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2013年2月28日 (木)

新聞切り抜き ネット版

私が気になる旬の話題を、各新聞社の最近の社説を中心に、切り抜いてみました。

放射能の安全基準について政府は根底から考え直すべきだ。政権交代はその好機と言えよう。

野田政権は、食品中の放射能基準を海外より厳格化した。政府の放射線審議会は、弊害が出ると警告したが、小宮山厚生労働相(当時)が政治的に押し切った。

 その結果、基準超過が増え、食品の信頼回復は進まない。過去の核実験の影響としか考えられない放射性物質が検出され、出荷停止となった野生キノコもある。

 問題なのは、野田政権が年1ミリ・シーベルトの

被曝

(

ひばく

)

線量を安全と危険の境界線としたことだ。年1ミリ・シーベルトは法的に放射性物質を扱う施設の管理基準に過ぎないのに、この線引きを食品基準にも適用した。

 国際放射線防護委員会(ICRP)も、年1ミリ・シーベルト以下が望ましいとしている。ただ、野田政権との違いは、これを超えても直ちに危険とは見なさないことだ。

 ICRPは総量で100ミリ・シーベルトまでなら明確な健康影響は検出できないとの立場だ。ICRPが考える1ミリ・シーベルトは、安全性に余裕を見込んだ数値で、合理的に達成できるなら、との条件も付く。

 世界には、大地などから年10ミリ・シーベルトの放射線を浴びる地域がある。病院の放射線診断で1回に約7ミリ・シーベルト被曝することもある。

 1ミリ・シーベルトでの線引きは、16万人近くの避難者の帰還を遅らせる要因にもなっている。

 ICRPは、被災地の復旧過程では、年20ミリ・シーベルトまで許容し、可能な範囲で年1ミリ・シーベルト以下にするとの考え方を示している。

 だが、細野環境相(当時)は、1ミリ・シーベルト以下への除染を強調した。ICRPの考え方は、住民の生活確保と除染の両立だが、除染が偏重される結果となった。(読売新聞 2月25日)

「事故の時の法規や基準はない」という人も多いようです。たとえば「11ミリと法律に決まっているけれど、それは原発の事故がないときだ。だからICRPが勧告した20ミリまで良いのだ」という「ウソ」です。

それでは、原発は「通常時」と「事故時」でどのような被曝限度が設定されていたのでしょうか? 

●普通の時:
普通の時には被曝限度を11ミリとして、具体的に11ミリを守るために原発の敷地境界で生活する人の被曝量を、その20分の1になる0.05ミリシーベルト以下にするようにしていました。

次に、原子力発電所を運転するにあたっては、一般公衆が被曝しないように、11ミリのさらに20分の1である0.05ミリシーベルトにすることが明確に示されています。このことも少しでも原子力に関係した人なら誰でも知っていますが、なぜ11ミリの限度なのに、原発はその20分の1にしようとしていたかというと、「被曝は危険だから」という考え方です。

これも、東電の原発事故が起きた時に、「被曝は健康に影響ない」などと言う政府、自治体、専門家が登場したことにビックリしました。なぜ、今までなん10年も検討してきたのに何も言わず、事故が起こったら突如として逆のことを言うのです。原子力規制庁の委員候補の中村佳代子さんなどもその一人です。

 事故の時
また、原発の運転に当たって、「事故が起こったときに許容される被曝線量」についても詳細に決まっていました。それは設計上も運転上も必要だからです。

ここには、ICRPの基準では「一般的に11ミリが守れないとき、5年間で合計5ミリでも良い」という考え方があることを応用して、日本では「発生頻度のきわめて低い事故(まれに起こる事故)」では、「1事故あたり5ミリ」まで認めるという事である。

もし今度の事故が1万年に1度という評価をしたとしても、1事故あたり5ミリシーベルト(数年にわたる。典型的には5年で5ミリ)を超えることはできないのです。仮にこのような国内の指針が都合によっていつでも変更ができるということになると、指針自体の意味がありませんし、専門家も線量を決める根拠を持っていないことになります。

また日本は法治国家ですから当然ですが、ICRPという民間のNPOが勧告した通りではなく、日本国としてもう一度審査し、国内の基準を決めていたこともわかります。このような基準を決めた一人が中村佳代子さんで、彼女が原子力規制庁の委員になりそうになると、全く違う事を言い始めたのには驚きます。

少し長くなりましたので、今回は、
1) 被曝は危険と考えられていた、
2) 11ミリが法令上の基準だが、(被曝は危険なので)原発ではその20分の1にするようにしていた、
3) きわめて希に起こる事故でも数年で5ミリを超えないようにするとしていた、
4) このことは原子力の専門家なら誰もが知っていた、
ということをハッキリさせるにとどめます。

そして、ここに書かれたことを故意に、もしくは勉強せずに無視したり、逆のことを言う人は、子供に危険な被曝をさせるということでもあり、瓦礫の搬出でもわかるように懲役になるような言動であることを、国民が糾弾する必要があります。特にお役所に勤める公務員は懲戒免職が相当でしょう。人の健康に関する事ですから、賄賂などより重罪であることは間違いありません。

(武田邦彦 中部大学教授のブログ 平成24917日)

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