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2011年5月

2011年5月29日 (日)

卯年小満 その1

読者の方より、私の農場通信はブログの文章としては長すぎるのではないかとのご指摘をいただきました。今回は細かく文章を区切ってみました。少しづつお読みください。

拝啓

季節は小満、衣替えの季節となりました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。

新緑まぶしい5月、朝5時から夜7時まで畑仕事。無理してがんばろうと意識しなくても体が自然と動いてくれるすばらしい季節でした。6月を待たずに、関東地方は、例年よりもずっと早い梅雨入りを迎えました。

初夏や真夏に収穫時期を迎える作物の多くが、まだ寒い春先から苗作りが始められ、この五月に畑へと定植されていきます。まだ創立間もない小林農場では苗を育てる床土が用意されていなく、試しに近くの雑木林から地面に堆積している腐葉土をかき集めて運び出し、それを床土として使用してみました。その結果、苗作りは散々でした。

すぐに発想を転換するべきだったのに、なにがなんでもお金をかけて床土を購入せずに雑木林の腐葉土で床土を間に合わせようと意固地になり、確信のないままに我流の床土作りに取り組んでみましたが、作る苗作る苗、みんな不調で、何度も種を播きなおしたり、違う床土に苗を移し替えたりすることになりました。

苗作りの最後のほうは自分で床土を作るのをあきらめ、市販の床土に頼ることにしました。それらの床土で育てられた苗は、私にほとんど神経を使わせることなく勝手に生育して、あっさりと畑へと巣立っていきました。床土の質がどれだけ苗にとって大切なのか、痛感させられました。

落ち葉や鶏糞や米ぬかなどを合して温床を作り発酵させ、その発酵熱を利用して寒い時期に苗を温めてやります。そして、その温床は、そのまま一年間熟成させた後、次の年には苗を育てる床土として使用されます。この循環の美しい営みを利用した伝統的な製法により、農家は床土を自給してきました。

ものづくりには、長い間受け継がれてきた正規のやり方があります。直感や思いつきで導かれた自己流で仕事をすると、たいてい失敗します。

なんとか自分の力だけで床土の問題を切り抜けたいと思いました。しかし、作物をよく観察して作物が発する声に耳をすませること、まわりの農家の仕事もよく観察して学び吸収していくこと、農業は自分の頭の中だけでやるものではないということを、肝に命じたいと思います。

卯年小満 その2

五月に入ってから、小林農場の作物も、ぼちぼちと出荷されていくようになりました。現在の主な出荷先は地元の保育園、小学校、中学校などで、給食の食材として受けっとっていただいています。

ほうれんそうや小松菜など馴染みのある品目は、一度に10kg以上と大量に注文されることも少なくなく、そのたびにたちまち収穫できる作物が収穫されつくして畑から消えていき、注文量を足らすのに苦慮しました。せっかくいただいた注文を、収穫量を確保できずにお断りしなくてはいけない場合もありました。

農業で商売していくには今の小林農場の作付け量では少なすぎることが、だんだんと明らかになってきました。この春先に、地主さんから去年まで養豚の放牧場として使っていた敷地を畑として正式にお借りすることが決まり、これで小林農場の畑の総面積は一丁(10000平方メートル)ほどとなります。大胆な作付けも可能になってきました。

苗作りで失敗した分、夏野菜の苗を余分に購入しました。他にもネギやさといものなどの苗も新たに購入して、当初予定していた作付け面積よりもさらに増やすことにしました。特に学校給食での需要が高いじゃがいもについては、春作だけではなく、秋作も栽培してみようと思っています。今までなるべく支出をおさえようとお金を節約することに気を配ってきましたが、ここにきて一転、惜しげもなく投資して作物の作付け量を拡大する方向に舵を切りました。

自分の作物をどんどん売って誰かに買っていただかないことには、新たな人とのつながりを生み出すことができません。そのためには、ある程度、出荷できる作物の量を確保しておく必要があります。販路開拓のため小林農場を売り込もうとするときに、出荷できる量が少なければ、腰がひけてしまいます。

卯年小満 その3

新規に販路をみつけようと、心当たりのある場所を訪ねてみました。見本として畑から収穫してきた小松菜を見せると、虫食いの穴がある葉物野菜を商品として受け取るのは難しいとの率直な意見をいただきました。

電話帳を開き、無農薬野菜に理解のありそうなお店を見つけては足を運んで調べてみると、たいていは私と同じように無農薬野菜を栽培している私の知り合いの農家さんが、すでにそのお店で出荷をしています。積極的に生産者を募集しているお店ならともかく、そうでなければ、知り合いの農家さんと同じお店で競合することを、なるべく避けるようにしています。

私の作物を受け入れてくださった自然食品店が一軒あり、私も出荷の用意をしていました。それだけに、そのお店が急な事情で閉店することになったときには、がっくりきました。

私のブログを読んで声をかけてくれた食品関連の企業もありました。すごくありがたい話でしたが、入会金の額が私には重たく感じ、慎重に検討させていただくことにしました。

現在は定期的に、国道沿いの直売所まで通って、作物を出荷しています。道の駅が乱立し直売所が大規模化していくご時世ですが、ここは小規模ながらも店員がひっきりなしにやってくるお客さんに走り回りながら対応しているような活発な直売所です。この直売所で知り合った生産者の方から、他にもいろいろと知る人ぞ知る活発な直売所を教えていただいたので、近いうちに訪れてみたいと思います。

