反原発派は夏のピーク時に停電しなかったため「原発なしで電気は足りる」と主張するが、生産停滞や電力料金の上昇などの悪影響を無視した的外れな見解だ。火力発電の増加による温室効果ガス排出や大気汚染など、環境問題に触れずに、「脱原発」を唱えるのはご都合主義である。(読売新聞 11月25日)
槌田 気温は、数十年単位で温暖化したり、寒冷化したりしています。 この数十年は温暖化してきたのですから、そのうちに寒冷化がまた始まります。 寒冷化すると食糧が不足します。すると、世界は大混乱しますから、 寒冷化の方がずっと大変で、それに備えようと警告しているのです。
- CO2は温暖化ガスではないのですか。

槌田 温暖化ガスの代表格は水蒸気です。 寒い冬でも、夜中に雲があるとあまり冷えないでしょう。 このようなことを少し考えれば、水蒸気が最大の温暖化ガスであることは明らかです。 それに比べれば、CO2は本当に温暖化に関与しているのかわからない程度の存在です。 それを最大の温暖化ガスとしているところからして、CO2温暖化説はおかしいのです。
槌田 気象学者のキーリングが、CO2濃度を長期にわたって計測したのです。 するとCO2増加と気温上昇が一致したので、CO2の増加が地球を温暖化させていると警告しました。 これがCO2温暖化説の原点です。その後、キーリングは、より詳しく気温とCO2濃度の前後関係を比べました。 その結果は、気温の変化がCO2濃度の変化よりも1年ずつ早く生じていることを見つけて、発表しました。 気温が原因でCO2濃度は結果なのです。
そこで、共同研究者の近藤邦明さんと私は、長期的傾向を除くことなく、 気温そのものとCO2濃度の変化率の関係を示すデータ【図3】を得ることに成功しました。この図では、1969年から2003年まで34年間にわたって気温とCO2の変化率が見事に対応しています。 変化率とは年間増加量と同じですから、気温によりCO2濃度の年間増加量が決まることになります。 つまり、気温の上昇が原因で、CO2濃度が増えることが実測データで証明されたのです。 これに対して、人為的なCO2が原因で温暖化したという通説では、この【図3】を合理的に説明できません。
槌田 1986年のチェルノブイリ原発事故で、原発の建設が世界中でストップしました。 そこで、原子力業界は各国政府に働きかけ、CO2温暖化説を唱える研究者に莫大な研究費を出させたのです。 つまり原発業界が仕掛けたワナなのです。
人為的CO2温暖化説を利用して、放射能を大量に残す原子力発電が世界に拡大しているので、 これに少しでも歯止めをかけるためにも、裁判に勝ちたいと思います。 そして、「CO2による温暖化」というバカ騒ぎを止め、【図1】や【図2】から予想される寒冷化に備えて、できるだけ早く準備を始めねばなりません。(月刊誌「食品と暮らしの安全」2009年9月1日発行 No.245 元・理化学研究所研究員、元名城大学教授 槌田敦氏にインタビュー )
私が原子力研究に身を投じた頃、エネルギーの未来は暗く描かれていました。 でも、恩師の手紙もあり、それからジックリと考えてみますと、「エネルギーが枯渇する」というのは単に石油や石炭の価格を高く保つための商業的なことで、それにのせられた自分を反省したものです。 その点から、「人体に対する放射線の影響」、「事故が起こったときの救命ボート」などが明確ではない段階で、原子力を実用化したのは時期尚早だったと反省するようになりました。 私の著述物にも書きましたが、石油や石炭はあと8000年ぐらいあると見積もられ、どんなに短くみても1000年はあるでしょう。石油や石炭は十分にあるのですから、資源など気にせず、少し節約をしながらゆったりと過ごし、 「日本の山紫水明、四季折々を楽しむ」 「愛する家族、信頼できる友、誠実な社会、誇りの持てる日本」 「働いて普通に生活する党」 「明日は今日より少し良くなるという希望」 を持って明るく、楽しく、静かに、張り切って生活を送りたいものです。(武田邦彦 中部大学教授 のブログより)
