きゅうりのこと
「曲がったキュウリも味そのものに大きな違いはない。しかし、曲がったキュウリは見てくれが悪く、箱詰めもしずらいことから、すっかり落ちこぼれの烙印を押されてしまった。そして、曲がったキュウリを作らないように、キュウリの先に重りを垂らしたり、筒状の型の中でキュウリを太らせたりという、笑えないようなことが行われたのである。そもそもキュウリとて、生き物である。いくら環境を同じにしても、同じものができないところが、生き物のおもしろさであり、すばらしさである。(中略)最近では、曲がったキュウリや昔のキュウリを懐かしむ声もあって、行き過ぎた野菜生産の近代化を見直そうという動きもでている。ところが今度は「曲がったきゅうり」がその象徴的な存在になり、曲がっているほうが良いというような風潮さえ出ている始末だ。これもキュウリにとって迷惑な話だろう。キュウリだって、できることならまっすぐ伸びたいと、頑張っているのだ。」
稲垣栄洋著「身近な野菜のなるほど観察記」より
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