辰年穀雨 その2
福島第一原発事故から1年以上がすぎました。何度も耕したりして農家が管理している田畑から収穫される米や野菜は、ほとんど汚染の影響はみられなくなりました。一方で、あまり人が足を踏み入れない場所から由来するきのこ類や山菜、たけのこ、獣肉などは、地表に放射性物質がそのまま残っているため、まだ検査では高い数値が検出されます。福島県やその周辺では、これらが出荷停止処分を受ける事例が少なくありません。
小林農場では、しばらくの間、毎月、数種類の作物を、地元の農業振興事務所に放射能検査をしていただくことにいたしました。
小林農場の位置する栃木県南東部は、汚染の度合いがとても低く、ほとんど野菜に対する放射能汚染に関しては心配しなくてもよいのですが、安全性を数値で具体的に証明されれば、より、安心できるでしょう。万が一、事態が急変して再び畑が汚染されることがあれば、検査によって未然に汚染を突き止め、すぐに出荷を自粛することも可能です。
4月に検査していただいたほうれん草と菜の花は、放射性物質は不検出との報告を受けました。いずれ検査通知書を、その検出限界値もあわせて、ブログや通信で公表しようと思います。
また、堆肥や肥料の材料にしようと考えていた、農場内の落ち葉と腐葉土も、検査していただきました。落ち葉は1kgあたり301ベクレル、腐葉土は1kgあたり400ベクレルでした。
私が予想していたよりもずっと低い数値でしたが、国が定めた有機物の基準値は1kgあたり400ベクレルなので、このまま肥料や堆肥として使うには際どい数値です。他の有機物と混ぜて放射性物質の濃度を下げるなどの手立てが必要です。
そのようにして作りあげた堆肥や肥料を畑で使用する前には、必ず、複数の検体を採取して念入りに検査をして、安全性を確認してまいりたいと思います。
福島のまわりではあらゆる有機物が少なからず、放射能で汚染されています。ただ、作物を健全に育てるためには、有機物を循環させていくことが大事です。検査によって、有機物の安全性を確かめていきたいと思います。
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