産業界が「悲鳴」を上げている。全国に広がる電力料金値上げの動きのためだ。関西電力と九州電力が引き上げを申請し、東北電力や四国電力なども追随する。値上げの理由は原子力発電所の再稼働が進まず、これに代わる火力発電の燃料費が嵩(かさ)んでいるからだ。中でも産業用は家庭用に比べて値上げ幅が約14~19%と大きく、影響が深刻だ。このまま原発を再稼働できなければ追加値上げも避けられない。工場などが海外に移転し、国内の雇用が失われる産業空洞化が一気に加速してしまう。政府は日本企業を救う視点に立ち、安価で安定的に電力を確保できる原発の早期再稼働を検討すべきだ。(産経新聞11月29日)
「原発に頼らない安心できる社会」を目指す方針を掲げる、城南信用金庫が今月スタートさせたのが「城南総合研究所」。原発がなくても経済や社会は成り立つという専門家の分析を、分かりやすく情報発信していくのが狙いだ。「脱原発にかじを切れば経済の拡大要因になり、中小企業などものづくり企業の活躍の機会が増える。経団連は雇用が減ると言うが、むしろ脱原発は雇用拡大につながる」と、経済効果の大きさを強調している。このほかリポートでは、原発のコスト構造を検証した。経済産業省のエネルギー白書によると、1キロワット時当たりの発電コストは原発が5~6円、火力が7~8円。しかし、これには原発のある地域に支払われる巨額の交付金は含まれていない。立命館大学の大島堅一教授の試算によると、原発が10.3円、火力が9.9円で、原発の方が割高になっている。さらに、使用済み核燃料の保管や処理に掛かる費用もかさむことから、「原発のコストは恐ろしく高価で、将来、大幅な電気料金の値上げにつながる。原発を廃炉にすることが経済的にも正しい判断」と結論づけている。(「3.11後を生きる:『原発やむなし』目覚まして/城南信金総研」、『東京新聞』2012年11月28日(水)付。)
日本の電気代は、アメリカや韓国に比べて2倍以上にもなる。
電気を作るときにかかる装置代、保全代、燃料代、本社代などの合計を「コスト」という。普通なら「努力してギリギリのコストでやる」というのだが、電力の場合は、「世間的におかしくない範囲でできるだけ高いコストでやる」というのが優れた経営者となる。それは次のような仕組みだからだ。1) 電力会社の儲けは、「コスト」を出して、それに10%程度の利益をのせる。だから、コストが10円と20円なら、20円の方が1円だけ儲けが多くなる(電力会社のもうけ)、2) 電力からとる税金は電気代に比例しているので、電気代が高ければそれだけ税金が増える(官僚のもうけ)、3) 電力会社はコストを高くしなければならないから、業者は高く納入できる(関係会社のもうけ)、4) 電力会社が儲かれば賃金も高くなる(労働組合のもうけ)、5) 「電力会社のコストはどの程度が適切か」と言うことを決める{政府、議員、マスコミ、学者、評論家・・・}にたっぷりとお金を回しておく(関係者のもうけ)、6) そして、これら1)から5)のために一方的に損をしている人たち(おとなしい庶民)は高い電気代を払う・・・・
電力会社が役人の天下りを支援し、政治家に献金し、公共広告機構の理事長(広告の一番多い会社)が東電で、東大の学者に研究費を出すのは、もちろん、ハッキリした目的があるからだ。政治家は電力に手も足もでない。活動資金のもとになる献金と選挙の時の票(電力労働組合、関係会社の人の票)があるからだ。役人も手も足もでない。天下り先を広く準備してくれるからだ。(武田邦彦 中部大学教授のブログ)
よって、火力発電所よりもコストのかかる原子力発電所を建設したほうが、電力会社と政府、その関係者が利益を得ることになります。そのような利権を手放したくないから電力会社も政府も、事故の危険性には目をつぶってでも原子力発電の稼働にこだわっているのではないかと、多くの国民が疑念を抱いています。(小林)