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2011年2月19日 (土)

卯年雨水

拝啓

   季節は雨水、梅のつぼみもふくらんできました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。農場では春作の作物の種まきがおこなわれ始めています。2月上旬にはキャベツ、ブロッコリー、レタスなどの葉菜類の種を播種箱にまき温床で温めてあげながら、大事に育てています。畑にも数種類の葉物野菜を直まきしました。来月になればナスやトマトなどの夏野菜やニンジンなどの根菜類の種もまかれて、仲間が増えて農場もいよいよ賑やかになることでしょう。これらの作物の多くが収穫されて出荷されるのは、5月以降になるでしょう。まだ収穫物を売る販路を探している最中なので、見切り発車の種まきとなります。販路は見つかったけれども売る物が用意されていないということがないように、数か月後には販路がみつかっていると想定して、今の時期から作れるものを作っていこうとおもっています。自分の能力で作れる作物を自分の能力で作れる量を、作っています。

   農場の野菜栽培の基本方針は、できるだけ人は手出しせず、自然の生態系の力に作物を育ててもらうこと。具体的には、自然環境に大きな影響を及ぼす農薬や化学肥料を使用せず、石油資材や機械の使用もできるだけ避け、その季節の旬の作物を多種類、作っていこうと思っています。近年、環境保護や食の安全が活発に叫ばれるようになり、無農薬栽培も注目されるようになってきました。しかし、公式の統計では、無農薬栽培を実施している農家の数は日本の農家全体の1%にも満たず、ほとんどゼロに近いという状況なのだそうです。そういった事情なので、農薬や化学肥料などの化学物質を投入していく農法を、一般的な農法という意味で慣行農法と呼ばれ、それに対して無農薬無化学肥料で行われる農業を有機農業という特殊な名前をつけられて呼ばれるようになりました。そのことについて、無農薬栽培を実践してきたベテランの農家が、長い農業の歴史の中で農薬や化学肥料などの化学物質が使用されるようになったのはごくごく最近のことであり、そのような農法こそ近代化学農法と特殊な名前で呼ばれるべきで、無農薬農法は古くから受け継がれてきた当たり前の農法だと力説されていました。小林農場が目指す農法は、ごくごく普通の昔ながらの当たり前の農法であり、特別なやり方ではありません。

     農薬を使用することによって、作物に害を及ぼす虫以外の虫も農薬による被害を受け、その畑の生態系の多様性が貧しくなっていきます。近年は、農薬の多投入により害虫も抗体を身に着け、今まで使用されてきた農薬では効き目がなくなってきていることも問題視されるようになってきました。よって、さらに毒性の強い農薬を開発して散布してみるのですが、その新農薬に対しても害虫は抗体をつけていきます。そのようないたちごっこを繰り返しているうちに、農薬の毒性と害虫の抗体はますます強くなっていき、そして、畑の生態系の破壊はさらに進んでいきます。農薬の使用によって一時的には作物の収量を増やすことができるのかもしれないけれども、長い目でみれば事態を悪化させているにすぎないと、多くの専門家が指摘をしています。自然界の生態系は自ら絶妙なバランスを保つ力をもっていて、害虫の被害が起こってもそれが永遠に続くことはなく、いずれはやみます。だから農業は農薬がなくても、何万年も続いてきました。自然界の偉大な力に任せておけばいいところを、私たちはついつい余計な手出しをしてしまい、問題をこじらせてしまうことが多いように思います。

   私は最近になってブログを始めてみましたが、今まではインターネットがなくてもなんの不自由もありませんでした。私は現在、販売できる作物が手元になく収入がゼロの身であるにもかかわらず、プロバイダーに高い料金を支払ってインターネットを使用するようになりました。コンピューターおんちの私がブログを書けるようになったのは大きな進歩であることは間違いありませんが、その進歩が私に幸をもたらすのか不幸をもたらすのかは、なんともいえません。私たちの社会は、新しいものを称え、進歩してゆくことを良しとしていく傾向がありますが、それらの進歩は、多くの環境破壊を生み出し、人と人のつながりを断ち切るという結果も招いてきました。新しくもなく特別でもない、でも、人々が長い長い間大切にしてきた当たり前のことに光を当てていきたいと思います。

    

   

    

 

   

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