、「確かにこんなに色が薄いと人参の色とは言えない。」と語り、私に人参の色を中身まで鮮やかな赤にする栽培方法を教えてくれました。ベテラン農家の方は、研究を重ねて数種類の化学肥料と農薬を選びぬき、その結果、どの直売所に出荷してもほとんど売れ残ることのない美しい人参を作れるようになったと語り、良い人参を作るには肥料代や農薬代などそれなりの投資が必要だともおっしゃっていました。
具体的にお使いになっている化学肥料や農薬の名前も教えてくれました。私がそれらを使うことはないでしょうが、私のために時間を割いて熱心に人参栽培について教えてくださったお心遣いに感謝いたしました。
確かに自分の思い通りの姿形に人参を作ろうとするのであれば、化学肥料や農薬の使用は有効かもしれません。しかし、これらのもともと自然界になかった化学物質は、使い方を誤れば田畑の生態系を崩壊させて作物栽培を困難にしてしまう危険性があります。持続的に作物を栽培するには無農薬、無化学肥料栽培が無難だと、私は考えます。
肥料を他所から高いお金を払って入手するのではなく、地元で手に入る有機物を材料にして肥料を作り、畑へ散布して作物に栄養を与えて最後はそれらの肥料を土へ還す。そのような循環の中で作物を育てるのが、小林農場のやり方です。化学肥料を使う栽培方法と比べて、作物の生育は一様ではなくばらつく傾向があり、中まできれいに赤く染まる人参もあれば、黄色っぽくなる人参もあります。
生まれてくる人間の赤ちゃんと同じです。体重の重い赤ちゃんが生まれてくる時もあれば、軽い赤ちゃんが生まれてくる時もあります。背の高い赤ちゃんもいれば背の低い赤ちゃんもいます。
どんなふうに赤ちゃんが生まれてきても、尊い命であることには変わりはありません。どんなふうに生まれてきても、親は生まれてきた赤ちゃんに愛情を注いでいくでしょう。
一般流通では出荷できないような見た目の悪い作物も大事に食べていこうとするのが小林農場の基本姿勢です。後で返品された人参を輪切りにして炒めて、試食してみました。全部、おいしかったです。味に問題はありません。
みなさんにお届けした人参の中にも、中身が黄色い人参が混じっていたかもしれません。それを見て、驚いた方もいらしたかもしれません。でも、どれも、私が自信を持ってみなさんにお届けできるおいしい人参です。その人参の味をどうぞお楽しみください。
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