新聞切り抜き ネット版
私が最近気になった記事をご紹介します。今回は、今、話題のTPP問題について。
米韓FTA、北米自由貿易協定(NAFTA)にみる
TPPの恐るべき危険性
韓国の議会は昨年12月、米韓FTAの批准を可決した。
食品安全性の分野では、米国産牛肉の扱いがある。アメリカはしばしば、BSE(牛海綿状脳症)の危険部位の除去を行なわないまま輸出して問題を起こしているが、米韓FTAによって韓国は米国産牛肉の安全性について疑いをいだいても、その危険性を「科学的に」立証しなければ輸入を拒むことはできなくなった。売る側ではなく、買う側に立証責任があるというのだがら驚きだ。日本は韓国より厳しい「生後20カ月以内」を基準にしているが、アメリカはこれまで以上に強く規制緩和を要請してくるだろう。
遺伝子組み換え食品(GMO)についてもアメリカの基準を押し付けられる。アメリカのGMOに関する事前検査は企業の書類審査のみで表示義務もなく、輸入に際しても、別途の承認や検査を必要としない。「GMOに関わる規制措置を事実上放棄したために、国民健康の安全は確保できない状況である」と柳氏は警告している。
表示義務を課している日本に対してもアメリカは、輸出の障害になるとして表示制度を廃止するよう求めてくるだろう。オーストラリアやニュージーランドも、TPP交渉の中ですでに同じ要求を受けている。
アメリカ産ダイズの八割は遺伝子組み換えだが、ダイズは飼料や油利用が主でそのまま食べる習慣がない国と、日本などダイズを常食している国では、遺伝子組み換えに対する見方は大きく違ってくる。しかし、TPPが各国の食生活や食文化に配慮することなどありえない。各国の食生活や食文化を破壊することにTPPの本質がある。
米韓FTAには「ISD条項」などまだまだ大きな問題がある。ISD条項とは、韓国に投資したアメリカの投資家や企業が、韓国の政策によって損害を被った場合、あるいは被る恐れがある場合、世界銀行傘下の国際投資紛争仲裁センターに提訴できるというものだ。韓国内の裁判で争うことはできず、アメリカの強い影響下にある機関の裁定に従うしかない。国際仲裁に応じない場合は、貿易報復、あるいは現金で弁償する条項が盛り込まれている。
たとえば学校給食もその対象になる。アメリカ企業が米国産農産物や食品をソウルなどの学校給食に供給しようとした場合、それを妨げるような行為も、あるいは地方自治体が地産地消にむけて地元農産物を優先することを決めた場合も、アメリカの企業や投資家が不利と思えば提訴できる。
「トウモロコシの原産国であり、人類にトウモロコシという作物の恵みを与えてくれたのはメキシコの先住民族である。そのトウモロコシの母国には、1994年に発効したNAFTA(北米自由貿易協定、アメリカ・カナダ・メキシコの3カ国で締結された自由貿易協定)によって、アメリカから大量の輸出補助金付きトウモロコシが安値で流入するようになった。アメリカからの輸入トウモロコシは、NAFTA発効前の1992年には130万tであったが、2007年には790万tと6倍にも増加した。(略)
米国のシンクタンク・カーネギー国際平和財団は、2003年の報告書で、NAFTAはメキシコの製造業に50万人の雇用増加を生み出したが、逆に農業部門で150万人の雇用喪失をもたらし、国全体として雇用の増加にも賃金の増加にも結びつかず、多数の農民から土地を取り上げ、森林破壊、自給作物の衰退と輸出用商品作物への転換による化学物質汚染など、環境破壊を助長したと結論した。
NAFTAのなかで、自給を基礎にした生産と暮らし、地域の破壊が進み、メキシコの農家は輸出作物を生産する農業起業家か、さもなければ安価な労働力か、という二者択一が求められきた。そんななか、遺伝子組み換えトウモロコシの混入という大問題が起きた。アメリカからの輸入作物の中に遺伝子組み換え種が混在していたのである。これに対し、メキシコではNGOなどの国際的な支援を受けながら、「トウモロコシのためのたたかい」が進められている(注)。それは、単に遺伝子組み換えの危険性の問題ではなく、アメリカの多国籍企業による種子侵略から地域の品種を守り、自らの生産・暮らし、地域を守る闘いである。
各地の農民が参加したある集会では、以下のようなメッセージで集会を締めくくった。
「メキシコ政府はもっぱら国際種子会社の利益を守ろうとする存在であることを、その行動をもって示してきた。われわれにとって、トウモロコシはビジネスではない。それはわれわれの生命なのであり、かかるものとして、われわれはそれを守り抜くであろう」
(現代農業 2012年2月号)
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