他にも、契約農家として地元のスーパーの地場野菜コーナーに出荷できるよう申請したりしています。ほぼ毎日、なにかしらを売って、どこかしらから収入を得れる状態になりつつあります。

現状は、収入のわりには出荷作業に手間がかかりすぎているというのが実感で、長く農業を営んでいくためには改善していく必要があります。しかし、農場経営を始めたばかりの今の私にとって、1円でも自分の収入を得られることが、嬉しくて嬉しくてたまりません。

新しい人とのご縁を築いていく時期です。あまり収入の多少や手間暇を考えず、いろんな売り場に顔を出してみたいと思っています。

卯年小満 その4

畑では現在、10種類ほどの作物が収穫時期を迎えています。しかし、品目によっては学校から注文をいただけず、直売所でも売れず、売り先を十分にみつけられないでいる私の怠慢のせいで、せっかく食べ頃なのに全く収穫されぬまま畑で朽ちてしまい、いたたまれない気持ちを味わっていました。

そんなとき、東北地方の東日本大震災による被災地へ、救援物資として新鮮な野菜をお届する機会に数回恵まれ、ここぞとばかりにたっぷりと野菜を収穫して、送らせていただきました。

困難な状況の中を生き抜いている方々のお役に少しでも立てるのはとても嬉しいことですし、こんな時に農業を続けてきたことに誇りを感じたりします。私が野菜をお届した避難所から直接、お礼の電話をいただいた時は私も感激し、言葉がつまりました。

ただし、私は専業農家です。作った作物を換金していく手段を早く確保しなくてはいけません。人助けのできる人間になりたいと本気で願うのであれば、まずは自分自身の生計を成り立たせることから始めたいと思います。

(いろんな団体が被災地と被災地を支援したい人々を結ぶ活動に従事しているようです。私の場合、みちのく応援隊株式会社noicoが取り組んでいる「農を届けるプロジェクト」を通じて被災地に野菜を届けました。「農を届けるプロジェクト」のホームページでは、本当にありがたいのですが、小林農場のことを紹介してくれています。プロジェクトに協力してくれた農家に対する心配りに感服します。)

先月より、野菜セットの会員の募集を始めました。農業や食べ物に関心がある方の数は、少なくないと思います。安全でおいしい野菜をお届するだけではなく、その野菜が会員の方々に届くまで畑でどのような物語があったのか、私が語り部となって、みなさんにお伝えしていこうと思います。みなさんにとって、農が身近に感じられるようなセットにしていきたいと思っています。

少しでも野菜セットに関心のある方は、どうか迷わずにぜひ!小林農場までご連絡ください。どんどんたくさんの野菜を作って、お待ちしています。

2011年5月17日 (火)

5月17日 くもり ときどき 雨 11~22度

P5170328 畑のまわりの雑木林。新緑の頃になると、日がささぬ薄暗い雑木林の中ですら、若葉の初々しい緑色でぱっと明るく照らされているよう。今の時期、フジの花の紫、ミズキの花の白も、新緑の光景に彩りを与えています。

2011年5月16日 (月)

5月16日  晴れ のち くもり  9~23度

P5120315 シロヤマブキの花。そろそろ花の見ごろを終えようとしています。白くてふんわりとした花はもちろん、葉脈がはっきりとした葉もきれいです。

2011年5月15日 (日)

不織布

P3200213_2 作物の種を播いた畝に不織布をかぶせています。不織布とは、多数の繊維を結合してシート状にしたもので、身近では、紙オムツの表面材や使い捨てカイロの袋の素材としても使用されています。冬場は作物の防寒のために使用されますが、暖かくなる春先からは、防虫害の目的に使われたりします。小松菜などの葉物野菜は、発芽したらすぐに、キスジノミハムシのような小さな虫に食べつくされる場合がありますが、不織布をかぶせておくだけで、虫が作物に接触しにくくなります。今春、五回ほど葉物野菜の種を播いてはすぐに不織布をかぶせてみましたが、いずれも、作物は無事に発芽してくれました。

2011年5月11日 (水)

5月11日  雨、くもり  13~14度

P5030290 アマガエル。畑の土を耕していると、跳ねては立ち止まり、また跳ねては立ち止まり、のんびりと逃げてゆくアマガエルに、よく遭遇します。

2011年5月10日 (火)

5月10日 くもり

P5090307 シジミチョウ?のなかま。ネギの苗を定植している私の腕首に、安心しきったようにずっとしがみついていました。羽を広げると、青みがかった羽の表の色が見れました。

5月9日  晴れときどきくもり

P5090310 波状雲。とてもはっきりと波の模様が西の空から東の空へと、流れていました。低気圧が近づいてきていることを告げる雲と言われています。

2011年5月 4日 (水)

5月4日 晴れときどき曇り  11~21度

P4180272 玉ねぎとそのかぶ元に生えるホトケノザ。作物と雑草の色合いがきれいな光景。でも、畑仕事の障害となるので、このあと、雑草のホトケノザは全部、引っこ抜かれていきました。

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