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2013年3月20日 (水)

食の安全を守るとは?思い出す日

(3月11日に書いた農場通信)

今年も311日を迎えました。2年前のこの日に起こった東日本大震災、それに伴って発生した東京電力・福島第一原発事故の記憶は、今までに一日たりとも消えたことはありませんでした。

  原発事故によって福島県とその周辺地域は深刻な放射能汚染を受けました。山の幸、海の幸、そして田畑で採れる農作物からも高い数値の放射線が検出され、食の安全がいちじるしく脅かされました。

  原発事故後、政府は今まで厳しく設定されていた一般人への被ばく限度量の基準を大幅に緩めました。原発事故によって大量に放射性物質が播き散らかされ、厳しい基準を厳密に守ることは難しかったのでしょう。基準を緩める処置も、やむをえなかったかもしれません。

  ただ、安全かどうかはっきり分からないことを「安全だから心配しなくてよい」と宣言してしまう政府の対応は、やりすぎだと思いました。今まで厳しかった基準を緩めてしまって、「安全」などと安易に言えるわけがありません。

  なんとか国民の不安を払しょくして安心感を与えようと、今回の原発事故の被害を実際よりも小さく見せたいという政府の思惑がどうしても透けて見えてしまいました。多くの国民が政府の発する情報を信じられなくなってしまいました。人々はあの事故発生時、今後の自分たちの行動を決めていくためにも正しい情報がほしいとのぞんでいました。「ウソでもいいから安心感を与えてくれる情報がほしい」と望んでいたわけではありません。

現在、福島県産の多くの農産物は検査の結果、ほとんど放射能汚染による悪影響は大きくないことがわかってきました。でも、政府と国民の間の信頼関係が切れてしまっていては、どんなに政府が「福島県産は安全」と国民に呼びかけても、国民はなかなかそれを信じてくれません。福島県の農家の方々は、今、風評被害に苦しんでいます。

「たとえ原発事故が起こっても、食品への厳しい安全基準は変えない。」「それによって農産物が出荷できなくなった農家には、政府が責任をもって補償していく。」最初から政府がこのように宣言して基準を緩めたりせずに食の安全を守る意思を示してくれれば、国民も政府を信頼して、風評被害もこれほどひどくならずにすんだのではないのでしょうか。

原発事故当時、私のまわりの農家の方々は、放射能汚染を受けた可能性のあるすべての露地野菜の出荷を自主的に自粛していました。出荷を続けた農家の方々も、安易に「安全」と言わず、消費者に対してできるだけ正確な情報を伝えることを心がけ、不安に思って離れていく消費者を無理に引き止めることをせず、消費者の意思を尊重していました。

経営的に大きな損害を被ることになっても、まずは消費者の健康を一番に考えて行動した心ある農家の方々の姿が見られました。農家として食の安全を守るとはどういうことなのか、悩み、考えぬく日々でした。311日を迎える度に思い出します。

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